王子を待つ女性

女性が王子様を待ち続けてしまう理由。シンデレラ・コンプレックスとは?

  • 更新日:2019/01/16

女性の中の何割が、「一生働き続ける」と考えているでしょうか?


「結婚したら家事もしっかりしたいからパートくらいがちょうどいいかな」

「子供ができたら働けないから。子供ができるまでは働くつもり」

そんな人も多いのでは?


では、自分が働かなくなった後、経済的な問題はどう解決するかというと、男性の収入に頼ることが想定されています。


「自分を経済的にも精神的にも支えてくれる王子様のような存在」がいつか現れるはず。そんな風に考えている若い女性も多いのではないでしょうか。


ただし、王子様は現実には存在しません。


女性と男性の仕事に対する感覚の違い

働く男女

経済的に不安定でも、誰かが助けてくれるだろう、と考えたり、仕事を一生続けるつもりはないと考えたりする女性は多いですが、男性の場合は違います。


男性の場合、家庭か仕事か、育児か仕事か、という選択肢を与えられていない、と考えている人が大半です。そのため、ほとんどの男性は、仕事は一生続けるものと鼻から考えています。


これは、とてもプレッシャーのかかることです。一生続ける予定の仕事の就活で失敗したり、途中で挫折してしまったりしたら、経済的に困るだけではなく、社会的評価が落ちたと感じたり、自分のアイデンティティがなくなってしまったように感じたりしてしまいます。


多くの男性はそういった「働き続けなくてはならないという社会的圧力」を小さい頃から感じているために、自分のキャリア選択には慎重になります。


女性の場合、出産や育児をきっかけに離職する人は少なくありません。そのため、「一生働き続けられるキャリアを歩みたい」と考えている人はマジョリティではありません。


女性はサポートや家事が向いている?

家事

さて、なぜ男女でこうも仕事に対する認識が異なっているのでしょうか?


その理由のひとつが、日本が家父長制を長い間維持してきた国だからです。家父長制とは、家族の中で、父親が一番偉い存在として君臨し、経済的な責任を負い、女性は家事をするという家庭の在り方のことです。


男性がしゃかりきに外で働き、女性が家庭を守りケアワーク(家事や育児・介護など)を受け持つことが、当たり前の形だとされてきたため、そういったロールモデルばかり見て育った人々は、「男なのだから家族が養えるくらいの給与が得られる仕事をしなければならないのかも」「女性は家事くらいできないと恥ずかしい」という価値観を内面化しがちです。


現代日本の20代〜30代の女性の両親は、「父親は外で働いて、母親はパートしながら家事を担う」という形の家庭で育った人が多いでしょう。親を見て育った女性は、「女性が一生かけて追いかけられる仕事をすること」にリアリティも憧れも抱きにくい、という面があるように思います。


そういった親世代からの影響に加えて、「女性は家事ができて美しければ幸せになれる」「女性は心優しく他人をサポートすることに向いている」「何事も責任を持つのは男性。女性はアシストするだけで良い」といった価値観を補強してきたものがあります。それは、メディアや物語です。


女性が王子様を待ち続けてしまう理由。シンデレラ・コンプレックスとは?

シンデレラ・コンプレックス

人間はたくさんの物語に触れながら成長していきます。


幼いころ、シンデレラや白雪姫などの物語に親しんできた、という女性は多いでしょう。そういった物語には数々の共通点があります。それは、「女性は美しさで異性を惹きつけ、王子様に見初められて幸せになる」「美しく、慎ましく、家事やケアができる女性は素晴らしい」というメッセージです。


シンデレラも白雪姫も、ガツガツと仕事や恋愛に奔走したりはしません。健気に、掃除(シンデレラは継母に言いつけられるままに掃除をする)や料理(白雪姫はアップルパイを焼くのが得意で7人の小人に重宝される)をし、無欲でいることで、「その美しさゆえに」イケメンで金持ちの王子様に見初められるのです。


こういった物語に親しんできた女性たちは、「女性は(その内面や知力ではなく)美しさゆえに愛される」「家事ができる女性が素晴らしい」「美しさと素直さがあれば王子様的存在が自分を助けてくれる」といった価値観を内面化してしまいやすい、と指摘されたのは、1981年、アメリカの作家コレット・ダウリングによってでした。


コレットは、誰かに面倒を見てもらいたいという潜在的願望により、女性が精神と創造性を十分に発揮できずにいる状態のことを、「シンデレラ・コンプレックス」と名付けています。


「シンデレラ」を美しい物語にしたのは誰?

シンデレラ

王子様を待ち続け、キャリアを追求したり教養を身につけたりすることを怠り、美貌を磨くことだけに時間とお金を費やしてしまったら、その先はどうなるのでしょうか? 物語の中では、慎ましやかに努力していて美しくさえあれば王子様が苦境から救い出してくれます。ですが、現実では、誰も責任をとってはくれません。


「シンデレラ」や「白雪姫」などの物語や、メディアで流布されている「内助の功を讃える風潮」「男性をサポートする役割を美談にする風潮」などを真に受けていると、後には、無力な、美貌を失うことだけを恐れる女だけが残ることになりかねないのです。


物語もメディアも、私たちに伝えられるには何かしらの理由があります。

「こういう男女の在り方が都合がよい」と考える人たちが、自分たちが望む価値観を強化するためだけに美化したストーリーを作り上げている場合も多々あります。自分を無力化してしまわないためにも、「これが女性の理想の生き方」「こういう女性の姿って素晴らしいよね」という情報に接したら、誰が、どういった目的で、どういった主張を通すために、伝えようとしているのか、について一度考えてみる必要があるでしょう。


伝えられることを鵜呑みにしないことが、「いつか素敵な王子様が現れて私の人生を変えてくれるはず」という呪いにかからないための唯一の道ではないでしょうか。



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・「料理してないの?旦那さんかわいそう」。本当にかわいそうなのは誰?
・「男女間の賃金格差」は差別?役割分担?

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・妊活・お金・介護・美容…40歳までに知っておきたいことリスト
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  • 今来 今 (フリーライター)

    神戸出身。編集者を経て現在フリーライター。複数メディアにて、映画評・書評・ルポなどを連載中。

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