恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~

【小説#81】「押し付けないで」彼氏からの本音に感じた衝撃

  • 更新日:2019/05/21

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前回のあらすじ:帰宅すると、弘はベッドで元気そうにスマホを見ていた。部屋は散らかり、放置された不在伝票が。 一瞬で怒りが湧く夏美。思わず弘に不満をぶつけてしまう。 無視を決め込む弘だったが、冗談で叩いた一撃が痛かったのか、ムクリと起き上がり夏美を不機嫌そうな顔でにらみつける。 ドキリとするが、もう後戻りができない。“些細な喧嘩”が、今始まってしまった。

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~:第81話:「押し付けないで」彼氏からの本音に感じた衝撃

「その話、もう終わった?」

弘からの低く怒りがこもった言葉に、夏美はうまく言い返せない。

「あのさ、体調悪いのは本当だし、家のことは後でやろうと思ってた。なんでそんな機嫌が悪いの?どうしたら良かったの?」

「着たものはちゃんとしまって欲しいし、不在があったら再配達の連絡くらいしてほしかった」

「わかったよ」

「分かってないでしょ。いつもじゃん」

「いつもじゃないよ」

「嘘。だって昨日だって服脱ぎっぱなしだったじゃん」

「別に片付けてって頼んでないじゃん」


些細な喧嘩とは、きっとこういう正解のない喧嘩の事を言うんだろうな。

弘の声を聞きながら、怒りよりも今度は不安感のほうが大きくなる自分を感じる。

第81話

「夏美ってさ、いつも押し付けてくるよね。」

「どういう事?」

「自覚ないの?いつも自分の都合で押し付けてきて、思い通りにならないと怒るじゃん」

「そんな事、ないでしょ!」

「そんな事あるよ。結婚だって家事だって、俺だって考えてるよ。でもいつも自分の気持ちばっかり押し付けてさ、うんざりするよそういうの」

「え………」

久しぶりに弘から出る『結婚』の二文字が、こんな悲しい話に使われるなんて…。夏美は驚きと悲しみから、文字通り返す言葉を失ってしまう。

「そんな風に、思ってたの?」

「思ってたよ。同棲だってこれからの事だって、結局自分の希望しか通してないでしょ」

「そんな事…だって、私、家事だって頑張ってるのに」

「家事を頑張ってくれるのはありがたいけど、俺は頼んでないよ」

「そ…そんな事…」

膝から崩れる。という言葉があるが、まさに足元からふわっと力が抜けていくような感覚に苛まれる。

確かに頼まれてない。頼まれてないけど、じゃあ私が何もやらなかったほうが弘にとっては幸せだったのだろうか。私が借金や将来や家の事を考えるのは、全部押し付けだってことだったのだろうか。

「もう…いい…わかった…」

一刻も早くこの場から去らなければ。危険信号が全身を包み込む。

否定されたと言えば簡単だが、もっと深く、そして夏美の何かを弘の言葉は貫いた。それはもしかしたら“図星”という類のものかもしれない。

とにかく離れたい。

その一心で体を動かし、右足、左足、右足、左足。

気づいたら夏美は、近所のファミレスの入り口まで来ていた。入ろうか入るまいか迷っていると、後ろから楽しそうな笑い声とともに、若い家族連れが夏美を追い抜いていく。


NEXT ≫ 第82話:その愛は押し付け?本当に彼のこと愛してる?と聞かれて迷う心



■連載を1話から読む

第1話:とにかく結婚したい!家族の輪から取り残されるのは、私が独身だから?



■恋愛パラドックス|バックナンバー

第76話:向き合い直した恋人を、もう一度ちゃんと好きになれるのか


第77話:好きだった頃が思い出せない?すれ違う彼に感じる虚しさ


第78話:気づいたらすれ違う2人。埋まらない溝に気づいたときどうする?


第79話:デート中の些細な喧嘩!私は悪くないのに、どうしたらいいの?


第80話:何もしてない彼氏に怒り!ぶつけた後に返ってきた思わぬ反応



▼前作の小説はコチラ!

第1話:行きたくない合コン!そこで待っていた地獄の時間



  • おおしまりえ (恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)

    水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。

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