性感染症

おりもの、かゆみ、臭い…、増加傾向にある気になる性感染症の予防策

  • 更新日:2020/06/21

 おりもの、痛み、かゆみなどのデリケートゾーンの症状が気になって、「もしや……」と不安になったことはありませんか? 性感染症(STI=Sexually Transmitted Infections)は、性行為によって、皮膚や粘膜を通して感染する病気の総称です。放っておくと不妊の原因や、体にダメージを与えるものもあります。今、自覚症状がほとんどない性感染症が多くなってきています。症状がない性感染症は、どうすれば? 性感染症の対策と予防法をお伝えします。


こんな症状に要注意!チェックしてみて

チェック

 性感染症は、女性の場合、特に早期に自覚症状がないものが少なくありません。しかし、なかには、こんな症状を感じることがあります。


□おりものの量が増えた

□おりものの色が変わった。臭いが強い

□外陰部に痛みやかゆみを感じる

□外陰部に水疱やイボができた

□性交時や排尿時に痛みがある

□性交後、性器から出血する


 これらの症状を感じたら、なんらかの性感染症に感染している可能性があります。特に、おりものの変化を見逃さないことは大切です。

 おりものは、女性性器から出るさまざまな分泌物の総称です。おもに、腟壁の古い細胞や子宮頸管からの粘液、皮脂腺や汗腺からの分泌物などが混ざり合っています。


 性感染症に感染した場合には、おりものの量、色、においに異常が見られることもあります。おりものの変化に気づいたときは、放っておかずに婦人科を受診しましょう。


症状がないまま進行するSTI。不妊の心配も……

性感染症

 性感染症(STI=Sexually Transmitted Infections)には、クラミジア感染症、淋菌感染症、性器ヘルペス感染症、尖圭(せんけい)コンジローマ、梅毒、HIV感染症/エイズ(後天性免疫不全症候群)などがあります。


女性の場合、多くの性感染症は、自覚症状に乏しく、気づかないまま進行します。病気によっては治療後も、後遺症として不妊症などが心配されるものもあります。一方、男性は、女性に比べて症状が出ることも多く、比較的早い時期に気づくことができます。


 性感染症は、特別な病気ではありません。性行為を行えば、誰にでも感染の可能性があります。もし、何か異常を感じたり、不安を感じる場合は、必ず検査を受けるようにしてください。そして、感染している疑いがあったら、パートナーに伝えて一緒に検査を受けることが大切です。


ピンポン感染とは?こんな感染経路もあるのです!

ピンポン感染

 性感染症は、母親が赤ちゃんに感染させてしまうことがあります。母親の胎盤から胎児に感染させたり、生まれてくるときに産道で感染することもあります。これを垂直感染といい、母子感染のことを指します。

 このような母子感染を予防するためにも、妊娠中だけでなく、妊娠前にも性感染症の検査を受け、感染している場合は、きちんと治療することが大切。


 また、「ピンポン感染」という言葉を知っていますか?


 パートナーの片方が性感染症にかかったら、性行為によって相手にも病気をうつしている可能性があります。

 本人が治療して治っても、パートナーも一緒に治療しなければ、その後の性行為によって再び感染してしまいます。これをピンポン感染と言います。

 ピンポンのやりとりのような繰り返し感染を防ぐため、どちらかが性感染症と診断されたら、ふたり同時に治療することが大切です。


婦人科、泌尿器科で検査、治療します

婦人科

検査や治療は、産婦人科や泌尿器科を受診します。最近では、女性だけの女性泌尿器科もあります。男性は泌尿器科を受診します。

 また、皮膚症状の強い性器ヘルペスや尖圭(せんけい)コンジローマなどは、皮膚科でも治療できます。


 性感染症の種類によって、検査は若干の違いはありますが、問診をして、おりものや性器の状態を観察したり、尿検査、血液検査、腟分泌物検査などが行われます。


治療は、飲み薬や軟膏のほか、注射や腟に入れる錠剤などもあります。性感染症は、ほとんど薬で治療できますが、なかには手術が必要なものもあります。

 かつて、HIV感染症/エイズ(後天性免疫不全症候群)は、死に至る病と言われていました。けれども、治療法の進歩によって、HIVウイルスに感染しても、適切な治療をすれば、通常の生活を過ごせるようになってきています。


性感染症は、自分自身の感染に気づかずに、感染を拡大させてしまうこともあります。しっかりとした予防が大事です!


予防のための“セーフティ・セックス”って?

セーフティ・セックス

 では、どうやって予防すればよいのでしょう?

