恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~

【小説#13】棚の中からさらに秘密が!「真実が知りたい」は誰を幸せにするのか

  • 更新日:2019/03/19

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前回のあらすじ:謎の青い封筒。それを確認したのは、結局発見から2日後であった。通知書と書かれた書面には、弘が過去に120万円の借金をしていたことが記されていた。眼の前が真っ白になる夏美。と同時に、彼はなぜこの借金を作ったのか、他にも秘密があるのではないかと気になり始める。 確認しなきゃ!夏美は冷たくなったカラダを動かし、一目散に自宅へと足を向けていた。

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~:第13話:棚の中からさらに秘密が!「真実が知りたい」は誰を幸せにするのか

調べるっていったって、何を調べたらいいんだろう。

早足に商店街を駆け抜けながら、夏美は部屋の中を思い浮かべ、物色する場所の目星をつけ始めていた。

彼の私物はそう多くはない。怪しいのは各種書類が入ったダンボール。そして、引っ越しのときに拒否されたテレビ棚の下。

弘の帰宅時間を考えると、早く中身を確認したい気持ちが湧き上がる。夕飯はこの先のお弁当屋さんで適当に買ってしまおう。こんな日でも平穏無事な日常を装うとする自分に、少しだけ笑いがこみ上げる。


弘のことが本当に好きだから心配なのか。裏切られた気持ちに怒っているのか。結婚のための判断材料を探しているのか。

そして、彼を信頼するために知りたいのか。

弘のプライベートに無断で侵食し、引っかきまわす罪悪感を正当化できそうな理由を挙げても、夏美には、そのどれもが本心ではない気がしていた。

ただ今は、真実が知りたい−−−。


肩で息をしながら、夏美は部屋へと戻り、まずは携帯のマナーモードを解除する。弘からの帰宅連絡を取り漏らさないためだ。


あらためてテレビ棚の前に正座し、呼吸を整え、両手で扉を押し開ける。中にはクリップで止めた給与明細や、無数のファイルがドカドカとしまわれていた。

1つ1つ、その中身を確かめる。これは給与明細。これは病院の領収証。これは携帯の明細……。弘の性格は、整理はしないけどとりあえず捨てないタイプ。夏美は書類の場所を忘れぬよう慎重に取り出しては、中身をそのつど読み解いていく。


すると、クレジットカード明細に違和感を覚える。明細に書かれた数字には、ショッピング利用とは別に、キャッシング枠の欄に、限度額に近い数字が書かれ、毎月数万円の返済をしている形跡があった。

今月も、先月も、先々月も。月々少ない金額だが、リボ払いで返済をしている。金額にすると100万円ほど。


「これ、合計で220万円の借金があるってこと?」


夏美は見たくなかった事実と散乱した書類の山を前にカラダが動かなくなる。明細を力なくもう一度見つめていると、部屋の前にコツコツと足音が近づくのが聞こえる。


第13話

「え?もう帰ってきてるの??」


思わず扉の方を向き、慌てて書類やファイルをかき集め、元の位置へと押し込んでいく。ガチャガチャと鍵を回す音がし、夏美は弘の帰宅を確信する。

扉の外に音がもれないよう静かに書類を整え、扉をパタンとしめ、サッと無音で立ち上がると、キッチンの方へとすり足で移動する。


ガチャっと扉が開くと同時に、夏美は驚いた風に「弘?」と声をかける。

「あれ」とお互い驚きながら声を掛け合うと、一瞬気まずい空気が流れたような気がする。


「なんか体調悪くって、早めに帰ってきた。寝るわ」


ぶっきらぼうに言い放つと、弘は寝室へと入ってしまう。

夏美は弘の顔が見えなくなると、自分の心臓がドクンドクンと早く大きく脈打っていることに、初めて気づいた。



NEXT ≫ 第14話:言い出しにくいお金の話!



■連載を1話から読む

第1話:とにかく結婚したい!家族の輪から取り残されるのは、私が独身だから?



■恋愛パラドックス|バックナンバー

第8話:幸せなはずの二人の生活がなぜか息苦しい理由


第9話:好きだから頑張る!でもそれって純粋な愛じゃない!?


第10話:愛は信頼とバランス!言われて感じる「頑張る私を否定しないで」


第11話:家事をやらずに心配する彼は優しい男?


第12話:彼の秘密が発覚!そのとき浮かぶ彼への疑い



▼前作の小説はコチラ!

第1話:行きたくない合コン!そこで待っていた地獄の時間



  • おおしまりえ (恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)

    水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。

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