乳がん検診

40代50代は乳がん適齢期! どんな乳がん検診を受ければいい?

  • 更新日:2020/11/15

 私は12年前に乳がんを経験しています。それ以前から乳がんの記事は書いていましたが、乳がんの経験者(サバイバー)になってからは、乳がん検診の啓発活動をNPO法人で行うようになりました。そんな私のところに「増田さんの記事を読んで、講演を聴いて、2年に1回、マンモグラフィ検診を受けていました。それなのに、なぜ早期発見できなかったのですか?」という質問や相談が数多く、寄せられるようになりました。今年、日本女性の9人に1人がかかっていると、発表になった乳がん。益々増えている乳がんを早期に発見するために、どのような乳がん検診を受ければよいか、知っていますか?


乳がん検診を受けても、発見できないのはなぜ?

乳がん検診

 「乳がん検診を受けていたのに進行した乳がんが見つかったのはなぜですか?」

 定期的にマンモグラフィ検診を受けていたにもかかわらず、進行した乳がんが見つかる女性たち。


 医療ジャーナリストとして長年、乳がん検診を定期的に受診することの重要性を書いてきましたが、「2年に1回、乳がん検診を受けましょう。と啓発するだけではいけない……」という思いが日に日に強くなっていきました。


高濃度乳房(デンスブレスト)を知っていますか?

 今、乳がん検診の分野で、論議を巻き起こしている「高濃度乳房(デンスブレスト)」をご存じでしょうか? 


 乳腺濃度が高く、マンモグラフィ(マンモ)の画像でがんが見えにくいタイプの乳房のことです。乳腺濃度とは、乳腺が乳房内にどれだけ存在するか、その割合のことです。

 この高濃度乳房は、実は、私たち日本人を含むアジア人に多いタイプの乳房で、女性の4割~7割が高濃度乳房だと言われています。


高濃度乳房の問題点は大きく2つあります。

 ひとつめは、マンモでは、乳腺もがんも“白く”写るため、乳がんが見つけにくいことです。乳がんの専門医の間でさえ、まるで雪原の中の白うさぎを探すかのようだと言われています。


 ふたつめは、欧米人に多い脂肪性の乳房に比べて、高濃度乳房の人は、乳がんを発症するリスクが高いことです。これは、この春、日本女性を対象にした研究で明らかになりました(*1)。


*1:参考論文

高濃度乳房なら、マンモグラフィでは、がんが見えない!

マンモグラフィ

 マンモグラフィでは、乳腺も、がんのしこりも白く写ります。ですから、乳腺濃度が高い、高濃度乳房のおっぱいは、がんかどうかの判別ができません。


 乳がんのマンモグラフィ検査の画像を判定する放射線科の医師は、4分類に分けて判定します。「脂肪性乳房、乳腺散在乳房、不均一高濃度乳房、極めて高濃度乳房」。このうち不均一高濃度と極めて高濃度のふたつが、高濃度乳房と判定されます。

 日本女性の4割~7割が、高濃度乳房と言われています。

 一方で、脂肪の多い「脂肪性乳房」「乳腺散在乳房」は、脂肪は白く写るので、黒く写るしこりがあれば、乳がんはよく見つかります。


乳がんが見つかりにくい高濃度乳房だったらどうする?

 現状では、高濃度乳房のため、「判別困難(がんがあるかないかの判別ができない)」であっても、見えないので「異常なし」と通知されます。


 定期的に乳がん検診を受けていても「異常なし」と通知されるため、ある日突然、進行した乳がんが見つかってしまう。もしかしたら、相談や問い合わせをしてくれた女性たちは高濃度乳房だったのかもしれません。


 マンモグラフィは、しこりになる前の小さながんを見つけるのが得意で、世界で唯一、効果が認められている乳がんの検診法です。

だからこそ、国は40歳以上の女性に対し、2年に1回の受診を推奨しています。


検診結果を「異常なし」ではなく「判別困難」と伝えてほしい

医者と患者

 国の検診指針では、乳がん検診の結果として本人に知らせるのは「要精密検査」か「異常なし」です。


 せめて、結果を「異常なし」ではなく、見えないのだから、「判別困難」と通知してほしいと思います。


 マンモグラフィでは見えにくい乳房のタイプであることを自分で知っていれば、「自己触診(セルフチェック)などで気をつけよう」「何かしこりや異常を感じたらすぐに乳腺外科を受診しよう」と対策をとることができます。


 乳腺濃度の影響を受けにくい超音波検査を追加で受けてみようなど、自分で選択することも可能です。


 高濃度乳房の人がそのことを知らずに、マンモだけの乳がん検診を受け続けていたのでは、早期発見ができず、がんが進行してしまう可能性があります。

 多くの人たちは、自分の身を守るために、がん検診を定期的に受けています。結果が「異常なし」で返ってくると、誰もが「がんは無かった」と安心してしまいます。

 高濃度乳房について詳しい情報は「NPO法人乳がん画像診断ネットワーク」に掲載されています。


自分の体を守るには自分で検診を選ばなければならない!?

 自分が高濃度乳房かどうかを知るには、どうすればいいでしょうか?

 いくつかの地方自治体が高濃度乳房を通知している、または通知を検討している地域があります。しかしまだごく一部です。


 現状では、乳がん検診後、「私は高濃度乳房ですか?」と自分から聞いてください。


 マンモグラフィの画像から、医師は高濃度乳房かどうかをチェックすることになっています。結果通知が郵送された後、この結果を問い合わせることもできますし、医療機関で検診を受け、結果を聞く機会があれば、その場で質問できます。


 そして、もし高濃度乳房だったら、毎月、生理の後のセルフチェックを丁寧にすることが大事です。そして、いつもと違うしこりや乳首からの分泌物などがあったら、検診で異常なしでも、すぐに乳腺外科を受診しましょう。


 また、自己負担になりますが、超音波検査を加えるという選択肢もあります。マンモグラフィと超音波を併用することで、マンモグラフィ単独の約1.5倍、乳がんが見つかるというデータもあります。


 ただし、超音波にもデメリットがあります。超音波はマンモに比べて、治療の必要のない良性の変化を拾いすぎるため、乳がん検診後の不要な精密検査が増えてしまう可能性があります。超音波を組み合わせる場合は、これらのことを理解して行いましょう。


 どんな検診も100%ではありません。見落としは起こります。ですから、日ごろからのセルフチェックは大事です。


 繰り返しますが、検診で異常なしでも、セルフチェックで普段と異なることがあったら、乳腺外科を受診してください。


 今、日本女性の9人に1人が乳がんにかかり、女性のがん罹患率のトップです。特に45歳~50代の更年期世代の女性の乳がんが最も多い中、私たちは正しい情報を得て、自分の身体は自分で守ることが求められています。



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  • 増田 美加 (女性医療ジャーナリスト)

    女性誌や女性専門サイトで、女性の医療&健康・美容現場を取材&執筆。2006年に乳がんを経験。検診の啓発、更年期への対策、予防医学の視点より、健康で美しくイキイキと生きるためのエイジングケア講演を行う。

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