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【小説#48】浮気相手とのいざこざを本命彼氏で癒やす女

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~

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前回のあらすじ:季子に相談してからというもの、暇さえあればどうしたらいいのか、どうしたいのか、そんな答えのない問いが駆け巡っている。ついには幸せの真っ只中にいる新婦にまで「どうかした?」と感づかれてしまう。 なんでもない…とその場を収めるが、偶然にも幸太が今彼女と電話しているという情報を耳にし、血の気が引いてしまう自分がいた。彼女がいることは薄っすらわかっていたけれど…。夏美は目の当たりにした現実に、一層悩みを深めるのだった。

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~:第48話:浮気相手とのいざこざを本命彼氏で癒やす女

彼女がいたんだ。知っていたはずなのに、気持ちの揺れが止まらない。

止まらないどころか、燃えていたはずの気持ちが、一気に冷える。


喫煙所に行っていた幸太が、1人遅れて戻ってくる。

スマホをいじりながら、どこか気まずそうな顔をしている。気がする。


「お前、大丈夫なの?」


すかさず新郎が声を掛けると、「ああ、悪い」と苦笑いして幸太が答える。


「なになに?彼女と何かあったんですかー?」


わざとらしく今度は新婦が声をかける。

夫婦連携プレーは完璧だな。夏美は心の中で、聞きたいのか聞きたくないのか、分からないこの状況を、少し冷ややかな目で傍観する。


「うん、ちょっと年明け向こうの実家に行くかもしれなくて、その予定がさ」


「えー!?ついに幸太先輩もご結婚されるんですか?」

第48話

わああっと新婦が大げさな顔で祝福すると、「違うんだ。俺の出張ついでで話が出ただけ。正直時間が取れるか微妙なんだよ」と、幸太は面倒そうに話し、このくだりは閉じられた。


幸太は私に気を使ってそう言ったのか。それとも彼女との実家訪問は本当に面倒なのか。モヤモヤとした感情が夏美を頭から包み込む。

でも話題はすでに結婚式のことへと移ってしまった。

夏美は幸太への湧き上がる感情がどういうことか理解しきれず、さらに頭を締め付ける気がして、「今日は絶対に早く帰ろう」ともう一度反芻した。



外が暗くなりきらない頃に帰宅するのは、久しぶりかも。

自宅までの道を歩きながら考える。足取りが重く、力ないのは、幸太のせいか、それとも疲れているせいなのか、自分でもよくわからない。

「ただいま」

と扉を開けると、部屋から出汁のやわらかで懐かしい匂いが香る。


「おかえり。体調悪いって言ってたから、今日は夕飯作ったよ」


弘は台所に立ちながら声をかけ、夏美は瞬時に抱きつきたい欲求がわき起こり、気づいたときは実行していた。


「何?どうしたの?」


狭い台所で男を急に後ろから抱きすくめる女という図は、通常ではあまり見かけないかもしれない。


「調子、悪い…」


味噌汁と弘の匂いをいっぱいに吸い込み、夏美はかろうじて返答する。


「横になってな。ご飯食べられそうなら、用意するから」


「…うん」


そのまま今度はベッドにつっぷし、本当にカラダが火照っていることを実感する。

ああ、熱があるな。自分をいたわりながらも、次の瞬間には自分のズルさが沁みてくる。


浮気相手の振る舞いに落ち込み、それを本当の彼氏で癒やす。


「私って最低だな」


弘に聞こえないように、夏美はマクラに向かってつぶやいた。



NEXT ≫ 第49話:私は浮気相手。改めて言い聞かせるもスッキリしない気持ち…



■連載を1話から読む

第1話:とにかく結婚したい!家族の輪から取り残されるのは、私が独身だから?



■恋愛パラドックス|バックナンバー

第43話:平然と装うたびに、溢れ出る感情のほころびたち


第44話:浮気から始まる恋は、幸福感とともに悪いクセを呼び起こす


第45話:彼とも浮気相手とも別れられず、決断できない恋愛はどこへいく?


第46話:マンネリ彼氏を前に浮気に走るのは悪では無くて当然のこと?


第47話:悩みすぎて周りに影響も…浮気相手と彼氏、望んだ未来があるのはどっち?



▼前作の小説はコチラ!

第1話:行きたくない合コン!そこで待っていた地獄の時間



  • おおしまりえ (恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)

    水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。

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