恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~

【小説#23】不意打ちにダウン寸前!彼ではない男との秘密の夜

  • 更新日:2019/03/19

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前回のあらすじ:ついに借金をした理由について弘に問う夏美。しかし返ってきたのは「返済しているから心配しなくていい」という、夏美を満たしてくれる答えではなかった。理由をちゃんと聞いて安心したかった夏美は、弘に対して怒りをぶつける。同時に、弘は1回こうと決めたら、すぐに意見を変えるような人でないこともわかっていた。すれ違う感情に、夏美はただただ困り果て、泣きそうになるのだった。

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~:第23話:不意打ちにダウン寸前!彼ではない男との秘密の夜

相手が今どんな気持ちかはわかってる。わかってるからこそ、踏み出せない一歩もある。


3日前に借金のことを問い詰めてから、今日までほとんど会話をしていない。夏美は未だにモヤモヤした気持ちを抱えていたし、弘は多分、気まずさと面倒くささから夏美を避けている。

この状況が手に取るようにわかる。だからこそ、折れることができない自分と、歩み寄ってくれない彼と、そして3日後に迫る食事会のことを考えると、焦りと苛立ちばかりが募っていた。


そんな中、今日は幸太との約束が待っていた。正直、この混乱した状況の中、彼から強めのアプローチがあったら、自分を保てる自信がない。

夏美は待ち合わせの店に向かいながら、愚痴らないように、変な墓穴を掘らないようにと、自分にブツブツと暗示をかける。


今日のお店は、グルメマンガでも紹介されたという創作和食のお店だ。白檀の香りがほのかに漂う入り口を通れば、カラダ中に後ろめたさをまとった感覚がする。席に案内されると、すでに幸太は座っていた。掘りごたつに足を通すと、自然と秘めやかな空気が生まれる。


「お疲れ様です、待ちました?」


声をかけると、「全然」と変わらぬ笑顔で答える彼に、胸のあたりが締め付けられる。優しさと爽やかさに、ただただ寄りかかりたくなる。ぐっとこらえてお酒を頼み、他愛もない話しをし始める。仕事が忙しいとか。海外に行きたいとか。最近観た映画のこととか。

どれも楽しい。いつまでもこの空気に包まれていたい。

なんだか、今日はいつもより目があう時間が長い気がする。


「夏美ちゃんの爪って、自分でやってるの?本物?」


「えっ!?」


幸太は夏美の手をおもむろに取り、難しそうな顔で爪を観察する。


「一応ジェルネイルは自分でやってます…最近は自宅でできるものも増えてて…」


手を取られ、あらためてじっと見つめられると、急に羞恥心のスイッチが入ってしまう。


「凄いね!器用なんだね」


幸太は思っているより長い間、「キレイだな」とか「器用だね」とつぶやきながら、夏美の爪を眺め続ける。


不意打ちともいえる幸太の行動に、夏美は自分の熱が伝わらないかヒヤヒヤしっぱなしになる。幸太の目線は、いやらしいような、好奇心にあふれているような、お酒のせいなのか、とても潤んでみえる。

なんだか、今日は、なにかが起こりそうな気がする。


第23話

状況にドキマキしながら、手を放してお酒の冷たさで冷静さを取り戻す。ふうっと息を吐ききると、一瞬弘の顔が脳裏に浮かぶ。

夏美は無意識に床に置いたスマホを触り、連絡がもし来た時に備えてみるが、心とは裏腹に鉄の塊が震える気配はなかった。



NEXT ≫ 第24話:握られた手、思わず急接近するデートの行方は…



■連載を1話から読む

第1話:とにかく結婚したい!家族の輪から取り残されるのは、私が独身だから?



■恋愛パラドックス|バックナンバー

第18話:ついに始まるプチ浮気デート!その時心の中にいたのは…


第19話:結婚したいけど問題山積!酔った勢いで確信に迫る!?


第20話:結婚がしたいけど問題が片付かない!頼った先で言われたアドバイスとは


第21話:借金のある男は問答無用でダメ男?問われて気づくお金への思い込み


第22話:ついに問い詰める借金の真相!そのとき彼が話したことは…



▼前作の小説はコチラ!

第1話:行きたくない合コン!そこで待っていた地獄の時間



  • おおしまりえ (恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)

    水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。

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