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「レディースデーって男性差別じゃない?」って聞かれたらどう答える?

  • 更新日:2019/04/17

水曜日を「レディースデー」にして、割引価格で映画が観られるようになっている映画館って多いですよね。


映画館だけではなく、旅館や居酒屋などでもレディースデーを設定している企業はたくさんあります。こういったレディースデーについて、一部の男女から、「これって男性差別なんじゃないか」という疑問の声が挙がることがあります。


果たして、レディースデーは、男性差別に該当するのでしょうか?


なぜ企業はレディースデーをつくり、メンズデーをつくらないのか

レディースデー

レディースデーを導入する企業が多いのは、「レディースデーを導入することで、利益が増えるから」でしょう。


「TOHOシネマズ」では、かつて男性のみを割引対象とするメンズデーを導入している時期がありましたが、定着することはなく、すぐに廃止されました。廃止された理由は、「メンズデーを利用する男性の数が少なかったから」だと言います(※1)。


映画館においてレディースデーの方がメンズデーより利益が出やすい理由としては、「女性は友達と連れ立って映画にくることが多いから」「主婦やパートなど平日に動ける女性が多いから」などの理由が考えられます。


民間企業のほとんどは、営利企業(利益を得ることを目的にした企業)です。そのため、企業が利益の見込めるサービスのみを行うというのは、しごく当然のことでしょう。


レディースデーは男性差別?

男性差別

企業側が、男性を差別しようという目的でレディースデーを採用しているのではないことは明らかです。ですが、一部の人から「女性ばかり優遇するサービスが多いのが不満」「これは男性差別になるのではないか」という声が挙がることもあります。


差別とは、「ある集団(属性)に対して、正当な理由なく不利益を生じさせる行為」のことです。


レディースデーは、男性に対して、「正当な理由なく不利益を生じさせる行為」だと言えるでしょうか?


私は、そうは言えない、と考えます。


たとえば、日本が男女同じように働いて同程度の収入を得られているならば、性別を理由にして入場料に差をつけるのは、差別であると言えるかもしれません。ですが、現実には男女の雇用や収入の状況は平等とは言えません。


現状、女性は、収入や雇用の安定性という面において、明らかに男性より劣位に置かれています。とくに、年齢が上がるにつれて、男女の収入格差は広がっていいっているのです。


男女の収入格差の現状

男女の収入格差

ここで、日本の男女の経済格差について詳しいデータを確認しておきましょう。(※2)


国税庁が実施した、平成28年分民間給与実態統計調査によると、男女別、年齢階層別の平均給与は以下のようになっています。


平成28年度 男女別・年齢別の平均給与

19歳以下の平均給与

女性:106万円

男性:157万円


20歳〜24歳の平均給与

女性:241万円

男性:275万円


25歳〜29歳の平均給与

女性:309万円

男性:383万円


30歳〜34歳の平均給与

女性:315万円

男性:457万円


35歳〜39歳の平均給与

女性:300万円

男性:512万円


40歳〜44歳の平均給与

女性:302万円

男性:563万円


45歳〜49歳の平均給与

女性:299万円

男性:633万円


50歳〜54歳の平均給与

女性:296万円

男性:661万円


55歳〜59歳の平均給与

女性:288万円

男性:649万円


60歳〜64歳の平均給与

女性:228万円

男性:479万円


65歳〜69歳の平均給与

女性:195万円

男性:387万円


70歳以上の平均給与

女性:207万円

男性:368万円


上記のデータによると、20代は男女間の給与差は大きくありませんが、年齢が上昇するにつれて差は大きくなり、40代では男性が女性の2倍弱の年収を得ていることが明らかになっています。


このように、女性が経済的に圧倒的な劣位にある集団であることが明らかな場合、この経済的に不利益を被っている集団に対して、なんらかの割引サービスを提供することは差別とは言えないどころか、(サービスの提供者が意識しているか否かに関わらず)差別を是正する行為であるとも言えると思うのです。


とはいえ、レディースデーは将来的には無くなって欲しい

映画を観る男女

以上のことから、私自身は、レディースデーは男性差別にはならない、と考えます。


ですが、将来的にはレディースデーは無くなって欲しい、とも思います。なぜなら、男女の雇用と収入についての不平等が是正されれば、レディースデーはおのずと消滅していくサービスだと思うからです。


また、レディースデーに関しては、「性別で判定されること」を望まない人(性自認に迷っている人・トランスジェンダーなど)を視野に入れていないサービスであるという問題もはらんでいます。


ですから、将来的にはレディースデーは無くなった方が良いのでは、と思うのです。ですが、そのためには男女間の雇用や収入に関する差別を撤廃していく必要があります。


たとえば最近、医学部受験において女性だけが減点されていたという事件が明るみに出ましたが、減点理由として「女性は医師になっても離職してしまう割合が高いから。皮膚科などの科に集中してしまうから」という理由が語られています。


女性は相対的に離職率が高いから、という理由で男女の待遇に差をつけることを「統計的差別」と呼びます。こういった統計的差別は、一般企業でもみられます。「女性は出産したら離職してしまうから」と女性より男性を雇いたいと考える企業などがそれにあたります。


男女間の不平等を是正するためにも、国や企業には、こういった「統計的差別」に自覚的になってもらう必要があるでしょう。



※1 https://www.j-cast.com/2016/05/16266943.html?p=all

※2 https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2016/pdf/001.pdf



▼バックナンバーはこちら

・なんで「女男」じゃなく「男女」が普通なの?と問うてくれた先生の話

・「逃げ恥」みくりが無償の家事を「好きの搾取」と言ったわけ

・「男女間の賃金格差」は差別?役割分担?

・女性が王子様を待ち続けてしまう理由。シンデレラ・コンプレックスとは?

・「女性の社会進出」という言葉に違和感。家事・育児は社会貢献じゃない?

▼著者:今来さんの他連載はこちら

・妊活・お金・介護・美容…40歳までに知っておきたいことリスト
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  • 今来 今 (フリーライター)

    神戸出身。編集者を経て現在フリーライター。複数メディアにて、映画評・書評・ルポなどを連載中。

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