更年期

更年期障害じゃなかった! 更年期症状と間違えやすい心の病気とは?

  • 更新日:2020/12/28

 ストレスの多い今、うつ病、神経症、心身症などの心の病気は、女性ホルモンの急激な変動、環境、性格など、発症する要因があれば、誰もがかかる可能性があります。特に、女性ホルモンの変動は、心の状態と密接な関係があります。特に更年期は、女性ホルモンのバランスが大きく変動する時期で、心の病気にかかりやすくなります。でも、更年期によるメンタルの症状と思っていたら、別の心の病気だったということもあります。更年期症状と間違えやすい、心の病気(うつ病、不眠症、不安障害、心身症)を整理します。


うつ病

うつ病

おしゃれやメークをしなくなったら要注意

 ホルモンのバランスが大きく変動する更年期には、気分が落ち込むなど、うつっぽい気持ちになることは誰にでもあることです。

 気分が落ち込んだり、眠れなかったり、やる気が出ないというときでも、リフレッシュタイムを持つことで、気持ちが切り替わるようなら心配いりません。

 けれども、こういった状態が2週間以上続くときには、うつ病を疑います。


 うつ病になるきっかけは、精神的なショックや環境の変化など、さまざまな要因があります。ストレスや過労がきっかけで起こることも少なくありません。

 誰でもかかる可能性のある心の病気です。男性の5~12%、女性の10~25%は、一生に一度はうつ病を経験すると言われています。


 うつになると、悲しい、むなしいといった気分の落ち込み、倦怠感、疲労感、無力感、不眠、何をしても楽しくないといった心の不調が続きます。

 女性の場合は、メークやおしゃれをしなくなったり、見かけに構わなくなることが多いと言われています。趣味や興味をもっていたことにも、やる気を失ってしまいます。


体の症状が前面に出る「仮面うつ病」も

うつ病は、気分の落ち込みといった精神的な症状だけでなく、食欲不振、頭痛、めまい、耳鳴り、肩こり、しびれ、息苦しさ、頻尿など、さまざまな身体症状をともないます。なかには、体の症状が前面に目立ち、逆に精神症状に気づかれにくいことがあります。


 このようなうつ病は、「身体症状にマスク(仮面)された」という意味で、仮面うつ病と呼ばれます。


 体の症状に気をとられ、なかなか、うつ病とは気づきません。ですから、体の病気として内科を受診し、体の病気として治療を行われることがあります。しかし、原因がはっきりせず、長期間、つらい思いをすることもあります。内科で必要な検査をしても原因がはっきりせず、体の症状が長く続く場合には、うつ病を疑う必要があります。


 仮面うつ病でも、精神科の専門医に受診していくと、精神症状が明らかになります。そのためにも、精神科を受診することをおすすめします。仮面うつ病であっても、適切な治療で軽快していきます。


うつに気づくことは大事。治療は焦らず時間をかけて

 うつ病になると、だるさややる気のなさが前面に現れてくるため、周囲から怠け病と誤解されることがあります。しかし、むしろ逆。真面目で几帳面な頑張り屋さんほど、うつになりやすい傾向があります。


 うつ病は、いわば心のエネルギー切れですから、心と体をゆっくり休めながら、治療受けることが大事です。

専門医による診察を受け、適切な治療法を選択し、十分時間をかけて治療することが大事です。

うつに自分で気づいたり、家族や職場の同僚など、近くにいる人が気づくことは、とても大事なことです。


 うつ病がひどくなると、自殺を考えることもあり、しばしば実行してしまうことがあるので周囲の人も注意が必要です。

 うつ病になると、病院受診するにも、決断力が落ちてしまうことがあります。そんなときは、家族に頼って病院に連れて行ってもらいましょう。


 うつは、薬で軽快しますが、完全に治るまで数か月かかることもあります。焦らずに治療を継続することが大切です。


不眠症

不眠症

不眠が長期間続く+日中の生活に影響するときは、受診して

 布団に入ってもなかなか眠れない、眠らなくてはと思えば思うほど目が冴えてしまう、ストレスや悩みが増えてくる…。更年期には、不眠に悩む人が少なくありません。

 

 2~3日の不眠は、誰にでも起こるよくある症状ですが、不眠が2週間以上続いたり、仕事や日常生活などに差し支えるような場合は、体や心の病気のサインであることが少なくありません。


不眠が続くと、日中にさまざまな不調が出現するようになります。倦怠感、意欲低下、集中力低下、抑うつ、頭が重い、めまい、食欲不振など、さまざま。

 このように、①長期間にわたって、夜間の不眠が続く ②日中に心や体の不調を自覚して生活の質が低下する このふたつが認められたときには、不眠症と診断されます。


睡眠薬や睡眠導入剤は依存の心配もありません

 我慢しないで、早めに専門医に相談しましょう。睡眠薬や睡眠導入剤に対する過度の心配はいりません。現在使われている睡眠薬、睡眠導入剤は、適切に使用すれば安全です。精神科、心療内科がベストですが、まずは更年期障害などで受診している婦人科の医師に相談しても大丈夫です。


