妊活コラム「不妊治療は、治療期間に応じて次のステップに進むことが大事」

  • 更新日:2016/05/20
増田美加先生

妊娠にとって、貴重な30代前半が無駄になってしまったAさん

前回の妊活コラムで紹介したAさん。30歳で結婚2年目。婦人科を受診しましたが、「まだ若いから」と、排卵日に性交渉のチャンスをもつ、タイミング療法を行うことに。これを約1年。妊娠しないので、排卵誘発剤を使って排卵を起こす治療を約2年行いました。Aさんは33歳に。


そして、34歳で不妊治療専門医にかかり、卵巣や卵子がこれ以上、老化しないうちに妊娠、出産を可能にするには、すぐに人工授精や体外受精などの「生殖補助医療(ART)」を行うことをすすめられました。気づくと、もうAさんは35歳でした。


Aさんは、せっかく検診を定期的に行い、体のメンテナンスをし、30歳という早い時期に不妊治療を決意したにもかかわらず、妊娠にとって大事な30代前半を無駄にしてしまったのです。


不妊治療は専門施設で行うべき!

不妊治療は、一般の婦人科で行うのではなく、不妊治療の専門施設でおこなうべきです。治療方法についても選択肢が大幅に増え、適切で最新の治療が受けられます。


たとえば、Aさんが3年間、行ってきた排卵誘発剤「クロミフェン」による治療ですが、クロミフェンは男性側に問題がなく、女性側で排卵がない、あるいは排卵が不規則な場合に、排卵を刺激するためによく処方される治療法です。


統計では「クロミフェンは、治療に適応する患者の80%に排卵を起こすことができる」

「この薬が有効であれば、1サイクルで平均15%が妊娠する」「6サイクルでの成功率は40~45%」とされています。


排卵誘発剤クロミフェンによる治療で、よい反応が見られる場合には、6サイクルで妊娠するとされています。


実際、この治療で成功した患者さんの71~88%は、3サイクル以内に妊娠しているというデータもあります。多くの不妊治療専門医師は、「クロミフェンの投与期間は6サイクルにするように」と言っています。6サイクルを超えると、成功率がかなり低くなるからです。


同じ治療を続けても成功しなければ次の治療へ

妊娠しやすさは、年齢とともに低下してしまいます。同じ治療を半年続けてもうまくいかなかった場合は、「ほかの方法はないですか?」と医師に相談することが重要です。


たぶん、不妊治療専門医であれば、Aさんのように3年間もクロミフェンだけの治療をくり返し、貴重な時間を無駄にすることはなかったでしょう。


治療方法だけではありません。現在の不妊治療専門の診療科、病院では、専門家チームの体制を整えているところが増えています。


たとえば、生殖専門医の資格をもつ婦人科医や泌尿器科医、麻酔科医、エンブリオロジスト(胚培養士)、不妊治療認定看護師、心理サポートスタッフ (臨床心理士、カウンセラー、ソーシャルワーカー)などの存在です。


施設によって役割はさまざまですが、いろいろな専門スタッフから多角的なアドバイスを受けることもできるようになっています。


妊娠・出産は30代半ばまでが重要

Aさんですが、転院した不妊治療専門施設で、生殖補助医療(ART)の体外受精を受け、無事1年で妊娠。その後、元気な赤ちゃんが産まれました。


「子どもが持てたのでよかったですが、今、私は38歳。30代前半で1人目を産んでいれば、ふたり目もすぐに考えられたと思います。でも、これからふたり目のために不妊治療をするとなると、ハードルが高くなってしまいます。妊娠・出産にとって、時間というのは本当に大切。私たち患者も正しい知識をもっておくことが必要です」とAさん。

  • 増田 美加 (女性医療ジャーナリスト)

    女性誌や女性専門サイトで、女性の医療&健康・美容現場を取材&執筆。2006年に乳がんを経験。検診の啓発、更年期への対策、予防医学の視点より、健康で美しくイキイキと生きるためのエイジングケア講演を行う。

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