恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~

【小説#7】同棲前日!幸せの中にある焦りと不安の正体とは

  • 更新日:2019/05/21

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前回のあらすじ:同棲生活のため、着々と準備を進める夏美。弘の段取りの悪さに少しだけイライラを募らせるけど、それも一緒になって管理してあげればいいかと思い直す。そんなとき、ある場所を掃除しようとすると、弘がすかさず何かを隠す。気になるも問いただせず、とりあえず目の前の幸せと準備に目を向けて、その場をやり過ごすのだった。

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~:第7話:同棲前日!幸せの中にある焦りと不安の正体とは

『あのあと改めて考え、やっぱり彼と結婚したいって思って、勇気を出して彼に告白したら、一緒に住むことになりました−−−−−−』


季子への返信文を迷いなく打ち、そして読み返すほど、自分が頑張っているんだなという実感が湧き、おへそのあたりがカッと熱くなる。


『彼と結婚がしたいのか、結婚自体がしたいのか』


そう問われたときは意味がわからなかった。

だけどこうして、一緒の生活をスタートさせようと準備に明け暮れると、やっぱり弘じゃなくちゃだめなんだ。と日に日に気持ちが強まっていく。


返信文を打ち終わり、残りの荷物に手をのばす。明日の朝イチに業者が来る。夜には同じ部屋の同じベッドで、同じ布団を使って寝ているんだ。それは仮の寝床ではなくて、私たちの家で。


荷造りが終わったら新しい部屋の掃除をしに行こう。カーテンのサイズを図り忘れてしまったから、ついでに測っておかなくちゃ。そういえば、帰りにスーパーで引越し蕎麦を買っておこうかな。みょうがと大葉をたっぷりきざんで、わさびは少し良いものを買いたい。


やりたいことをタイムスケジュールに落とし込むと、まだ日は高いのに、今日が全然足りない気がして、ものすごく急がなくちゃいけない気がしてくる。


第7話

「弘!!」


振り返って声をかけると、荷造りしているはずの彼は、夏美とは対照的に小さく背中をまるめている。覗き込むと、先程とりあえず捨てることを回避されたマンガを、熱心に読んでいた。


「ちょっと、何読んでるの?!」


おもむろに取り上げようとすると、意外な力で抵抗される。


「明日の準備、半分も終わってないよ」


「わかってるって。大丈夫だよ」


弘は夏美の焦りすらも冗談と捉えているのか、いつもと変わらずヘラヘラしている。


「そんな焦らなくたって、ゆっくりやればいいじゃん」


弘は夏美ごとソファに寝転び、そのまま目を閉じて伸びをする。弘のニオイと重みを感じながら、楽しくて大好きな気持ちの中を、ビリビリとした怒りが広がっていく。

どうしてこの男は、こんなに呑気なのか。どうしてこんなに協力的ではないのか。どうしてこんなに、私の気持ちに気づいてくれないのか。


−−−−−−−−−うあーーーっっっっと叫びたくなる衝動を抑え、夏美はかわりに弘のお腹を軽めに叩く。

バチン!と思っていた以上の肉厚と響きのいい音に、ほんの少し気が紛れる。


「のんびりしたいなら、一人でどうぞ」


弘にそう言い放ち、重たいカラダをどけて自分だけ起き上がる。


頑張らなきゃ。頑張らなきゃ。2人のために頑張らなきゃ。

呪文のように唱えながら、夏美は残りの荷物をダンボールに詰め始めた。



NEXT ≫ 第8話:幸せなはずの二人の生活がなぜか息苦しい理由



■連載を1話から読む

第1話:とにかく結婚したい!家族の輪から取り残されるのは、私が独身だから?



■恋愛パラドックス|バックナンバー

第2話:結婚したい!彼氏に匂わせたリアクションの結果は…


第3話:迷った時に読む恋愛コラム!それって意味あるの?


第4話:結婚がしたい?彼と結婚がしたい?似ているようで全く違う女心の正解とは


第5話:絶対結婚するんだ!料理を作り、一緒になりたいと伝えた結果は…


第6話:同棲準備は楽しいことだらけ!でもそれって2人とも楽しんでる?



▼前作の小説はコチラ!

第1話:行きたくない合コン!そこで待っていた地獄の時間



  • おおしまりえ (恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)

    水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。

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