恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~

【小説#6】同棲準備は楽しいことだらけ!でもそれって2人とも楽しんでる?

  • 更新日:2019/05/21

≪ 先に前回を読む

前回のあらすじ:結婚へ向けて、頑張ろう。そう決意した夏美は、甲斐甲斐しく料理をふるまい、そして結婚に向けたアプローチを開始する。同棲しようと勇気を出して伝えると、思いの外OKの返事が。でも夏美としては、同棲ではなく一緒になりたいと伝えたつもりだったのだが…。上手く弘には伝わらなかったものの、一歩前進した関係は、夏美の中に満足感を生み出していた。

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~:第6話:同棲準備は楽しいことだらけ!でもそれって2人とも楽しんでる?

楽しい!楽しい!楽しい!楽しい!

最近、朝も昼も夜もなんだか忙しい。でも、動けば動くほど周りのものはキラキラ輝き、全ての出来事が自分を後押ししている気さえする。


弘と同棲生活を始めるにあたり、決めることもやることも膨大だった。お互い時間を合わせ、条件を出し合い、物件を周り、そして決断をする。

買い物リストを作り、引越し業者を手配し、お金を振り込み、そして親に一応の報告をする。


「まあ好きにしなさい。落ち着いたらお母さんにも紹介してよね」


呑気な返事の中に、かすかに安堵の色を感じたのが、夏美にとっては誇らしかった。


「そうね、近いうちに」


努めて素っ気なく返事をすると、期待がさらに高まるのを感じる。


引っ越しというビッグイベントは、大きさにくらべ、決意から行動までのスパンが短い。良い物件はすぐに押さえないといけないし、押さえた物件が整い次第、契約はスタートする。

そう、2人の新生活は待ったなしだ。


第6話

夏美はダンボールにモノを詰め込みながら、弘に声をかける。


「ねーこのマンガってずっと読んでないけど、捨てていいの?」


「あーそれは、とりあえず持っていく」


「じゃあさ、このビジネス書は?もう読み終わったよね?」


「一応それも入れといて」


「…わかった」


「そんなに持っていったら、本棚がいっぱいになっちゃうよ」と心の中で文句を言いつつ、一応全部の本をパズルのようにダンボールに詰め込んでいく。

引っ越しを手伝っていて気づいたのだが、弘は“とりあえず”という選択がとにかく多い。さすがに服はスペースの限界があったので、「2年の間に着ていないなら基本は捨てる」と、やや強引にルールを決めてもらったが、優柔不断な彼らしい。新しい家では整理整頓は徹底してもらわなければ。


2人の生活を思い描くと、面倒な荷造りもダンボールが増えるごとにワクワクが高まる気がする。弘は相変わらず、のんびりマイペースな感じだけど、引っ越しに際し、会社には何て言ったのだろうか。聞いてみたい。けど、それはまたタイミングをみて聞いていこう。


夏美は本棚の整理を終え、今度はTVラックの下の扉をあけ、こまごましたものを取り出そうとする。


「ちょっと!そこは自分でやる!」


弘がすかさず夏美の前に割って入り、一瞬体勢が崩れる。


「え、どうしたの?」


驚いて声をかけると、ヘラヘラ笑いながら「ここは自分でやるから」と、オウムのように言葉を繰り返す。


なんか、怪しい。

直感的にそう感じるも、問いただしたい気持ちはうまく喉を上がってきてくれない。

彼に限って変なことはしないはず。自分にそう言い聞かせ、中身はいずれこっそり確認すればいいやと自分を納得させる。


私の知らない弘がいる。当たり前なのに今まで考えたこともなかった事実に、少し冷や汗が出るような感覚が残る。

信じなきゃ。進まなきゃ。

打ち消すように未来に想いをはせてみると、スマホがブブッと通知を伝える。

確認すると、それはチュベローズからだった。


『先日の相談はいかがでしたか?また迷うことがあったら、一人で抱え込まないで気軽に声をかけてくださいね』


丁寧すぎる営業トークだが、状況は進んでいるということが、夏美を改めて安心させてくれる。


「一応状況を報告しておこうかな」


夏美はスマホを持ち直し、すばやく文章を打ち始める。文章を考えながら、先程の不安がどこかえ消えていくような気がした。



NEXT ≫ 第7話:同棲前日!幸せの中にある焦りと不安の正体とは



■恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~バックナンバー

第1話:とにかく結婚したい!家族の輪から取り残されるのは、私が独身だから?


第2話:結婚したい!彼氏に匂わせたリアクションの結果は…


第3話:迷った時に読む恋愛コラム!それって意味あるの?


第4話:結婚がしたい?彼と結婚がしたい?似ているようで全く違う女心の正解とは


第5話:絶対結婚するんだ!料理を作り、一緒になりたいと伝えた結果は…



▼前作の小説はコチラ!

第1話:行きたくない合コン!そこで待っていた地獄の時間



  • おおしまりえ (恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)

    水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。

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