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「女性の社会進出」という言葉に違和感。家事・育児は社会貢献じゃない?

  • 更新日:2019/04/17

近年、「女性が輝ける社会を作ろう」「女性の社会進出を後押しする制度を整えていくべき」という言葉を頻繁に耳にします。


こういった主張がなされるのは、日本の女性は、現状「社会に進出していない」と考えている人が多いからでしょう。


でも、実際に「女性は社会に進出していない」のでしょうか?


「女性の社会進出」という言葉に対する違和感。お金を稼いでいないと社会参加していない?

考える女性

一般的に、社会進出という言葉は、「家庭の外で働いてお金を稼ぐこと」だと思われています。


たしかに、日本では、

女性→家事・育児・介護

男性→外で働いている

という家庭が少なくありません。


「外で働いていること=社会進出」だとすると、社会進出していない女性がたくさんいる、ということになってしまいます。


でも、私は、ここに違和感を感じます。


「家事・育児・介護」をしている人たちは、そういった家庭内の仕事をすることで社会に関わり、貢献していると思うのです。家事をして、外で働いている人のサポートをすることは、間接的に経済活動を後押しすることになっていますし、育児は将来の日本の経済や文化を支える人材を育てているという意味でも大変重要な仕事です。


「外でお金が稼げる仕事をしていない」=「社会に関わっていない」とは言えないと思うのです。


「女性の社会進出」を合言葉に、これまでの、「同じような仕事をしていても、女性は出世できなかったり、男性よりお給料が安かったりする」という現状が改善され、男女平等に収入を得ることができる社会を目指すことは素晴らしいことだと思います。


ですが、外で働いてお金を得ることを、「女性の社会進出」と表現する必要はない、と思うのです。


外で働くことを「社会進出」と表現しているということはつまり、「お金を稼げる仕事をしていない人は、社会貢献していない」「家事・育児・介護などを無給で行う人は、社会で活躍している存在ではない」と考えているということですよね。


そう考えてみると、「女性の社会進出を!」と言う主張の影には、家事・育児・介護などを軽視している姿勢が見え隠れしているように思えるのです。


日本の歴史上、専業主婦がもっとも多かった時代は、1970年代半ば

専業主婦

ところで、日本で一番専業主婦の割合が多かったのは、いつの時代のことだと思いますか?


実は、今から約40年前の、1970年代半ばのことです。専業主婦の割合は1970年代半ばをピークとして、その後徐々に下がっていき、2000年代には共働き家庭の割合が専業主婦家庭の割合を上回っています。


つまり、「男性は外でお金を稼ぐ、女性は男性のサポートと家事を受け持つ」というスタイルが一番主流だったのは、1970年代だったのです。


ここにもうひとつの「女性の社会進出」という言葉に違和感を抱く理由があります。


「女性の社会進出」と聞くと、「これまでの歴史ではずっと女性は家事だけを担ってきており、外での労働はしていなかった。それが近年、家庭の外での労働にも関わるようになった。進歩!」というイメージになります。


ですが、歴史を遡ると、1970年代以前は、女性は家事以外の労働に従事していることが普通だったのです。(ただし、現在のように会社で働くのではなく、農業・林業・水産業などの第一次産業に家業として関わることが多かった)。


つまり、「ずっと家事に専念してきた女性の社会進出が近年進みつつある」というわけではないのです。


正確には、「昔から女性は家事以外の労働もしていた。1970年代に‘女性は家庭、男性は仕事’という傾向がピークに達したけれど、2000年には共働き家庭が主流に戻ってきた。ここ数十年で、女性が家事以外の労働にも従事する傾向が復活しつつある」ということなのです。


「社会進出」という言葉はやめませんか? 家事・育児・介護も社会参加だと思う

さまざまな女性

以上のことから、私は、「外で働いてお金を得ることを社会進出と表現するのは、やめませんか?」という提案をしたいと思います。


なぜなら、社会進出という言葉は、家事・育児・介護に専念している男女の自尊心を傷つけかねない言葉だと感じるからです。特に男性の場合、「働いてなんぼ」「男なら家族を養えるくらいの収入を稼がなければならない」という価値観にプレッシャーを感じている人は少なくありません。


日本は男女の賃金格差が先進国の中では極めて大きい国です。管理職・経営者・政治家などに占める女性の割合も極端に低いという現状があります。そういった現状を改善していくために「性別に関係のない公平な就業の機会と賃金が得られる環境」「出産・育児を経ても働き続けられる環境」の整備はもちろん必要です。


ただし、誰もが外で働ける能力や適性があるわけではありません。家事に専念したいと考える人や、そうせざるを得ない人もいるでしょう。


そういった人たちが不必要な疎外感に苦しめられることのないように、「家事・育児・介護を賃金労働よりも劣ったものだとする風潮」はなくしていくべきだと思うのです。その一つの方法が、「社会進出」という言葉をやめること、だと私は考えました。これは私の個人的な考えです。


みなさんにも、それぞれの方法で「みんなは普通に使っているけれど、なんだか違和感がある言葉」に向き合っていただければと思います。



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・「料理してないの?旦那さんかわいそう」。本当にかわいそうなのは誰?
・「男女間の賃金格差」は差別?役割分担?
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  • 今来 今 (フリーライター)

    神戸出身。編集者を経て現在フリーライター。複数メディアにて、映画評・書評・ルポなどを連載中。

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