心理テスト

子供を産んだら「母性」が芽生えるのは当たり前?

  • 更新日:2019/06/06

「生まれたばかりの赤ちゃんとはずっと一緒にいたいはず。それがお母さんでしょう?」「お腹を痛めて産んだ子どもなんだから可愛くないわけがない」など、「子どもを産んだら愛おしいという想いが自然と湧き上がってくるもの」と考えている人って多いですよね。


こういった「母親が子どもを愛おしく感じ、育てたいと感じる気持ち」のことを、「母性」と表現されることがよくあります。


そしてなぜか、「子どもを愛し、育てたいという欲求は母親の本能である」と強調されることは多いのに、「子どもを愛し、育てたいという欲求は父親の本能である」「子供が生まれたら父性が育って当然」と言われることはありません。


なぜ、女性だけ、「母性」があって当然かのように思われているのでしょうか?


母性ってなんだ?

母性とは

「母性」については、人それぞれのイメージがあるでしょう。


母性には、大きくふたつの意味が含まれていると考えられます。ひとつは、妊娠や出産・授乳など、身体的に女性にしかできないもののこと。もうひとつは、子どもを愛し育てるという、実は女性だけの特質ではないものです。


子供を産む、ということに関しては、現状、女性だけにしかできないことです。ですが、育てることに関しては、男女ともに行うことができますし、事実、子育てに奮闘している男性も存在しています。


それにも関わらず、「母性があるから女性の方が子育てに向いている」と考える人もいます。というより、女性に子育てを任せたいという人にとって「母性」は、便利な言葉なのでしょう。


「女性には母性がある」と主張することで、得をしているのは誰?

母子

さて、なぜ、子どもを愛し育てる行為が母性と呼ばれることになったのでしょうか?


「母性は発明された概念だ」という説もあります。(※1)


近代国家の発達時期において、経済力を強化するために、「男性は外で働き、女性は家庭内の仕事と育児を担うことが効率的」だという政治的な思惑から、「母性」という言葉が使われだし、「女性は子どもを産み育ててこそ一人前」「母親なら、子育てを喜んでできて当然」という風潮が賛美されるようになったというのです。


「母性神話」に苦しめられる女性たち

苦しむ女性

「母性」という言葉を誰が発明したのか、は不明です。誰かが意図的に作り出した言葉だとしても、母性という言葉によって苦しめられる人がいないのであれば何の問題もありません。


ですが、実際には、「母親なら子どもと一緒にいる時間が一番大切なはず」「子どもがいるに、すぐ仕事復帰したいなんて言わないよね。普通の母親なら」といった母性神話(母性があって当然とする価値観)に苦しめられている人も少なくありません。


ここでは、女性が母性神話に苦しめられる事例をご紹介していきます。


母性神話に苦しめられる女性ケース1:女性なら子どもが欲しい・育てたいと思うのは当然

「女性なら、子どもが欲しいと思っているはず」「子育てしたいと思って当然」「子育てって労働ではなく、女性にとっては喜びでしょう?」などの母性神話に苦しめられる女性もいます。


自分は子どもが欲しくない、と言うのがはばかられたり、育児が辛いと言えなかったりする女性も多いでしょう。


母性神話に苦しめられる女性ケース2:母親なら、子どもがかわいくて当たり前

子どもは自分とは違う人間です。子どもと気が合わなかったり、子どものことがかわいく思えなかったりすることも当然あるでしょう。


ですが、母性の存在を信じている女性は、「母親なのに、子どもがかわいく思えない私って母親失格」「子育てを休みたいなんていえない。子どもはかわいいはずだからがんばらないと」と自分を追い詰めてしまうことがあります。


母性神話に苦しめられる女性ケース3:子どもは母親が育てるべき

アメリカではベビーシッターを頼むのは当たり前のことです。ですが、日本では、他人に子育てを任せることは避難の対象になりがちです。最悪の場合、父親が育てているのに、「お母さんと離れ離れなんてかわいそう」などと言われることもあります。


このように、「子ども母親が育てるのが一番」という考えは、ワンオペ育児を助長することにつながります。


良き母親を目指すより、「ふたりで親になる」を目指そう

二人で子育て

母性という言葉が、自分を励ましてくれるものであるなら、なんの問題もありません。


ですが、「母性があるはずなんだから、がんばらなくては」「自分は女性なのに、母性がないなんておかしいんじゃないか」とプレッシャーを感じるのであれば、母性という言葉は、「誰かの利益のために作りだされた言葉かもしれない」ということを思い出していただければと思います。


「母親はこうあるべき」と高い理想を掲げ、良き母を目指すのは大変です。良き母親より、夫とふたりで良い親になることを目指してみませんか?


※1「母性は父権社会のイデオロギーであり、近代が作り出した幻想」だと説いたのは、フランスの歴史学者で哲学者のエリザベット・バダンデール。1980年に上梓した著作『母性という神話』(筑摩書房)において、「母性愛は本能ではない」と主張した。



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  • 今来 今 (フリーライター)

    神戸出身。編集者を経て現在フリーライター。複数メディアにて、映画評・書評・ルポなどを連載中。

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