恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~

【小説#100】彼氏が隠していた借金の本当の理由が明かされる

  • 更新日:2019/07/29

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前回のあらすじ:「何で言わなきゃいけないのって思うよね」 弘からの第一声で、夏美はキョトンとしてしまう。 借金についての弘の意見は、「借金には触れないで欲しいって希望があったのに、結局そこを聞くってことは、信用されてなかったんだなって思う」と、当初の主張と同じだった。一瞬たじろぐ夏美。もう話し合うのは無理かも……そう思ったが、気持ちをとどまらせる何かがあった。 「借金には触れないで欲しいって気持ちは分かるけど、どうして聞かれると『信用されてない』って気持ちになるの?」 弘に改めて問いかける。お金の事を責めたいのではない。彼を理解したいのだ。 そう思ったら、目線と言葉に覚悟が宿るような気がした。

恋愛パラドックス ~しんどい女子の癒し方~:第100話:彼氏が隠していた借金の本当の理由が明かされる

ヒミツは誰にでもあることだ。

家族ならヒミツなんてない方がいい。

どっちが正解?どっちが幸せになれるの?


弘はゆっくりと、そして小さい声で、言葉を発し始める。

目線は下の方を向いて、夏美が覗き込もうとしても合わせることができない。

第100話

「借金は、昔起業したときに作ったんだ」

「うん。それは聞いた」

弘は大学時代に友達3人とインド雑貨業で起業し、失敗している。その時作った借金が200万円ほどあることも話してくれたけど、どう失敗し、どう借金を負ったのかまでは聞いていなかった。

久々に聞いた借金というキーワードに、ザワザワとした不安が蘇る。同時に即座に脳内で様々な起業における失敗と借金のパターンが想定される。


「元々学生の頃3人で起業したって話してたよね」

「うん」

「あれ、本当は2人で始めたんだ。向こうはECサイトのデザインとか運用をして、俺は在庫や商品の買い付けしたり発送準備したりって感じ。一応一人お手伝いがいたから、3人でやっていたと言えなくもなかったんだけど……」

弘が明らかにバツ悪そうに頭をかき、目線を泳がせる。

ウソをついていただけじゃない。この話に“何か”があるのは明白だ。

「お金は出し合ってはいたけど、買い付けは俺だったし、言い出したのは自分だったから、200万円はその名残というか…」

夏美はどうするべきか一瞬躊躇する。でも弘のためにも自分のためにも、深く聞くべきなんだ。そう強く言い聞かせ、口を開く。

「どうして事業は失敗しちゃったの?」

「………正直あんまり上手くいかなかったのが大きいね。あとは、途中からやっぱり役回りの違いでお互いぶつかることもあった」

「でも200万円も借金を作るほどだったんだ」

「まあ、海外に行くことも多かったし、いいものは買って手元に置かないといけなかったし」

「そうだったんだ」

納得と、納得できない自分を、夏美は感じていた。


若い頃起業した。失敗した。借金を作った。それはわかる。返しきれないのもわかる。でも、理由をためらう理由は、恥ずかしさや失敗への罪悪感だけなのだろうか。


「それさ、どんな人と起業したの?」

答えを出す前に、夏美は思わず聞いていた。

弘が一瞬「え?」というためらいの表情を見せたのが印象的で、すぐにうつむき、そして頭をかきながら迷いの表情をみせている。

「大学の頃の友達だよ」

「友達?」


夏美には、ぼんやりとした予測があった。

こういう時の女の勘というのは、心底呪いたくなるけれど、大体当たっているから、やっぱり便利なものだ。


「その友達ってさ、女の人でしょ?」

弘が再び「え?」という表情で夏美を見返す。

「ていうか、その時付き合ってた人なのかなーって思ったりして」

「………まあ、そんな感じ」


弘は今も傷ついたままなんだ。

一瞬そう思ったら、夏美は自分がどうしたらいいのか。どうするべきなのか。目の前の世界がグワンと歪むような気がしてくるのだった。



NEXT ≫ 第101話:起業失敗の裏にあった真実!意外すぎる彼氏の過去にどう向き合うか



■連載を1話から読む

第1話:とにかく結婚したい!家族の輪から取り残されるのは、私が独身だから?



■恋愛パラドックス|バックナンバー

第95話:『彼と私の幸せに力を注ぐ』実は簡単で難しいコミュニケーションの深め方


第96話:「もしかしてマリッジブルー?」心配の裏にあるのは愛か、それとも世間体か


第97話:しっかり向き合おう!決めた時見えた彼の心は、実は自分と同じ!?


第98話:仕事を辞めたくない!海外には行きたくない!初めて語る本音に彼氏の反応は?


第99話:彼女の「把握したい」その感情はワガママ?それとも誠実さ?



▼前作の小説はコチラ!

第1話:行きたくない合コン!そこで待っていた地獄の時間



  • おおしまりえ (恋愛ジャーナリスト/イラストレーター)

    水商売やプロ雀士、一部上場企業などを渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を研究。本人も気づかない本音を見抜く力で、現在メディアや雑誌でコラムを執筆中。

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