恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~

【小説#9】好きだから頑張る!でもそれって純粋な愛じゃない!?

  • 更新日:2019/03/19

≪ 先に前回を読む

前回のあらすじ:楽しいはずの同棲は、2ヶ月目にして夏美に異変を生み出していた。弘のことが大好きで、2人の生活を夢見ていたはずなのに。頑張れば頑張るほど、日常に見える違和感がたまり、夏美はある日爆発する。でもその爆発が、彼に対する怒りなのか、変化によるストレスなのかが、わからないままただ涙を流すだけだった……。

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~:第9話:好きだから頑張る!でもそれって純粋な愛じゃない!?

『彼のことが好きなのに、一緒に生活していると辛いんです』


夏美はスマホに文字を打ちながら、思わず出た本音にため息をつく。


弘との生活への不満は、結局また季子に相談することにした。一旦はアドバイスを受け、同棲を決めて「幸せです、がんばります」と宣言してやり取りを閉じたはずだったけど、2ヶ月でサイトに戻ってくるとは。

数日間は恥ずかしさと誰かに聞いてもらいたい気持ちのせめぎあいだったけど、友達に理解してもらえない以上、夏美には今、チュベローズという拠り所しかなかった。


彼のことは好き。


それは嘘じゃないし本心だ。それなのに、彼のためにいろいろ頑張るほど、夏美の中には不安感や不快感が広がっていくのがありありとわかった。あの日ボロボロと流れ出た涙は、広がりすぎた色んな黒いモノが、カラダの外側に溢れ出したものなんだろうと思っている。


でも、結局そんな状態であることも、弘には伝えることができないでいた。

相談することで2人の空気が悪くなり、この生活に影が差し込むのは本望ではない。

そう思う気持ちの方が今はまだ強いのだ。


第9話

結婚したい気持ちは今もあります。でも、結局彼はそれについて考えている雰囲気はないんです。とにかく悪い状況から脱して進むために、私はこれからどうするべきなんでしょうか?


質問を送信し、「これからどうするべき」という一文を見ながら、他人に聞くのも変な話だよなと思い始めたら、とたんに恥ずかしさが噴き出してくる。


自分の人生を会ったこともない他人に委ねるなんて。自分も相当参っているな。


夏美は仕事に戻りながら、終業までにやることを整理し、夕飯のメニューを考え始める。

昨日使いきれなかった水菜を今日は使ってしまいたい。水菜は使い勝手がいいけれど、痛むのが早いからちょっと困る。野菜を買い足してサラダにするか、それとも和え物にしようか。結局料理って、1回で材料を使い切ることがないため、自発的にやめようと思わない限り終わりがない。それは間接的には、尽くすことをやめるタイミングも、意識しないと訪れないということだ。


そんな哲学めいた結論を出したところで、スマホが鳴る。

きっと季子からの回答だ。

とっさにスマホを開き、ロック画面に映し出された季子からのメッセージを反射的に読み上げる。


『好きだから頑張るという行為は、純粋な愛に見えて愛では…』


途中で途切れたその一文を見て、思わず眉頭にシワが寄る。


「愛では…なに?」


小声で反芻したら、隣の席のスタッフが思わずこちらを見る。

慌ててスマホをポケットにしまい、トイレに行くふりをして席をたった。



NEXT ≫ 第10話:愛は信頼とバランス!言われて感じる「頑張る私を否定しないで」



■恋愛パラドックス|バックナンバー

第4話:結婚がしたい?彼と結婚がしたい?似ているようで全く違う女心の正解とは


第5話:絶対結婚するんだ!料理を作り、一緒になりたいと伝えた結果は…


第6話:同棲準備は楽しいことだらけ!でもそれって2人とも楽しんでる?


第7話:同棲前日!幸せの中にある焦りと不安の正体とは


第8話:幸せなはずの二人の生活がなぜか息苦しい理由



▼前作の小説はコチラ!

第1話:行きたくない合コン!そこで待っていた地獄の時間



  • おおしまりえ (恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)

    水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。

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