映画『風の電話』モトーラ世里奈_西島秀俊インタビュー

モトーラ世理奈×西島秀俊、『風の電話』で被災者の心の再生を描く!(インタビュー[前編])

  • 更新日:2020/01/17

 2011年3月11日に起きた東日本大震災が多くの人々にもたらした傷跡は、災害から8年以上が経ってもいまだに癒えることがない。被災地である岩手県大槌町に在住のガーデンデザイナー・佐々木格氏が自宅の庭に設置した天国と繋がる電話=“風の電話”をモチーフにした映画『風の電話』が生まれました。本作は被災後、広島に移住した少女・ハルが「風の電話」を訪れるまでを描くロードムービー。今回はハル役のモトーラ世理奈さんとハルが旅の途中で出会う森尾役の西島秀俊さんにお話しを伺います。


最初は正直やりたくないなって思いました(モトーラ)

映画『風の電話』モトーラ世里奈_西島秀俊インタビュー

──先ずは台本を読まれていかがでしたか。

モトーラ世理奈(以下、モトーラ): オーディションを受ける前にいただいて、最初はザッと読んだんですが、最後まで読めなかったんです。読んでいくうちに段々、辛い気持ちになってきちゃって……。正直、やりたくないなって思ったくらいでしたね(苦笑)。


──「やりたくないなって思った」ということですが、それではどういう気持ちでオーディションには臨まれたんですか。

映画『風の電話』モトーラ世里奈_西島秀俊インタビュー

モトーラ: せっかく行くんだったら、ちゃんとやり切りたいなって思ったんです。
でも、オーディションのときは、ハルの辛い気持ちが自分の内側からこみ上げてきてしまって、質問されてもうまく答えられませんでした。一回目のオーディションがそんな感じで終わったので、次のオーディションのことは考えない様にしていたんですが、また来てくださいって連絡があって。2回目からは台本が無くて、代わりに設定が書かれた紙を渡されて、即興芝居を演って下さいって言われたんです。でも、その即興芝居が私にとってはとても演じやすくて……自分に合うなって。そのときから、やりたいなって思うようになりました。


急にハードルが別次元に上がった感じ(西島)

映画『風の電話』モトーラ世里奈_西島秀俊インタビュー

──台本を無くしますって言われたときに、戸惑いはありませんでしたか?。

モトーラ: 私にとって新しい挑戦でもあったので、逆に楽しみだなって気持ちが芽生えたくらいでした。


──モトーラさんにとってはやりやすくなったんですね。西島さんはいかがでしたか?

西島秀俊(以下、西島): 最初、諏訪敦彦監督にお会いしたときには、諏訪監督と脚本家の狗飼恭子さんが書かれた台本がありました。それはとても素晴らしい本で。
諏訪監督とは以前、『2/デュオ』という作品で御一緒させてもらったことがあります。このときも最初は台本がありましたけど、撮影が始まったら結果的に無くなってしまったんです。だから、今回の現場はあるんだと思ったんですけど、「やっぱり無くします」ということで、急にハードルが別次元に上がった感じでしたね。


──台本が無い中で演じていくモトーラさんは、西島さんの目にはどんな風に映っていらっしゃったんですか。

映画『風の電話』モトーラ世里奈_西島秀俊インタビュー

西島: モトーラさんは嘘を付けない人ですね。だから、それが本当のことであれば、表現をすることにとことん時間をかけていきます。台本があると、ひとつのセリフのあとに、どうやっても“間”みたいなのが決まってきちゃうので、その部分で諏訪監督はモトーラさんと会って、彼女と映画を撮るんだったらやっぱり台本は無い方が良いって判断したとおっしゃっていました。女優さんとしては稀有な才能を持った方なので、“台本を書くけど、でも現場で捨てる”という、俳優が現場ではもっと自由に言葉を発して良いんだというやり方にピッタリだったなって僕は思いました。


同じ時間が流れているとは思えないくらいの衝撃(モトーラ)

映画『風の電話』モトーラ世里奈_西島秀俊インタビュー

──お二人は実際に被災地を訪れたそうですが、その土地に立ってみて何か感じるものはありましたか?

モトーラ: 震災が起きたとき私は12歳でしたが、いまは21歳です。この期間に私自身は身長もすごく伸びたし内面的にもすごく変化していて、それがあっという間だったんです。でも、被災地は当時のままで同じ時間が流れているとは思えないくらいで……すごく衝撃的でした。


──モトーラさんは台本を読まれた時から辛かったということですが、実際にその現場を目の当たりにしたときも、そういう気持ちになったんですか。

モトーラ: 私自身は震災で家族を失うことはなかったですし、大切な人も全員無事だったので、実際に見たときはそんなに辛い思いがこみ上げるということは無かったんですけど、大槌町にある施設に展示されている震災当時の映像や写真を見たときに、本当にここでこんなことが起きたんだなって改めて実感しました。


──西島さんは森尾がかつて住んでいて、いまは空き家になっている民家を訪れるシーンがありましたね。

西島: あの家は被災後もそのまま残っている家でした。家の中の散らかり具合もその当時のままで。撮影前にはかつてあの家に住んでいらっしゃった方からもお話を聞かせてもらいましたが、ホントにひと言では言い表せないくらい色んな風景がそこにあって、色んな思いが、そこを見るたびに沸き起こってきました。

映画『風の電話』モトーラ世里奈_西島秀俊インタビュー

──精神的にとてもヘビーな現場になった本作、インタビュー【後編】では撮影エピソードと共にお二人のプライベートについてもお話を伺います。


>>後編へ続く(後編は1月18日に公開予定!)

★映画『風の電話』は1月24日(金)全国ロードショー

プロフィール

モトーラ世理奈(もとーら・せりな)
1998年10月9日、東京都生まれ。2015年、女性ファッション誌「装苑」でモデルデビュー。2018年、「パリ・コレクション 2018-19A/W」でパリコレデビュー。同年6月に公開された映画『少女邂逅』で女優デビュー。同年放映されたドラマ『透明なゆりかご』(NHK)で注目を集める。2019年7月には『いかれたBaby』で歌手デビューを果たした。公開待機作に『猫、かえる』1月18日公開、『恋恋豆花』2月22日公開がある。


西島秀俊(にしじま・ひでとし)
1971年3月29日、東京都生まれ。1994年、『居酒屋ゆうれい』で映画初出演。1999年、『ニンゲン合格』で第9回日本映画プロフェッショナル大賞・主演男優賞受賞。最新出演映画に『散り椿』、『空母いぶき』、『任俠学園』などがある。2017年、ジョルジオ・アルマーニの最高峰ライン「メイド・トゥ・メジャー」の広告モデルに日本人で初めて起用された。


作品情報

『風の電話』
監督:諏訪敦彦
出演:モトーラ世理奈、西島秀俊、西田敏行(特別出演)、三浦友和
配給:ブロードメディア・スタジオ
©2020 映画「風の電話」製作委員会


モトーラ世理奈▼
スタイリスト/山本マナ ヘアメイク/村上綾

西島秀俊▼
スタイリスト/TAKAFUMI KAWASAKI (MILD) ヘアメイク/市川温子(HITUJI)



Writing:鈴木一俊/Photo:川しまゆうこ

  • 女子カレ編集部

    女性のココロとカラダに寄り添うサービス『女子カレ』の編集部。主に「今」お届けしたい情報をお届けします。

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