エンタメ

【小説#1】とにかく結婚したい!家族の輪から取り残されるのは、私が独身だから?

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~:第1話:とにかく結婚したい!家族の輪から取り残されるのは、私が独身だから?

「あんたが1番早く結婚しそうだよね」


学生時代、家族や友達、色んな人に言われてきた言葉。

誰よりもいい子だったし、誰よりも見た目を磨いていたし、誰よりも冷静に男を選んで、誰よりも相手に合わせてきた。

だから恋愛で失敗するはずないし、幸せな結婚が当然手に入ると思っていた。


夏美は鏡にうつる自分を見つめながら、32年の人生を、お風呂上がりの肌から読み解いてみる。

昔は24歳が結婚適齢期なんて言ったものだけれど、本当にオンナが輝いて見えるのは、仕事の結果が出始め、自分にお金をかけられるようになった32歳くらいなんじゃないか。

1万円の美容クリームを塗り込みながら、そんなことを考える。


「キレイになって。キレイになって。キレイになって」


心の中で呪文を唱え、肌に指を丁寧にすべらせる。夏美の肌は、たゆまぬ努力のおかげで、シミもシワもなく今日も艶やかに輝いている。


「ガシャーン」

「ゔわーーーーん」


恍惚とした美容タイムを、大きな雑音がつんざき、思わず「はあ」とため息混じりに、洗面所を後にする。

リビングに戻ると、妹の息子みのるが、おもちゃを床に投げつけ、わんわんと大声で泣き、その周りを妹と母が取り囲み、オロオロと泣きわめく王子様をもてなしている。


第1話

「せっかく帰ってきたのに、落ち着かないなあ」


2人に聞こえないようつぶやき、自室に戻ろうとする。


「ちょっとなっちゃん、お風呂の栓抜いといてくれた?」


「ごめん。抜いてない!」


「最後なんだから抜いといてよねー」


母がみのるをあやしながら、ブツブツと不満を述べている。


「実家に来てまで、空気よめってか」


夏美は母の不満は聞こえないふりをして、そのまま自室のドアを強めに閉める。

久しぶりに実家に帰省してみたものの、そこは見知った家ではなく、すでに妹と母が、みのるという王子様を育てるために作り変えた城になっていた。

かろうじて残る夏美の部屋も、おむつストックが置かれ、しみったれた雰囲気が漂っている。


「ここに私の居場所は無いんだな」


おむつを見ながらつぶやき、気持ちを切り替えるべくLINEを確認し、今度は弘からのLINEを開き、その内容にまたしても大きなため息をつく。


『家族水入らず、楽しい時間を過ごすんだよー(^o^)』


「水入らずって、わかってないなー」


付き合って2年になる弘とは結婚を考える仲だ。と、夏美は思っている。思っているのだが、弘から“結婚”の2文字が出たこともなければ、ニオってくることもまだない。

夏美は夏美で、プロポーズは男からするのが常識と思っているフシがあり、確信に触れられないでいた。

「妹が実家の近くに家を買って子育てしてて、姉としては焦っちゃうなあ」なんて愚痴っぽいにおわせ行為をしたと思ったら、これである。優しいけれど鈍感な男に、今日は無償に苛立ちが募る。


コンコンとノックと同時に扉が開き、母親が部屋へと入ってくる。

「ちょっと悪いわね」と言いながら、母親はおむつをいくつか掴み、足早に部屋を出ていこうとする。


「なんかさ、私ちょっと邪魔だった?」


せわしなく動く母の背中に、思わず言葉をかけてしまう。


「邪魔ってことはないけど、あんたも彼氏がいるんなら早く考えなさい。お母さんだって、いつまで手伝えるかわかんないんだから」


「…うん」


夏美の弱々しい返事を待たずして、扉が閉められる。

母は労働力の話しをしているのだ。それはわかっている。わかっているはずなのに、自分が追つめられる感覚に、カラダの芯がグワンと揺れる。


結婚したい。結婚したい。結婚したい。

内側から吹き出す焦燥感を封じるように、夏美は布団の中に潜り込み、丁寧に手入れした肌に触れ、安全な眠りについた。



NEXT ≫ 第2話:結婚したい!彼氏に匂わせたリアクションの結果は…



▼「恋愛パラドックス~しんどい女子の癒し方~」前作はコチラ

第1話:行きたくない合コン!そこで待っていた地獄の時間


  • おおしまりえ(恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)

    水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。

女子力アップ

編集部ピックアップ

女子カレとは?

今週のお悩みQ&A

広告掲載について

Facebook

Twitter

ページTOPへ