出会い系

「新しい世界の扉が開いた」出会い系で70人に会って救われた女子の話

  • 更新日:2019/04/18

インターネットが出始めたころから、人々に出会いを提供してきた「出会い系サイト」。最近では、出会い系アプリ(マッチングアプリ とマイルドに表現されることが多い)も多数登場していて、以前のように「出会い系サイト」=「怪しい・危険」というようなイメージは薄れてきたように思います。


私の友人も、婚活アプリ・マッチングアプリを利用している人は多く、中にはアプリで出会った人と結婚した人もいたため、ネットでの出会いは、「恋愛や婚活、またはワンナイトラブ狙いの男女が出会う場所」というイメージがありましたが、『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』を読んでそのイメージが一変しました。



著者である花田菜々子さんは出会い系サイトを利用し70人もの男女と話をした結果、「知らない男女が1対1で出会っても、セックスのことじゃない普通の喜びがごろごろ転がっている」と感じたと言います。


今回は、出会い系サイトを通じて様々な人に出会った体験談が記されたエッセイ『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』をご紹介します。


夫とは別居状態。あんなに好きだった仕事も、愛せなくなった

落ち込む女性

花田さんは、本好きが高じて、ヴィレッジヴァンガードで店長を務めていました。ヴィレッジヴァンガード、通称ヴィレヴァンは、サブカル好きなら、若かりし頃一度はハマったという経験を持つ人も多い個性的な書店です。


花田さんも学生時代に、ヴィレッジヴァンに一目惚れした女子のひとりで、働き始めてからもその情熱は冷めず、しばらくは仕事に行くのがとても楽しかったといいます。


しかし、時代の移り変わりとともに社風が変わり、本より雑貨の売り上げが大きくなり、不本意な仕事も増えてきたこともあって、花田さんは次第に仕事への情熱を失っていきます。


同時期、夫との関係も上手くいかず、別れを意識しながら別居をスタート。仕事もプライベートも最悪だった時期に、気晴らしに始めたのが「X」という出会い系サイトでした。


なんて自由なんだろう。やりたいようにやっていいんだ

楽しそうな女性

Xは一風変わった出会い系サイトで、「知らない人と30分だけ会って話してみる」というコンセプトのものでした。ここで花田さんは、昔からしてみたいと感じていた「その人に合った本をすすめてみる」ことにチャレンジしようと決めます。


プロフィールに「変わった本屋の店長をしています。1万冊を超える膨大な記憶データの中から、今のあなたにぴったりの本を1冊選んでおすすめさせていただきます」と記入し、見ず知らずの人とネットを通して出会い、本をすすめまくるという不思議な生活をスタートさせるのです。


恋人やセフレ探しのサイトではないとはいえ、もちろん下心を持って近づいてくる男性もたくさんいて、中には、花田さんとの情事を妄想したポルノ小説を送りつけてくるツワモノまでいたのです。それでも花田さんが70人もの人に会い続けたのは、素敵な人やユニークな人との出会いを繰り返していくなかで、自由になった感覚を得ることができたからなのでした。


しかしそれにしても。とりあえずセックスって言ってみるやつ。とりあえず結婚してるけど俺は問題ないって言ってくるやつ。とりあえず時間いっぱい手品とポエムの発表するやつ。とりあえず年収5千万と突飛な嘘をつくやつ。こんな人ばかりのサイトなのか。もうめちゃくちゃじゃないか。めちゃくちゃすぎるだろう。そう思いながら、けれど、5千万とふたり、渋谷駅に向かって歩く雑踏はいつもより力強く輝いていた。

だって無機質で居心地が悪いとしか思っていなかった街は、少し扉を開けたらこんなにもおもしろマッドシティーだったのだ。なんて自由なんだろう。やりたいようにやればいいんだ。こっちだってやってやるよ。やりたいように好き勝手に本の紹介をしてやるよ。(第1章)


知らない人と話すことのハードルが下がり、話すことで自分の幸せを知る

幸せ

多様な生き方に触れ心が軽くなることの他に、花田さんが出会い系サイトを使うことによって得た変化はもうひとつありました。それは、「知らない人と話す」というハードルがゼロに近いほど低くなった、ということです。


ハードルが下がりまくった花田さんは、素敵だな、面白そうだな、と思った人に積極的に自分から声をかけ、最終的には、長年憧れの存在だったガケ書房の店長である山下さんにメールを送り、ふたりでお茶をする機会を得ることになります。


そして、憧れの人と本に対する熱い思いを語り合ううち、自分の幸せとは何か、について深く考えることになったのです。


私が突きつけられているような気がしていた普遍的な議題―たとえば「独身と結婚しているのとどちらがいいのか?」「仕事と家庭のどちらを優先すべきか?」「子どもを持つべきか持たないべきか?」―そもそもの問いが私の人生の重要な議題とずれていたのだ。こんな問いに立ち向かわされているとき、いつも自分の輪郭は消えそうで、きちんと答えられなくて不甲斐ない気分になることは、自分がいけないのだと思っていた。でも今夜、この今、自分の輪郭は電気が流れそうなほどにくっきりとしてぴかぴかと発光していた。もう普通の幸せはいらない。恋愛も結婚もいらない。お金も安定もいらない。何もいらない。ただ今日見た光を信じていきていこう。自分の求める幸せが何なのかはっきりわかった(第6章)


さいごに。女性が幸せになるために、「女性の幸せ」から自由になろう

女性の幸せ

本書では、人との出会いを通して新しい価値観に触れ、世間体や常識に縛られずに、自分の幸せを見つけることができた女性の姿がリアルに描かれています。


「女の幸せは〇〇(結婚や出産など)で決まる」などの価値観にとらわれて苦しく感じている方は、本書を読むことで気が楽になるでしょう。また、「仕事を辞めたい」「このままでいいのだろうか。現状を変えたい気もするけど勇気が出ない」ともやもやしている女子にも、新しい一歩を踏み出す勇気を与えてくれます。おすすめです。



今回ご紹介した本

『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』

著者:花田菜々子

出版社:河出書房新社




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  • 今来 今 (フリーライター)

    神戸出身。編集者を経て現在フリーライター。複数メディアにて、映画評・書評・ルポなどを連載中。

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