自分磨き

あまりにもマイペースな我が子。一体いつまで待つのが正解ですか?

子供をいつまで待てばいいの?

現在、理系の大学に通う【なかめちゃん】の、小学生の頃のエピソードです。

当時小学2年生だったなかめちゃんは、何を話しかけても返事をもらうことが難しい、手ごわい子でした。学校の授業は一生懸命聞いてくるものの、おうちに帰ってきて宿題をやらせてみるとわからないことだらけ。

学校でやった国語のテスト問題を見せてもらいましたが、教科書で勉強した物語の場面について「いつ・どこで・だれが」を問うものに対して、なかめちゃんは本文とは遠くかけ離れた「自作の」くまさんの物語についての、「いつ・どこで・だれが」を答えていました。その独創性に先生方もびっくり。本文のどこにも登場していない「くまさん」がいったいどこから出てきたのか、先生方には皆目見当がつかなかったそうです。

ご両親はそんななかめちゃんのユニークさを大切にしてあげたいと心から思っていました。ですが、学校生活や授業のペースは、なかめちゃんのスピード感とはかなりギャップがありました。

ご両親は悩みに悩んだ結果、のじゃ塾にやってきました。



Case3 一体いつまで待ちますか?

なかめちゃん漫画

算数の絵本を使って、「仲間はずれ探し」をした時のことです。絵本にある例題で、前もって問題の解き方をいくつか練習しました。ちゃんと理解できていたので、次はなかめちゃんが自分だけで問題を解きます。

なかめちゃん、問題をしばらく凝視した後、何かを思い出したかのように顔を上げ天井を見つめています。


(何?何が見えるの?なかめちゃん?)


同じところに目をやりますが、私の目には白い天井しか映らない。


(あそこに、本の問題を映写しているのかしら)とか

(記憶のどこかを探ったりしているのかしら)とか

(まさか人に見えないものが見えるの?)とか。


必死になかめちゃんの心の様子を想像します。


実際に3分が経過するのを何もしないで待つ、ということをしてみるとわかるのですが、3分間って意外に長い。


なかめちゃんの視線が再び机の上に落とされました。でも、見つめているのは絵本の問題ではなく、絵本から完全に外れた何もない机の上……。


(も、もしかして、何を質問されたのか忘れちゃった?)

(もう一回、問いかけるべき?)


待つべきか、声をかけるべきか。机を凝視するなかめちゃんを凝視する私。

なかめちゃんからは『今、話しかけないで』のオーラがビシビシ伝わってきます。


(なかめちゃん…?)


そう私が口を開きかけたその時!なかめちゃんの指がはっきりと、図の中の『しいたけ』を指さしたのです。大正解!!!


(待っててよかったぁあああ)


心から、そう思いました。10分が経っていました

学習時間は30分間。

この日、なかめちゃんが解いた問題は3問でした。全問正解でしたが……。



待つ?待たない?待てないかも?

私はこの時、ひたすら待つことを選択しました。

待つ。声をかけたい衝動に駆られる。でも待つ。

子どもたちからの反応がないと、コミュニケーションが取れていないように思えて不安になるかもしれませんが、それでも待ちます。


「無言」も反応である、という視点を持つということです。

「考え中」かもしれないし「まだあなたとは相談するほど親しくない」かもしれないけれど、「無言」にも意味があるのです。

大抵はその「無言」の意味を私たちの側がネガティブにとらえてしまい、沈黙に耐えられなくなり声をかけてしまうのですが……。


彼女の心の中で何が起きているのかを、知りたい。

短い時間で答えを導き出すことを良しとする感覚に、「待った」をかけるようななかめちゃんのペース。ハイスピードで生活することに慣れた私たちには見えない景色を、見せてくれたように思います。


出来事から導き出される事実を見る

そしてもうひとつ大切なことは、なかめちゃんが「考えていたことそのもの」を評価すること。

このエピソードからわかる事実は、「彼女はとても根気強く、そして絶対に答えを導き出すという強い意志の持ち主である」ということです。


思い出の中のなかめちゃんは、いつもへの字に口を結んでいます。彼女の描く絵や作る工作の作品は、その根気強さに裏打ちされた、精密な観察力と豊かな世界観に基づいたものばかりでした。

小学2年生から中学卒業まで、まったく変わらぬペースで、独創的な学習方法で、8年間のじゃ塾に通い続けたなかめちゃん。そんな彼女も今は大学生。理系の大学でバリバリ研究にいそしんでいます。



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幼児から大人まで通える療育塾。

発達症、発達症のボーダー、学校や家庭での問題行動全般、不登校、拒食症、統合失調、ダウン症など、子どもたちに同じケースはひとつとしてありません。 自宅の一室で、「語らい」や「遊び」「学び」の中から発見される子どもたちの心の声を聴きながら、ひとりひとりに、オーダーメイドな授業、教育カウンセリングを実践しています。また、のじゃ塾の療育メソッドをもとに、感覚統合を促進させる運動療育チーム「まなまりんManaMarine」を発足。


  • いしづかみほ(学習・療育のじゃ塾塾長/日本子ども虐待防止学会会員/イラストレーター)

    「子どもたちが本来持っている才能を存分に発揮できるよう双方向で作る授業」と「彼らのありのままを理解する教育カウンセリング」を軸とした療育を実践しています。

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