
就職・転職で「女らしい職業」ピンクカラーを選ぶとこうなる
- 更新日:2019/04/19
- 公開日:2018/03/07
作業服を着た肉体労働系の仕事に従事している人をブルーカラー、オフィスで働き頭脳労働をしている人をホワイトカラーと呼ぶことはご存知だと思います。
では、『ピンクカラー』はどうでしょうか。
ピンクカラーとは、社会評論家であるルイーズ・カップ・ハウによって生み出された造語で、「女性の仕事とみなされがちな職業全般」を指します。
そして、このピンクカラーは、一見華やかに見えたり間口が広かったりする反面、低賃金・不安定な仕事であることが多いのです。
「女性に向いている」「女性らしい」とされる職業を選ぶとき、実はそれが男性に向いているとされる工学や科学系の仕事よりも専門性が低かったり賃金が安かったりすることを見逃しがちです。
自分のキャリアを選択するとき、また、自分の娘がキャリアを選択するときに、無意識のうちに「男性の方が向いている」とされている仕事を避けていないか、低賃金しか見込めない仕事であっても、「女性にとって花形の仕事だから」という理由で選んでいないか、充分に注意する必要があるでしょう。
今回は、堀越英美著『女の子は本当にピンクが好きなのか』をテキストに、女性の職業選択について考えてみたいと思います。
女性の仕事とみなされがちな職業「ピンクカラー」とは?
まず、前述した『ピンクカラー』について具体的にみていきましょう。
ピンクカラーはおおまかに次のように分類される。
・サービス系…花屋、パン屋などの小売店の店員、ウェイトレス、キャビンアテンダント、バスガイドなど
・ケアワーク系…看護師、介護士、保育士、幼稚園教諭など
・美容系…美容師、ネイリスト、ヘアメイク、スタイリスト、アパレルなど
・アシスタント系…一般事務、受付、秘書、歯科衛生士、など
・語学系…通訳、翻訳、英会話教師、英文経理など
・人文系…司書、心理職、編集者、校正など
(P.149)
著者は、ピンクカラーは、「たくさんの人がやれて、たくさんの人がやりたがるため、必然的に賃金が低くなる(事務職などのアシスタント系)」か、「賃金がトーナメント形式で決まり、高い給料を得られるのはトーナメントを勝ち抜いたトップクラスの人だけ(映画・音楽・ファッション・出版・マスコミ系)」に分かれると分析しています。
ピンクカラーは、男性の方が向いているとされる、工学・科学・数学などの知識を必要とする理系の仕事のように、専門知識を長期間かけて学べば、高い賃金と安定が保証される仕事ではなのです。
女性が活躍している仕事・女性に勧められがちな仕事の落とし穴

私自身は、幼稚園のときはケーキ屋さんになりたいと公言し、大学を卒業してから編集者になり、会社をやめて独立したあとライターとして働いている人間なので、まさにピンクカラーど真ん中の選択をしてきたと言えます。
編集者を選んだのは、文章を書くのが好きだったというのもありますが、女性が活躍できる職場、というイメージがあったからだという理由もあります。編集者・ライターとして高い賃金を安定して得るためには、トーナメントの上位にいく必要がありますが、それは容易ではありません。
そしてそのことを、職業選択の際には、気が付いていませんでした。
著者は、ピンクカラーを選択することのリスクを指摘しています。
幼稚園の先生、保育士、介護士などのケアワークは、比較的資格も取りやすく、就職も容易であることから、女の子が周囲の大人から勧められやすい道である。ところが責任が重く経験や技能を求められるわりに低賃金重労働で人間関係も難しく、若いうちに離職する人が後を絶たない。ひろいけれどもピンクのいばらが敷き詰められている道だ。(略)このような低賃金でストレスフル、キャリアパスが見えづらい女性の仕事は「ピンクカラー・ゲットー」とも呼ばれる。(P.153)
次世代にピンクの呪いを引き継がないために

ピンクカラーが低賃金・不安定になりがちだからといって、ピンクカラーに分類される職業につくことが悪であるという話ではありません。ピンクカラーであっても望むキャリアを選べたり、安定だったり、お金だったり、専門知識を得られる場合もあるでしょう。
問題は、女性がピンクカラーを選ばざるを得ない文化があるということです。小さいころの教育から、男女の職業選びに対する意識の違いが作り上げられています。
たとえば、男の子には、車のおもちゃやレゴブロックなどが与えられ、女の子にはコスメセットが与えられるなど、おもちゃに差があります。そうすると、男の子は車を分解して遊んだり、レゴで空間把握能力が身につけることができますが、女の子は、美容に興味を持つことになります。そして、いうまでもなく、工学系の仕事より、美容系の仕事の方が激務・低賃金ワークに結び付きやすいのです。
低賃金で不安定な仕事は、一度選んでしまってからでは、軌道修正することが難しいのが現状です。
今後、女の子が女らしさの呪縛にとらわれて、低賃金の仕事を無意識に選択してしまわないために、一人ひとりが女の子の教育についての意識を変えていく必要があるでしょう。
私はまず、姪にリカちゃん人形を与える代わりに、レゴブロックをプレゼントしてみようと思います。
今回ご紹介した本
『女の子は本当にピンクが好きなのか』
著者:堀越英美
出版社:Pヴァイン
【バックナンバー】女性を幸せにする本
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・なんで痩せたいの?ダイエットに依存してしまう原因とは
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