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現実から目を背けるためにスピリチュアルにハマるとどうなる?

女性を幸せにする本

占いやスピリチュアルが好きな女性は多いですよね。


ポジティブなことを伝えてくれる占いはテンションが上がるし、目に見えない精神世界は神秘的です。


私自身は、雑誌の占いコーナーを読むのは好きですし、横浜の中華街で手相を見てもらったこともあります。多くの場合、占いやスピリチュアルは、罪のない遊びやちょっとした癒しです。


ただし、心が弱っているときには、人は必要以上にスピリチュアルや精神世界に傾倒してしまうことがあります。占い師やヒーラー(霊能力によって癒しを与えることができる人)・霊媒師(霊的存在と人間とを直接に媒介することが可能な人物)は、善意の人もいる一方で、「弱っている人を騙して搾取してやろう」と考える人も存在しています


今回は、かつてアメリカで超人気の霊媒師だった、M・ラマー・キーンの暴露本『サイキック・マフィア―われわれ霊能者はいかにしてイカサマを行ない、大金を稼ぎ、客をレイプしていたか』をテキストに、スピリチュアルビジネスの危険性について解説していきます。


「信じたい」人を騙すのは簡単

M・ラマー・キーンは、世界心霊主義者協会の理事にまで上り詰めた、スピリチュアル界の大物でした。のちに偽霊媒師として荒稼ぎした手口を暴露する手記をしたためていますが、スピリチュアルに惹かれはじめた当初は、神秘的なものに興味がある青年の一人に過ぎませんでした。


最初は、「自分の霊的能力を高めよう」と純粋な気持ちでセミナーに通い始めますが、ほどなくして、人気があり稼いでいる霊能力者のほとんどはイカサマをしていることに気が付き、経済的成功を夢見るあまり、悪の道を進んでいくことになるのでした。


本書では、騙しの手口として、教会に通っている信者の鞄から小物などを盗みだしておき、数週間後に「あなたが無くしたものを、物質化させます」と取り出して見せたり、個人情報を事前に入手しておき、「死んだ夫の声」と偽って伝えたりするといった事例が紹介されていました。(当時アメリカの霊能力者の間では、相談者の個人情報や悩みなどを共有するコミュニティができていたため、相談者の個人情報を事前に手に入れておき相手を驚かすことが容易だったといいます)


この他の事例も実に稚拙で、「こんなもので騙される人がいるの?」と思わされましたが、「亡くなった大切な人と交流したい」と藁をもすがる思いでM・ラマー・キーンのもとを訪れていた人たちは、いとも簡単に騙されたといいます。疑う気持ちよりも「信じたい」という気持ちが強かったために、稚拙なトリックにひっかかってしまったのでしょう。


スピリチュアルにハマる弊害

スピリチュアル

「霊的な力を体感できた」「亡くなってもう二度と会えないと思っていた人と話ができた」という体験は、たとえそれが偽りのものであっても傷ついた人の心を一時的に癒してくれます。ただし、そういった癒しと引き換えに、高額な料金を要求されるといったリスクも存在します。


偽霊媒がとくに有害な点の一つは、一部の人々が、自分は天国のホットラインで結ばれていると主張する無教養で感情のバランスを欠いた連中の手に、みずからの人生を完全に委ねてしまうことである。霊媒だったころのわたしは、毎日のように、仕事上の決断、夫婦の問題、中絶すべきか、性的能力を高めるにはどうすればいいか、などといった内密の重要な問題について答えを求められていた。霊媒にそういった質問をする人たちは、自分の健全な精神状態や道徳観念、金銭感覚を危険にさらしているのだ。(P.27)


「自称霊能力者による搾取」の構造は変わっていない

霊能力者

本書がアメリカで最初に出版されたのは、1976年。実に40年以上も前のことです。

ですが、「自称霊能力者が、弱っている人の心の隙間に入り込み、金銭的搾取を行う」現状は改善されているとは言えません。


アメリカでも日本でも、自称霊能力者の高額なセッション・セミナー・カウンセリング、また、次世代の霊能力者を作り出すためのスクールや資格ビジネスはいまだにさかんに行われています。


「ヒーラーに癒してもらって楽になった」とか、「霊能力者に相談して過去のトラウマがなくなった」など、スピリチュアルに頼って良い結果が得られた人もいるでしょう。


一方で、「偽霊能力者に騙された」「バカなことをした」と貢がされた後に目が覚める人もいます。


また、「騙されたことを認めたくない人」もいるでしょう。現実が苦しい状態であればあるほど「亡くなった大切な人と会話することができる」「霊の世界ではあなたは素晴らし存在」「あなたには霊的能力がある。人とは違う特別な存在」といった甘い言葉に誘惑されてしまうのです。「騙されていたことを認めてしまえば、私の現実は悲惨だ」と心の奥で気が付ている場合、「騙されたことに気が付かないようにして、スピリチュアルな世界に浸っていたい」と現実から目を背けてしまう心情は理解できます。


スピリチュアルを仕事にしている人の中には、本当に誰かを救いたい、癒しを与えたいと考えている人もいるでしょう。ですが、弱っている人につけ込んで搾取してやろうと手ぐすね引いている、まさに「スピリチュアル・マフィア」とでもいうべき悪徳霊能者も少なくありません。


目に見えない世界は神秘的で、時に魅力的ですが、「スピリチュアル・マフィア」に搾取されるリスクもゼロではない、と覚えておく必要があるでしょう。



今回ご紹介した本

『サイキック・マフィア―われわれ霊能者はいかにしてイカサマを行ない、大金を稼ぎ、客をレイプしていたか』

著者:M・ラマー・キーン

翻訳:村上和久

監修:皆神龍太郎

出版社:太田出版



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  • 今来 今(フリーライター)

    神戸出身。編集者を経て現在フリーライター。複数メディアにて、映画評・書評・ルポなどを連載中。

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