女性の不倫

女性の不倫は、なぜ男性の不倫よりも叩かれるのか?

  • 更新日:2019/06/21

近年、ニュースでは芸能人や政治家・文化人の不倫の話題が取り上げられることが多くなりました。

こういったニュースを見ていると、男性が不倫をしても仕事に影響が出ることは少ないのに、女性の場合は干されてしまうこともある、という事実に気がつかされます。


「浮気は男の甲斐性」「女遊びは芸の肥やし」とう言葉は近年あまり耳にしなくなりましたが、未だに「男性は浮気や不倫をしても、ある程度は仕方がない」とみる人は少なくないようです。


女性の不倫は、なぜ男性の不倫よりも叩かれるのか? 男らしさ=性的に奔放?

不倫

なぜ、男女で不倫・浮気に対する世間の処罰感情は大きく異なるのでしょうか?

その要因のひとつに、男女に求められる「らしさ」に差があることが挙げられます。


ジャーナリストのレイチェル・ギーザは、著書『ボーイズ 男の子はなぜ「男らしく」育つのか』(DU BOOKS)において、「男らしさとは、タフ、強い、大黒柱、プレイボーイ、ストイック、支配的、勇敢、女性を性愛の対象とすること、感情を出さないことだと思われており、女らしさとされている、柔らかさ、優しさ、感情的、フェミニンといった印象を与えるものすべての否定によって成立している」と指摘しています。


また、男女に期待される「性に対する積極性」にも大きな差があると述べています。


男子高校生たちのあいだでは「ゲイ」という単語が、同性愛を意味するニュートラルな用語としても、「バカ」や「ダサい」と同じたぐいの漠然とした中傷表現としても、両方の意味で使われていたと言う。一方、「オカマ」という単語は、ゲイの生徒を茶化す場合と、より広く男らしさの基準に沿わないふるまいを非難する場合との両方に使われていた。(略)興味深いことに、女子の方は日常的に「ダイク」「レズビアン」と呼ばれることはなく、その代わりにもっとも一般的に使われる侮辱表現が「ヤリマン」であった。この中傷としての「オカマ」「ヤリマン」の活用方法に映し出されているのは、セックスに関して男女に対局の要求が課せられていることである。男子は(異性との)セックスに積極的でなくてはならず、女子は貞淑でなくてはならないのだ。(1章)


つまり、男性は性的に積極的である場合には、「男らしい」と肯定され、女性が性的に積極的である場合には、「ヤリマン=あるべき女らしさがない」と非難されがちだということです。

こういった文化的な背景が、不倫をした男女に対する反応の違いを生んでいる一因になっていると言えるでしょう。


「性的に積極的である方が男らしい」と考えることによる弊害とは?

男らしさ

ところで、男性に性的な積極性を期待すること、女性に貞淑を期待することは、合理的でしょうか?

実際、「性的に積極的である」ことを男らしいと肯定することには様々な弊害があるように思われます。


「性的に積極的である方が男らしい」と考えることによる弊害1:性犯罪の助長

ひとつは、デートレイプ・強姦・セクハラなどの性被害を助長するという点です。「強引に口説く」ことや、複数の女性を「モノにする」ことが、「男らしい」と考えている人や、女性の気持ちを考えて優しく性的同意をとる人を「女々しいやつ」と考えている人がいる限り、性犯罪はなくなることはないでしょう。


「性的に積極的である方が男らしい」と考えることによる弊害2:男性に無用なプレッシャーを与える

前述の著書では、NPO「プロムンド」が2017年に公表した報告書が紹介されていました。


この調査は、アメリカ・イギリス・メキシコの10代〜20代の男性4千人を対象に実施されたもので、「61%が多数の相手と性的関係をもたねばならないプレッシャーがあり、57%が仲間が女性について性的なトーンで話しているときに同調するプレッシャーを感じている」ことを明らかにしています。


つまり、男性の半数以上が自然に性的に積極的であり、複数の女性と関係を持ちたいと考えているのではなく、「そうするのが男らしさというものだ。それに従わなければ」というプレッシャーを感じ、そういった社会からの期待に沿おうとしてしまっているということなのです。


「草食系男子はなさけない」は男女の生きづらさを助長するだけ

恋人

ところで、「草食系男子」という言葉が流行ったとき、一部の男女から、「最近の男性はだらしない、なさけない」という言葉が聞かれました。そういった感想を述べた人たちは、「男性たるもの、女性に対して積極的にいくべし」と考えていたのでしょう。

けれど、男性に性的な積極性を求め、女性に貞淑を求めることは、その規範に添えない男女を苦しめるだけでなく、性犯罪の助長や、女性の性的主体性の剥奪にも繋がります。


また、男性が「男らしく」いなければ、というプレッシャーから解放される日がこなければ、女性だけが貞淑を強く求められるという現状も変わることはないでしょう。


▼参考書


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  • 今来 今 (フリーライター)

    神戸出身。編集者を経て現在フリーライター。複数メディアにて、映画評・書評・ルポなどを連載中。

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