「不妊治療は若くスタートしたほうがメリットが高いって知っていますか?」

  • 更新日:2020/04/20
増田美加先生

不妊治療は「不自然なもの」と思われていて、「自然がいい」と考える人も確かにいます。
また、「不妊治療は長く時間がかかるもの。気長に取り組む治療」と思っている人声も聞きます。
さらに、「仕事をやめてゆっくりしたら妊娠できる」「自然でリラックスした生活を送って、煙草をやめれば子どもができる」と思っている人も私の周りにはいます。


確かに、禁煙やリラックスは、妊活にとって大切です。
でもそれだけでは、妊娠できない人も少なくありません。特に、35歳過ぎてからは…。
もし、結婚していて、赤ちゃんが欲しいと思うのであれば、できるだけ早く若いうちにチャレンジすることをおすすめします。


妊娠の可能性があるのは、1か月にたった6日間と言われています。
健康な30歳の女性が1か月の間に妊娠する可能性は約20%。思っている以上に少なくないですか?「チャンスをもてば妊娠できる」と考えるのはちょっと違うということがわかります。
この可能性は、年齢とともに低下します。40歳になると1か月に妊娠する可能性は5%になってしまいます。ということは、この数字、健康な40歳女性が妊娠しない可能性が95%もあるということを表します。


もちろん、例外がないわけではありません。
仕事をバリバリしているキャリア女性が、43歳で自然に双子を授かったという話や有名人が50代で出産したという話を聞くこともあります。でも、これらはいずれも極端な例外で、まれにしか起こらないこと、と考えたほうがよさそうです。


不妊治療は、35歳以降で行うより、それ以前の妊娠適齢期に行ったほうがリスクも少なく、メリットが大きいと言われています。
結婚していて、赤ちゃんが欲しいと思うのであれば、なるべく早くチャレンジすることで、治療期間も短く、比較的簡単で、費用も少なくて済むことが多いのです。何より体への負担が軽くなります。


35歳未満でも12か月妊娠しなければ受診を

35歳未満なら、不妊治療の選択肢が多いですが、35歳を過ぎて、さらに年齢を重ねれば重ねるほど、難しい高度生殖医療しか、選択肢が残されなくなってしまいます。


不妊症の原因は、女性と男性の原因が半分ずつです。女性だけの問題ではありません。
女性側の原因としては、①卵巣の問題(卵巣機能不全など)②卵管の問題(狭窄、癒着、閉鎖など)③子宮の問題(子宮筋腫、子宮内膜症など)④内分泌ホルモンの問題などが考えられます。


女性は、年齢を重ねるごとに、女性ホルモンの状態が変わり、排卵が不規則になって、子宮内膜が変化します。
子宮内膜症や子宮筋腫などの病気が起こるリスクも増え、これらは妊娠に影響します。流産や遺伝子異常のリスクも高くなってしまいます。


20代~35歳未満であっても、妊娠を試みて12か月間うまくいかない場合(35歳以上では6か月妊娠しない場合)には、「何か原因があるかもしれない」と考えて、医師の診察を受けることをおすすめします。
不妊症とは「カップルが避妊せずに、通常の性交渉を行っていても12か月以上妊娠しないこと」と定義されています。


まだ年齢的に余裕があるからと、むやみに先延ばしせず、選択肢がたくさんある若いうちに、治療を開始する決断と勇気をもつことも大切です。
生殖年齢=“妊娠適齢期”を延ばすことは、現代の医療でも超えられない壁です。その厳しいともいえる事実を知ることも必要です。
もちろん、35歳すぎて子どもが欲しいと思ったら、すぐにでも不妊治療の専門病院へ行って、相談することをおすすめします。それこそ、進んできた高度生殖医療の恩恵にあずかるのがよいと思います。


私は30代前半に不妊治療を行いましたが、結局赤ちゃんに恵まれずにいます。もちろん、私のように子どものいない人生の選択もあると思います。
知ってほしいのは、正しい情報です。高齢でも出産できるというような世間の雰囲気に惑わされず、しっかり情報を取捨選択してください。
自分の体の状態を正しく知ったうえで、自分に合った人生の選択ができるといいですね。

  • 増田 美加 (女性医療ジャーナリスト)

    女性誌や女性専門サイトで、女性の医療&健康・美容現場を取材&執筆。2006年に乳がんを経験。検診の啓発、更年期への対策、予防医学の視点より、健康で美しくイキイキと生きるためのエイジングケア講演を行う。

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