プレスリリース世界の妊娠中絶の現状

世界の中絶の約45%が“安全でない”!?妊娠中絶の現状

  • 更新日:2019/03/08

 日本で中絶といえば、医師免許を持った医師が、手術を行うのに適した環境で行うもの。その安全性を疑う人はほとんどいないと思います。しかし、世界を見渡して見た時に、危険な中絶を行っている国や地域がたくさんあることを知っていますか?

 今回は、3月8日の国際女性デーに合わせて、国境なき医師団(MSF)が報告する、保険医療の行き届かない国や紛争地で行われている危険な妊娠中絶の状況をお伝えします。


妊産婦死因の12分の1は危険な中絶

世界の中絶例の45%は危険

 世界保健機関(WHO)によると、「安全でない中絶」とは、望まない妊娠を打ち切るための処置で、必要な技能を持たない人の手によるものか、最低限の医療水準のない環境で行われるか、またはその両方と定義され、今も世界中の妊産婦死因の12分の1以上を占めています。大量出血、重度の感染症、血圧異常、閉塞分娩など他の直接的な妊産婦死因が、1990年以降減少しているのに対し、安全でない中絶がもたらす状況はほとんど改善されていない状況にあります。


 2018年に米グットマッカー研究所が発表した報告によると、世界の中絶例の約45%は安全でないと考えられ、毎年、2万2000人余りの女性や少女が安全でない中絶によって亡くなるといわれています。安全でない中絶とその関連死の約97%がアフリカ、中南米、南・西アジアで発生しており、これはいずれもMSFが医療援助を提供している地域です。


 2017年、MSFは中絶合併症の女性2万3000人余りを治療。活動地の一部の病院では、安全でない中絶が原因と疑われる産科合併症が全体の30%を占めています。国境なき医師団の見解によると、こうした女性たちは、技術のない人物を頼ったり自力で中絶を試みたりしたと考えられています。鋭い棒状の物を膣から頸部、子宮まで挿入したり、漂白剤などの毒性物質を注射したり、薬草の調合物を膣に入れる、腹部への殴打や転倒で外傷を与えるといった危険な方法も目立つのだそう。その多くは全く効果がないばかりか、身体に長期的な傷害を及ぼしかねないとされています。


安全な医療行為を阻むものとは?

安全な妊娠中絶ができない理由

 MSFは活動の現場で、多くの女性や少女が望まない妊娠をしていることを見てきました。避妊薬を手に入れられない人、避妊薬を使っても効かなかった人、妊娠を強制させられた人、中には性暴力によって妊娠した人も。また、危機的状況の中で望まない妊娠をし、命からがら避難した人もいるそうです。


 妊娠中絶は安全で効果的な医療行為であり、通常は錠剤か、局部麻酔による子宮内容除去術(MVA)で行われます。こうした処置は、技能を持った助産師や看護師であれば、病院や診療所で提供できるもの。しかし保健医療のひっ迫した場所や紛争地では難しい面もあるのだそう。スタッフが手順に確信を持てなかったり、現場で中絶の是非を問われたり、偏見にあうことも。中絶が法的に禁じられていない場合でも、意思決定者が正しい知識を持たないために実践が阻まれる例もあり、研修や制度の後押し、指導や手引きが必要となります。


女性の命を守る安全な中絶

安全な中絶と避妊の大切さ

「安全な中絶」とは、安全に妊娠を終わらせること、中絶合併症への対応、避妊薬の提供といった必須の保健医療サービスを包括したものであり、患者にとって適切な時に、しかるべき教育・訓練を受けた者が、信頼性と匿名性と技能と思いやりをもって行われなければなりません。


 避妊は望まない妊娠と、その結果としての中絶や予定外の出産を減らすことに欠かせませんが、それだけでは解決策としては十分ではありません。避妊と安全な中絶処置は、望まない妊娠、安全でない中絶、妊産婦死亡を減らすための両輪です。MSFは医療・人道援助団体として、活動地の住民、保健当局、他の保健医療NGOと協力し、医療の受けられない女性や人道危機に巻き込まれた女性のために、避妊薬、中絶後ケア、妊娠の安全な中断の普及を図っています。



 日本では中絶に必要な知識を持った医師が手術を行っており、医療面ではさほど不足がない環境だと思います。しかし、避妊の知識など、性教育の面では他国の状況と比較しても、決して高いとはいえません。それが教育や保険医療が行き届いていない国や紛争地であればはなおさら。MSFなどさまざまな団体や機関によって、改善する取り組みが実施され始めてはいますが、ゆき届いているとはいえません。


 望まない妊娠をして、心身ともに直接的なダメージを受ける事になるのは女性。

 正しい避妊の方法が世界に広まり、たとえ望まない妊娠をしたとしても、安全に妊娠中絶ができる環境が整うのことを切に願います。

 女性が自らの意思で、人生に関するあらゆることを自由に選択出来る世の中になりますように。



【参考】

国境なき医師団(MSF)日本

  • 女子カレ編集部

    女性のココロとカラダに寄り添うサービス『女子カレ』の編集部。主に「今」お届けしたい情報をお届けします。

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