 妊娠を望まない人にとって、妊娠しないセックスが、安全なセックスだと思っているかもしれませんが、安全なセックス=セーフティ・セックスは、性感染症の予防のためにコンドームを使用するなどの配慮をしたセックスのことです。

 予防のためには、セーフティ・セックスの知識をもつことが大事。


避妊のために、低用量ピル(OC)や子宮内に入れる器具(IUD、IUS)、避妊手術などを行っていたとしても、性感染症の予防には、コンドームが重要です。コンドームの正しい装着は、性感染症の予防として非常に有効です。


 セーフティ・セックスのポイントの第1は、コンドームです。

 コンドームは、性感染症予防には欠かすことができません。ただし、セックスの最初から最後まで正しく使用しなければ、確実な効果を得られません。また、破れたり、外れたりしてもダメ。正しい装着法を学びましょう。

 コンドームは男性が装着するため、パートナーにもきちんと学んでもらう必要があります。セーフティ・セックスをパートナーと一緒に考えることも大切です。そんな話ができるパートナーを選ぶこともまた大事だと思います。


 セーフティ・セックスのポイント2。複数のパートナーとのセックスは、感染する機会を増やします。パートナーの特定は、感染予防のためにも大切です。


 セーフティ・セックスのポイント3。セックス前後にシャワーを浴びるなど、清潔を心がけることが大切です。肛門に触れた手で、腟や外陰部に触れないようにすることも、感染防止につながります。


万が一、妊娠の可能性があるのに避妊しなかったり、避妊に失敗してしまったとき(コンドームが破損、脱落など)には、緊急避妊薬(ピル)があります。


 現在、使われている緊急避妊薬(ピル)は、レボノルゲストレル(LNG)という黄体ホルモン剤の「ノルレボ錠」です。欧米ではすでに1999年から広く使用されてきました。従来の方法より、副作用が極めて少なく、避妊効果も優れています。


 緊急避妊薬について詳しくは…【一般社団法人 日本家族計画協会JFPA】


クラミジア、ヘルペス、淋菌、尖圭コンジローマ…… 性感染症とは?

性感染症

クラミジア感染症

 女性では、最も頻度が高い性感染症です。女性も男性も自覚症状が少ないのが特徴。気がつかないうちに病気が進行し、子宮や卵巣に炎症が広がり、不妊の原因になることがあります。女性の場合の自覚症状は、おりものの増加、頻尿や排尿痛、性交後の性器出血など、進行すると上腹部痛をともなうことも。男性は、尿道からの膿(うみ)、排尿痛などです。


性器ヘルペス

 感染しても、必ず発症するとは限りません。しかし、一般的に初期感染で発症したときには、歩けないほど痛むこともあります。感染すると、脊髄神経節にウイルスが潜み、ストレスや風邪などで抵抗力が落ちたときに、再発することがあります。妊娠中に発症すると、出産時に産道で子どもに感染する恐れがあります。自覚症状は、性器に生じる水疱、そけい部のリンパの腫れ、軽いかゆみなどです。


梅毒

 梅毒トレポネーマの感染によって起こります。感染から2~3週間後に固いしこりができ、2~3か月後には体全体に発疹などの皮膚症状が現れます。早期に治療をすれば、完治します。しかし、進行すると脳の神経がおかされることも。


淋菌感染症

 淋菌感染症は、クラミジア感染に並んで、頻度の高い性感染症。日本では、特に男性に多く、男性は排尿時に痛みを感じるなど比較的すぐ症状が出ます。しかし、女性は自覚症状が非常に少ないため、気づきにくい性感染症のひとつ。感染を放っておいて、症状が進むと淋菌が子宮から卵管まで広がり、激しい下腹部痛と発熱が起こります。子宮外妊娠や不妊症の原因になることもあります。女性は、おりものの増加、臭いが強くなる、外陰部のかゆみ、排尿痛などの症状が。男性の場合は、尿道からの膿(うみ)、排尿痛などです。


尖圭(せんけい)コンジローマ

 ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染で、女男とも、薄茶色や灰色のイボができます。痛みやかゆみはありません。再発しやすいので、徹底的に治すことが大切です。女性は、腟や外陰部、子宮頸部にイボができます。


HIV感染症

 エイズは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染で起こります。感染から発症までの潜伏期間が6か月~10年以上と長いのが特徴。ほかの感染症に感染していると、HIVになりやすくなります。発症すると、人間に必要な免疫力が低下。健康な体ではほとんど害のない細菌やウイルスの感染、悪性疾患などによって、死に至ってしまうことも。


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  • 増田 美加 (女性医療ジャーナリスト)

    女性誌や女性専門サイトで、女性の医療&健康・美容現場を取材&執筆。2006年に乳がんを経験。検診の啓発、更年期への対策、予防医学の視点より、健康で美しくイキイキと生きるためのエイジングケア講演を行う。

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