女性ホルモン

女性ホルモンに守られている血管。閉経でバリアが解かれ、動脈硬化のリスク大に!

  • 更新日:2020/09/20

 若いころは、男性より動脈硬化性の病気(心筋梗塞、脳卒中など)が少ないですが、更年期以降は違います! 女性の動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中は増加し、年を重ねるごとに男性と同レベルに近づいていきます。その理由は、閉経を境に、エストロゲンの血管保護作用が失われてしまうからなのです。血管を守る対策が、更年期世代には必須です!


動脈硬化は、気づかないうちに進行しています

血管

 女性は、閉経して女性ホルモンのエストロゲンが減ることで、動脈硬化のリスクが格段に上がります。閉経後、私たちの体には、どのような危険が潜んでいるのでしょうか?

 閉経後、エストロゲンが減ることで、女性は今までと同様の生活をしていても、脂質異常症、糖尿病、高血圧、肥満のリスクが上がります。

 また、エストロゲンがもっている血管を保護する作用も失われます。

 これが動脈硬化性の病気(心筋梗塞、脳卒中など)が増加する背景です。閉経後の日本女性の脂質異常症の患者は、同世代の男性より2~3倍も増加するのです。そのため、女性は更年期以降、これまでの生活習慣を改めて見直す必要があります。


 動脈硬化とは、動脈の壁にコレステロールがたまり、硬くなったり狭くなったりして、血液の流れが悪くなる状態です。

 脂質異常症、糖尿病、高血圧などの生活習慣病は、喫煙やメタボリックシンドロームとともに、動脈硬化を進めてしまうことがわかっています。


閉経すると、血管の機能は確実に低下します!

 血管内膜の表面にある内皮細胞の機能の異常が、動脈硬化の形成に深く関係しています。血管内皮が傷つく要因は、LDL(悪玉)コレステロール、高血糖、喫煙ほかです。

 さらに、閉経によって、血管の内皮細胞の機能が低下します。血管の壁のプラーク(肥厚)が大きくなり、血管の内腔をふさぎます。


 すると、動脈の内皮細胞の壁に、LDLコレステロールが入り込み、血管内に溜まります。同時に、血管の柔らかさまで、低下します。


 そして、入り込んだLDLコレステロールを取り除こうと、一部の白血球が血管の内皮に入り込み、またプラーク(肥厚)を形成します。

 プラーク(肥厚)は、どんどん大きくなり、血管の内腔が狭くなります。そのことで、血液が流れにくくなり、血管はどんどん硬くなります。

 このプラーク(肥厚)は、もろいコブなので、簡単に壊れてしまい、血栓ができて血管の内腔をふさぎ、詰まってしまいます。


ある日突然……命にかかわる病気が出現!

中年女性

 怖いのは、これらは自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに動脈硬化が進行し、脳や心臓、血管などにダメージを与えていきます。


 そして、ある日突然、心筋梗塞や狭心症、脳卒中など、命にかかわる恐ろしい病気を引き起こすことがあります。

足の血管が狭くなれば、歩くときに痛みを感じたり、完全に閉塞すると、切断に至ることさえあります。


 たとえ、自覚症状がなくても、生活習慣病を放っておかないことが重要です。まず、肥満予防と禁煙は、動脈硬化を進めないために非常に重要です。


 特に、健康診断で、LDL(悪玉)コレステロール、中性脂肪(TG)、血圧、血糖が高い人は、リスクが高いので要注意です。


 症状が出る前だからこそ、動脈硬化による病変が出現しているか、どの程度まで進行しているかを知ることが、生活習慣や治療の方向を見極めるために大切です。


リスクの高い人は、血管の検査で動脈硬化の有無を確かめて!

血管検査

 では、LDL(悪玉)コレステロール、中性脂肪(TG)、血圧、血糖が高い、喫煙、肥満がある人は、動脈硬化をどのように調べるのでしょうか?


 症状がない人は、できるだけ負担の少ない検査が行われます。

 血管の形を見る検査(超音波やCT・MRIなど)と、血管の機能を見る検査(ABI、PWV、FMDなど)などです。


 血管の形を見る頸動脈の超音波(エコー)では、壁の厚さやプラークの沈着、血流の速さが観察でき、どの程度、進行しているかがわかります。


 血管の機能を見る検査は、将来の危険性を予測します。その人の状況に応じて、これらの検査から選び、組み合わせて、医師が評価します。


更年期治療のホルモン補充は、血管の病気にリスクがある?

 更年期障害の症状がある人は、更年期障害の治療のホルモン補充療法(HRT)を行っている人もいると思います。

 閉経後の一部の女性にホルモン補充療法(HRT)を行うと、心血管疾患のリスクが増加するという米国のデータがあります。そのため、ホルモン補充療法(HRT)は、心血管系の病気予防にはならないと言われています。


 特に、肥満、糖尿病、喫煙、中性脂肪が高い人は、ホルモン補充療法(HRT)を行うには、注意が必要で医師と十分に相談することが大切です。


 ただし、ホットフラッシュ(ほてり、発汗)、不眠、イライラほかの更年期障害に、ホルモン補充療法(HRT)は、有効な治療法のひとつです。ホルモン補充療法(HRT)を行うリスクとベネフィットを医師と相談して、選択しましょう。


飽和脂肪酸、トランス脂肪酸を控え、オメガ3系オイルをしっかり摂る

オメガ3

 日常生活のセルフケアで、動脈硬化の予防をして、リスクを減らしたいものです。

 そのためには、なんと言っても、まずは禁煙です。そして、ウオーキングなどの有酸素運動1日30分を週3日程度、行いましょう。


 それから、悪い油をできる限り、避けます。悪い油とは、飽和脂肪酸(牛肉、豚肉、鶏皮)、トランス脂肪酸(ショートニング、マーガリン)です。

特に、LDL値が高い人は、食事のコレステロール摂取を減らすことで、LDL値の低下が期待できます。


 一方で、良い油(オメガ3系)を摂ることは、大事です。人間の体内では作ることができない栄養素の必須脂肪酸。このオメガ3のエイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)を積極的に摂りましょう。サバ、イワシ、サンマなどの青魚などに、多く含まれています。


 これらオメガ3系の油は、血管の内皮機能を強化する作用があると言われています。血管強化のために、積極的に摂りたい油です。


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  • 増田 美加 (女性医療ジャーナリスト)

    女性誌や女性専門サイトで、女性の医療&健康・美容現場を取材&執筆。2006年に乳がんを経験。検診の啓発、更年期への対策、予防医学の視点より、健康で美しくイキイキと生きるためのエイジングケア講演を行う。

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