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「ゲイだけど質問ある?」歌人・鈴掛真さんインタビュー:前編

鈴掛真インタビュー

2018年は、LGBT元年とも言えるほど、日本でセクシュアル・マイノリティ 関連の話題が取り上げられることが多い年でした。

ところで、みなさんには、LGBT(レズ・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー)の友達や家族はいますか? 「いない」「ひとりだけいる」「友達の友達がそうだと聞いたことがある」という人が多いのではないかと思います。これはよく考えたら不思議なことです。『世界がもし100人の村だったら』(マガジンハウス)という絵本によると、統計的には100人に10人、つまり、10人に1人は同性愛者なのだとか。


たくさんいるはずなのに、「ほとんどいない」と私たちが考えているのは、もしかしたら、LGBTの当事者たちが、自分のセクシャリティを言えないでいるだけなのかもしれません。

今回は、遠いようで実は身近な、LGBT当事者のお話をお伺いします。お話を伺ったのは、歌人の鈴掛真さん。2018年11月に、そのままずばりのタイトル『ゲイだけど質問ある?』(講談社)を上梓されたばかり。


「ゲイはみんなどこかフェミニン(オネエキャラ)」「セクシュアル・マイノリティであることは、辛いことばかり」という偏見が打ち砕かれたインタビューをお届けします!


鈴掛 真 (すずかけ しん)

歌人。1986年2月28日生。愛知県春日井市出身。東京都在住。名古屋学芸大学メディア造形学部卒業。短歌結社「短歌人」所属。広告会社でコピーライターを3年間経験後、「短歌のスタンダード化」を追求し、作家業に専念。著書に『好きと言えたらよかったのに。』(大和出版刊)ほか。


広告会社勤務を経て、歌人に。カミングアウトは不安だった

鈴掛真インタビュー前編

――鈴掛さんは、現在、歌人として活動されていらっしゃいますよね。これまでの経歴をお伺いできますでしょうか?


鈴掛 真(以降、鈴掛) :名古屋学芸大学を卒業後、3年間の広告会社で勤務していました。自分の表現を模索してくうちに、短歌という表現に行き着いて、今は歌人として短歌を発表しています。


――同性愛者であることも公表されていますが、会社員時代もカミングアウトはされていたのでしょうか?


鈴掛 :いえ。会社で働いているときは、社内でカミングアウトしようという気持ちは一切なかったんです。年配の人も多い会社ですし、理解を得られるかも分かりませんでしたから。

もし今も会社員を続けていたとしたら、親しい人には言っていても、会社内ではカミングアウトはできていなかっただろうな、と思います。僕の場合は、親しい人にカミングアウトすると同時に、書籍(『好きと言えたらよかったのに。』2012年)を発売するタイミングで、公にもゲイであることをカミングアウトしたんですよね。

そのときは、本の発売前の一週間くらいは、「どうしよう、本当にカミングアウトして大丈夫なのかな」と不安な気持ちが大きかったです。でも、実際に発売してみたら、意外と温かく受け入れてくれる人ばかりだったので、嬉しかったですね。



「全員がカミングアウトすべき」とは思わない

――鈴掛さんの場合は、友人にも家族にも比較的スムーズに理解してもらうことができたんですね。


鈴掛 :そうですね。人間関係に恵まれていたと思います。でも、僕は全員が全員カミングアウトするべきだ、とは思っていません。一度カミングアウトしたら、取り消せませんから、相当の覚悟がないとするべきではないのかも、と思っています。

僕自身はゲイであることを公表しているので、ゲイの友達から「カミングアウトしようか迷っている」という相談を受けることも多いんです。相談を受けた場合、僕は、「覚悟を決めたのなら、してもいいと思う。でも、まだ迷いが少しでも残ってるなら、まだそのタイミングじゃないんじゃない?」とアドバイスをしています。

自分自身がセクシャリティのことで迷っている渦中だった場合、ご両親などに言っても、その迷いって相手にも伝わるし、「正気じゃないんじゃないか」って混乱させたり、受け入れてくれなかったりすることも考えられるので。

鈴掛真インタビュー前編

「オネエじゃないゲイ」がいることも知らない人は多い

―海外の映画スターや文化人などは、自身がLGBTであることを公表するケースが多いと思いますが、日本だとあまりみられないですよね。それはなぜだと思いますか?


鈴掛 :そうですね。今年だと勝間和代さんが女性のパートナーがいることを公表されていましたが、数的にはあまり多くはありませんよね。やはり日本はまだまだ「逸脱したくない」「波風立たせたくない」という意識が大きいのだと思います。日本ではオネエ系タレントさんは多いですが、オネエではないゲイの人はメディアで取り上げられにくいというのもあって、「オネエじゃないゲイ」がいることを知らない人も多い。

知らないことが多いからか、世間のLGBTに対する偏見はまだ根深いな、とも正直思います。ある全国1000人を対象にしたアンケート調査によると「同じ職場にLGBTの人がいるのを約35%の人が好ましくないと考えている」という結果も出ています。受け入れられる可能性が低いと分かっていたら、やはりカミングアウトしようという気持ちになりませんよね。

ただ、やはりそういった偏見を無くしていくためには、当事者がカミングアウトしていくことが必要だと思うんです。難しいとは思いますが。近年では、企業が「LGBT差別をしない」ことを企業理念に掲げているところも出てきたりしているので、今後、よりカミングアウトしやすい環境が整っていけばいいな、と思っています。



後編へ続く


関連リンク

・「ゲイだけど質問ある?」歌人・鈴掛真さんインタビュー:前編


・「ゲイに対する偏見は自分にもあった」歌人・鈴掛真さんインタビュー:後編


鈴掛真さん著書

『ゲイだけど質問ある?』は講談社から好評発売中。

  • 今来 今(フリーライター)

    神戸出身。編集者を経て現在フリーライター。複数メディアにて、映画評・書評・ルポなどを連載中。

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