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「ゲイに対する偏見は自分にもあった」歌人・鈴掛真さんインタビュー:後編

鈴掛真インタビュー後編

今回は、前回に引き続き、『ゲイだけど質問ある?』(講談社)を上梓されたばかりの歌人、鈴掛真さんのインタビュー後編をお届けします。


鈴掛 真 (すずかけ しん)

歌人。1986年2月28日生。愛知県春日井市出身。東京都在住。名古屋学芸大学メディア造形学部卒業。短歌結社「短歌人」所属。広告会社でコピーライターを3年間経験後、「短歌のスタンダード化」を追求し、作家業に専念。著書に『好きと言えたらよかったのに。』(大和出版刊)ほか。


ゲイであることは、辛いことや苦しいことではない

――『ゲイだけど質問ある?』では、「メディアではゲイなどの性的マイノリティが取り上げられるとき、どれだけ苦労したか、など負の側面をフィーチャーすることが多いけれど、苦労や辛いことばかりではない」と書かれていました。


鈴掛 :そうですね。ゲイであることでマイナスなことがなかったか、というとそうではありません。ゲイであることを隠していたときは、同性の恋人ができても相手を女の子に置き換えて周りに話していたりして、親しい人に自分のことをオープンにできないもどかしさはありました。

ですが、「性的マイノリティ=辛い」というわけではないんです。たとえば、僕は、広告会社を辞めて作家になったんですが、異性愛者の男性の場合、結婚して子供を養って、ということを考えると、会社を辞めるという選択がもっと難しかったかもしれないな、と思います。

僕はゲイだから、「あ、結婚しなくていいから、自分のお金は全部自分で使えるじゃん」とか思いましたし(笑)。ゲイであることで、「男性だからこうするべき」というプレッシャーから少し自由になれる、という側面はあるかもしれません。

鈴掛真インタビュー

結婚は平等に与えられるべき権利。偏見をなくすために、変えていく必要がある

――なるほど! 「男性なら家族を養えないと」とか「家庭をもたないと」というプレッシャーから逃れられるというプラスの面もあるわけですね。ところで、現状日本では同性愛者には、結婚という権利がありませんが、この点についてはどう思われますか?


鈴掛 :同性同士でも結婚できるような制度があった方がいいと思います。

本来、誰にでも与えられているはずの「愛する人と結婚できる権利」が、同性愛者には与えられていないわけです。事実婚を選ぶような男女も増えてきたけど、「結婚という選択はできるけれどしない」というのと、「結婚という選択肢がもともとない」というのは全然意味が違いますよね。制度が整っていないことも、日本でLGBTに対する理解が進んでいない要因のひとつだと思うので、制度から社会を変えていくというのも大切だと思っています。


「偏見」だと気がついていない「偏見」は自分の中にもあった

画像の内容を文章で入れる

――ところで、本書を書かれた目的に、「LGBTを身近に感じてもらう」という目的に加えて「短歌に親しんでもらう」という目的もあったとお伺いしました。恋愛の切なさを綴った短歌が素敵で、やはりゲイの方は女心も理解されているんだなあと思いました。


鈴掛 :それもよくある誤解なんですよね(笑)。

「ゲイ=女っぽい」「ゲイ=男の気持ちも女の気持ちもわかる」っていうわけではないんです。ある時期まで、僕自身もそういう社会の偏見を鵜呑みにしてしまっていたんですよね。「自分はゲイだから、女性の気持ちも一般の男性より分かっている」と考えて、女性向けのメディアの編集に携わったこともあったくらいですから。

でも、そこのメディアの編集長に、「鈴掛くんって、ゲイだからもっとフェミニンなのかと思っていたけど、中身は完全に男だね」って言われて、ハッとしたんです。「自分は恋愛対象が男性というだけであって、中身が女性的なわけじゃないのか」と。

当事者でも、そういった社会の偏見を当たり前のものとして認識してしまっていることってあるので、当事者以外の人が偏見を持ってしまうのって、ある意味仕方ない部分でもあるかな、と思います。

そういった偏見を無くしていくためにも、「オネエじゃないゲイだっているよ」「ゲイだからって心が女性なわけじゃないんだよ」ということは発信していきたいと思います。


――たしかに、偏見を無くしていくためには、「身近な存在なんだよ」ということを発信していくのは大切ですよね。では、最後に、鈴掛さんの今後の活動についてお伺いできますでしょうか?


鈴掛 :歌人として、短歌をもっと身近に感じてもらえるように発信していきたいと思います。雑誌やテレビなど、メディアの露出も増やしていく予定です。僕みたいなタイプがメディアに出て行くことで、「ゲイ=オネエってわけじゃないんだ」など、LGBTについてより身近に感じてもらえるきっかけになったら嬉しいですね。

鈴掛真インタビュー

――ありがとうございました。今後のご活躍も楽しみにしています。


『ゲイだけど質問ある?』(講談社)は、とても読みやすくて、優しい語り口なのに、ハッとさせられることも多い一冊でした。「知っていたつもりだけど知らなかったこと」や「自分の中にある偏見とも自覚していない偏見」にも気がつかされる、LGBTの入門書とも言える作品です。各章の終わりに短歌が掲載されていて、温かい気持ちになれるのもいいですね!


「LGBTについての理解を楽しみながら深めたい」「自分のセクシャリティについて悩んでいる」という方は一度手にとってみてはいかがでしょうか?




関連リンク

・「ゲイだけど質問ある?」歌人・鈴掛真さんインタビュー:前編


・「ゲイに対する偏見は自分にもあった」歌人・鈴掛真さんインタビュー:後編


鈴掛真さん著書

『ゲイだけど質問ある?』は講談社から好評発売中。

  • 今来 今(フリーライター)

    神戸出身。編集者を経て現在フリーライター。複数メディアにて、映画評・書評・ルポなどを連載中。

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