 不眠を改善するには、生活リズムを見直すことが大事です。しかし、不眠が続くときは、適切に睡眠薬や睡眠導入剤などを使って、つらい状態を乗り切ることが必要です。


 現在の睡眠薬や睡眠導入剤は、安全性も高く、心配する副作用もほとんどありません。睡眠導入剤を服用するにあたっては、必ず医師の指示を守って服用してください。


 最近、ドラッグストアで購入できる市販の睡眠薬が売られていますが、これはアレルギー薬の副作用(眠気)を利用したもので、あくまでも短期間の使用に限られています。不眠症に対する治療効果は確かめられていません。これら市販の睡眠薬を長期に使用するのは控えましょう。


不眠の4タイプ

 不眠のタイプには、大きく分けて4種類あります。


●入眠障害

 布団に入ってもなかなか寝つけないタイプ。いわゆる寝つきの悪い状態。不眠の中では最も多いタイプで、悩みや不安、精神的なストレスなどがあると起こりやすくなります。


●中途覚醒

 睡眠の途中で何度も目覚め、そのあと眠りにつくのが難しいタイプ。頻尿や体に痛み、かゆみがあるとき、アルコール摂取、加齢などで起こりますが、うつ病などの心の病気が原因にあることも少なくありません。睡眠時無呼吸症候群が原因で起こることもあります。


●早朝覚醒

 夜明け前、早朝に目覚めて、その後、眠れなくなってしまいます。高齢者に多く見られますが、うつ病などの初期症状でも、早朝覚醒が見られます。


●熟眠障害

 一定の睡眠時間が確保できているものの、眠りが浅くて眠った気がしません。そのため、心身の疲労がなかなかとれません。心や体の病気が原因で起こることがあります。


不安障害

不安障害

不安がおもな症状の病気

 家族や仕事の問題で気がかりなことがあったり、あるいは自分が更年期を自覚していない時期に更年期の症状が出てきたりすれば、誰でも不安になります。

 けれども不安感が強く、自分でもコントロールしにくい場合や漠然とした不安感にさいなまれるようなときは、心の病気であることも少なくありません。


不安障害は、最近よく用いられるようになった病名で、心の病気の中で不安をおもな症状とする疾患をまとめた名称です。

 ですから、その中には、特徴的な不安症状を起こすものや、原因がトラウマ体験によるもの、体の病気や物質によるものなど、さまざまなものが含まれています。


女性に多い病気でパニック障害もそのひとつ

不安障害には、パニック障害、恐怖症、強迫性障害、外傷的ストレス障害(PTSD)などがあります。なかでもパニック障害(パニック発作 、予期不安 、広場恐怖が3大症状)は、不安が典型的な形をとって現れている点で、不安障害を代表する病気です。


不安障害は女性に多く、パニック障害は、女性が男性の2.5倍、そのほかの不安障害でもすべて女性が多くなっています。

 不安障害の患者さんは、一定期間にふたつ以上の心の病気を一度に起こすことが多いと言われています。たとえば、パニック障害では、約半数にうつ病が併存し、また全般性不安障害は25%、社交恐怖が15~30%、特定の恐怖症が10~20%、強迫性障害が8~10%、同時に起こることがあると言われています。


心身症

心身症

心の負担が体に現れる

ストレス反応が改善されずに長期間続いて、慢性化していくと、メンタルの病気だけでなく、体の病気になってしまうことがあります。


 ストレスに関連していると考えられている心身症を下記にあげました。これを見ると、普段見たり、聞いたりするさまざまな病気が当てはまり、多くの病気はストレスに関係していることがわかります。


呼吸器系:気管支喘息、過喚起症候群

循環器系:本態性高血圧症、狭心症、心筋梗塞

消化器系:胃・十二指腸潰瘍、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、心因性嘔吐

内分泌・代謝系:単純性肥満症、糖尿病

神経・筋肉系:筋収縮性頭痛

皮膚科領域:慢性じんましん、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症

整形外科領域:慢性関節リウマチ、腰痛症

泌尿・生殖器系:夜尿症

眼科領域 眼精疲労、本態性眼瞼けいれん

耳鼻咽喉科領域:メニエール病

歯科・口腔外科領域:顎関節症


ストレスを解消することが大事

 しかし、これらの病気の原因がすべてストレスによるわけではありません。

 たとえば、同じ高血圧でも、ストレスによる場合とそうでない場合とがあります。その違いは、病気の発症や経過にストレスが関係しているかどうかという点です。


 もし、これらの病気にストレスが関係している場合には、体の治療とともに、ストレス状態の改善についても考える必要があります。ストレスに対する対処方法を工夫することは、病気改善にとって、大事で有効な方法と言われています。


 更年期の自律神経失調症状も、心身症の要素が大きいとされています。



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  • 増田 美加 (女性医療ジャーナリスト)

    女性誌や女性専門サイトで、女性の医療&健康・美容現場を取材&執筆。2006年に乳がんを経験。検診の啓発、更年期への対策、予防医学の視点より、健康で美しくイキイキと生きるためのエイジングケア講演を行う。

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