
お尻がかゆい!見えない場所だから不安……どんな病気?病院はどこに行けば?
- 更新日:2020/08/16
- 公開日:2020/08/16
肛門周辺が“痛がゆい”といっても、自分の目では確認できない場所。人にも相談しにくい……場所。肛門周辺のかゆみには、さまざまな病気が考えられます。何科を受診したらいいか、迷うところです。人の皮膚感覚では、場合によっては痛みを、かゆみととらえることがあります。肛門周辺に、かゆみ、痛み、出血を生じるような、女性に多い病気を紹介します。
肛門周りの症状をチェックしましょう!

症状は、常に痛がゆい、血がにじむ、おりものがある、排便時だけ痛い、下痢や便秘があるなど、原因となる病気の種類によってさまざまです。
注意すべきお尻周辺の症状をチェックしてみましょう。
肛門周囲から血がにじむ
排便時に痛いことがある
お尻が冷えていると感じる
下痢や便秘をすることが多い
長時間同じ姿勢で過ごすことが多い
入浴をシャワーだけで済ませることが多い
上記に当てはまる症状があったら、そのお尻のかゆみは、何かの病気のサインかもしれません。以下の病気に当てはまるものはないか、確認してみてください。
お尻(肛門)周りがかゆい病気は、こんなに!
お尻周りがかゆい病気の特徴と、行くべき診療科をあげてみます。
□お尻周りの水虫
かゆみがある。冷え、ムレ、免疫力低下で起こる。
→皮膚科へ
□カンジタ腟炎
粕状のおりものがある。疲れ、免疫力低下、抗生剤の服用がおもな原因。
→婦人科へ
□細菌性腟症
臭いのあるおりものがある。洗いすぎや免疫力低下で起こる。
→婦人科へ
□お尻周りのあせも
皮疹があり、かゆい。下着が密着することで起こりやすい。
→皮膚科へ
□臀部皮下膿瘍(でんぶひかのうよう)
血の混じった膿が出る。長時間座っている人に多い。
→皮膚科へ
□バルトリン膿瘍(のうよう)
腟の後方、肛門寄りの外陰部が腫れて痛む。性感染症。
→婦人科へ
□臀部の粉瘤(ふんりゅう)
角質や皮脂が溜まった袋状の良性腫瘍。破裂することもある。
→婦人科へ
□痔
排便時に痛む。出血を伴うこともある。
→肛門外科・外科へ
上記は、あくまで参考までにして、自己判断できないことも多いため、病院を受診して相談しましょう。
どれに当てはまるかわからないときは、何科を受診すればよいのでしょうか?
女性は迷ったら婦人科。痔なら肛門外科・外科へ

何科を受診するかは、迷うところです。
もちろん、皮膚科でもいいですが、デリケートな部分のため、女性は婦人科が相談しやすいと思います。婦人科医は、性感染症の検査も慣れています。
ただし、痔を疑う症状の場合は、外科が専門になります。肛門外科・外科を受診しましょう。
薬で治療可能です
前述した病気は、外用薬で治療できるものがほとんど、と言われています。
水虫、カンジタ腟炎、細菌性腟炎は、抗菌薬。あせも、臀部皮下膿瘍、バルトリン膿瘍、粉瘤などは、抗生剤で治療されています。
そのほか、じんましんやアレルギー性のものなら、抗炎症剤(ステロイド)を使います。
痔は大腸がん、大腸ポリープとの見極めを
恥ずかしくて、女性が受診しにくい痔については、どうしたらいいでしょうか?
痔は、大きく“痔核(じかく)(いぼ痔)”、“裂肛(れっこう)(切れ痔)”、“ 痔瘻(じろう) (あな痔)”の3種類に分けられます。
痔は、大腸がんや大腸ポリープと間違えやすいので、自己判断せず、受診して確認することが大切です。
女性は、肛門がうっ血して痔になることも!

女性は、女性ホルモンの黄体ホルモンの影響で便秘になりやすく、妊娠、出産時も肛門に大きな負担がかかります。筋力がなく、冷えやすいことのも要因です。
おもな3つの痔、“痔核(じかく)(いぼ痔)”、“裂肛(れっこう)(切れ痔)”、“ 痔瘻(じろう) (あな痔)”についてまとめました。
「痔核(いぼ痔)」… 内痔核は、排便時に出血があるが痛みはない。しかし、進行すると肛門の外に出て痛みを生じる。外痔核は、出血することは少ないが、強い痛みをともなう。
「裂肛(切れ痔)」… 下痢や便秘が悪化の原因になる。排便時や排便後に、ズキズキとした痛みに、出血をともなうこともある。
「痔瘻(あな痔)」 … 細菌が入り化膿し、膿がたまることが原因。排便時以外にも痛み、発熱を伴うこともある。
痔の治療は、軽い段階なら薬で
3つの痔のうち、いぼ痔が男女ともに多く、大半を占めます。あな痔は、手術が必要になることが多いと言われていますが、痔全体では少ない傾向です。
痔の治療は、進行したら手術という可能性もありますが、軽いうちは、ほかの治療法もあります。
ひと昔前まで“痔=手術”と思われていましたが、今は手術だけではなく、保存療法として薬物療法と、ライフスタイルを改善する生活療法で治療されることも増えてきています。
薬には、座薬、注入軟膏、塗り薬、内服薬などがあり、便通を改善する薬が使われることもあります。
また、漢方薬が処方されることもあります。漢方薬は、冷えを解消して、血流の滞りを改善する薬や便通改善の薬が使われます。
たとえば、いぼ痔や切れ痔には「乙字湯(おつじとう)」や「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」。痔瘻には「排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう)」などです。
いきまない&冷えない工夫が大事

病院での治療と並行して、生活習慣の改善も大切です。
朝食をしっかり食べ、食物繊維と適度の油脂類、たっぷりの水を摂るようにします。
排便習慣を見直して、長時間、いきまないようにすることや定期的な運動、冷えない生活の工夫も大切です。
肛門に使える殺菌、消毒剤なども、ドラッグストア、薬局、薬店で売られています。二次感染を防ぐ殺菌成分のほかに、炎症を抑え、痛みや傷が治るときのかゆみを和らげ、皮膚の傷の修復を促進します。シュッと吹き付けて、痔の肛門の殺菌・消毒にも使いやすいタイプのものもあります。
薬用入浴剤で、タオルや布に沁み込ませ、体の洗浄・清拭に使えるものが販売されています。「つかる、洗う、拭く」ことで皮膚の荒れを防ぎ、整える有効成分の薬用入浴剤です。あせも、乾燥性しっしん、おむつかぶれも防ぎます。
▼バックナンバー
・コロナ太り!? ウォーキングしても体重が減らない!どうすれば?
・おりもの、かゆみ、臭い…、増加傾向にある気になる性感染症の予防策
・ウイルスや細菌などの感染症リスクが上がる“唾液力”の低下とは?
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増田 美加
(女性医療ジャーナリスト)
女性誌や女性専門サイトで、女性の医療&健康・美容現場を取材&執筆。2006年に乳がんを経験。検診の啓発、更年期への対策、予防医学の視点より、健康で美しくイキイキと生きるためのエイジングケア講演を行う。
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