恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~

【小説#10】愛は信頼とバランス!言われて感じる「頑張る私を否定しないで」

  • 更新日:2019/03/19

≪ 先に前回を読む

前回のあらすじ:突然のしんどさを解決するため、夏美は再びチュベローズに書き込みをする。『彼のことが好きなのに、一緒に生活していると辛い』どうしたらいいのか季子に聞いている自分に恥ずかしさを感じるも、今頼れるのはネットの世界だけだった。そうして受けとった返信は、『頑張ることは愛ではない』と書かれていた。その真意とは…。

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~:第10話:愛は信頼とバランス!言われて感じる「頑張る私を否定しないで」

『好きだから頑張るという行為は、純粋な愛に見えて愛ではありません』


トイレの壁にもたれかかり、夏美はスマホの文字を何度も読み返していた。


『家事や身の回りのことを頑張っているのは素晴らしいことです。でも実はその行為には、自分の理想を叶えたいためにやってしまっていることが、よくあります。愛しているなら、信頼とバランスを大事にしてみるのも1つです。』


「これって、どういう意味?」


夏美は頭にクエスチョンマークを浮かべながら何回も読み返し、自分のやっていることを回りくどく否定されているんだなという事実に、力が抜けていく。

スマホが今にも手のひらから滑り落ちてしまいそうだ。

この人は、「あなたのやっていることは全部間違っている」とでも言いたいのだろうか。優しい口調で書かれた手厳しい文章からは、夏美にヒントは投げつけてくるけど、答えを出してくれはしない。


第10話

「で、どうしたらいいのよ…」


定時まであと1時間。この場から動けず、答えもわからない頭の中は、次第に怒りの色に染まっていく。


ブブッとスマホが鳴り、弘からのLINEが入る。


『今日早いんだけどご飯どうする?たまには外食する?』


めずらしい提案に気分が一気に明るくなる。

でも次の瞬間には、冷蔵庫には中途半端な野菜が残っていることを思い出し、急に現実的な計算が頭の中を駆け巡る。


『ご飯だけど、今日水菜を使っちゃいたいんだよね…』


『そっか。わかった』


手早く返信すると弘からも短い返事が来て、少しがっかりする自分がいる。


「別にちょっとくらい野菜駄目にしたっていいじゃん!外で食べよう!」なーんて、弘に強引に引っ張ってもらう展開が欲しかった。分かっていたけれど弘はいつだって私の“言葉”を尊重する人だ。ため息をつきながらレシピサイトを見始める。情報の羅列に急激にエネルギーを奪われる気がして、夏美はとっさに画面を閉じ、深呼吸する。


「信頼とバランスねえ…」


そうつぶやくと、なんだか自分が毎日気を張っていることが馬鹿らしくなってくる。


『やっぱり今日外で食べよー!お店は任せる』


そう打ち込んで送り直すと、少しだけ気分が軽くなる。弘の選ぶ店は、いつも決まって近所のラーメン屋か定食屋だ。それは予想できているけど、それでもテーブルに座り、向かい合って食べるご飯は新鮮で嬉しい。

夏美は個室の扉をあけ、鏡に向かってティントリップを塗り直す。


頭の片隅には、季子からの厳しい言葉も残ってはいるが、明く色づいた唇を見ると、この後の予定のことが不安感を消し去っていく。

何を食べさせてくれるんだろう。弘とのデートを考えると、ちょっぴりワクワクして広角が上がってきてしまう。


『まだなんにも解決策は出ていないでしょ……』


心の中で自分を律しながらも、頬を押さえて足取り軽くオフィスへと戻っていく。季子からのアドバイスは、厳しいことを言われた事実だけが、頭のすみに残っていた。



NEXT ≫ 第11話:家事をやらずに心配する彼は優しい男?



■連載を1話から読む

第1話:とにかく結婚したい!家族の輪から取り残されるのは、私が独身だから?



■恋愛パラドックス|バックナンバー

第5話:絶対結婚するんだ!料理を作り、一緒になりたいと伝えた結果は…


第6話:同棲準備は楽しいことだらけ!でもそれって2人とも楽しんでる?


第7話:同棲前日!幸せの中にある焦りと不安の正体とは


第8話:幸せなはずの二人の生活がなぜか息苦しい理由


第9話:好きだから頑張る!でもそれって純粋な愛じゃない!?



▼前作の小説はコチラ!

第1話:行きたくない合コン!そこで待っていた地獄の時間



  • おおしまりえ (恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)

    水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。

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