ウイルス

ウイルスや細菌などの感染症リスクが上がる“唾液力”の低下とは?

  • 更新日:2020/05/27

 新型コロナウイルスの予防対策が続く中、免疫力を高め、病気を未然に防ぎたいですね。今、さまざまな研究によって、急速に唾液の力が解明されてきています。感染症予防にも関係する“唾液力”について、お伝えします。


唾液中のIgAがウイルスや細菌の繁殖を防ぐ!

ウイルスや細菌の繁殖を防ぐ

 “唾液力”とは、唾液の量だけでなく、質も含めた唾液の総合的な健康具合のことと考えます。

 唾液中には、健康に大切な成分がわかっているだけで100種類以上。その代表的なものは、ウイルスや細菌の繁殖を防ぐIgA(免疫グロブリンA)と呼ばれる免疫物質などです。


 ほかにも、脳や体の細胞の栄養源となるグロースファクター、メラトニン、コラーゲン、ヒアルロン酸など多くの物質が唾液中に含まれています。想像以上に、機能性の高い液体です。


 唾液中のさまざまな成分には、インフルエンザなどの感染症、歯周病、糖尿病、動脈硬化などの生活習慣病、がん、大腸炎、視力低下、肌老化など、病気予防の成分が含まれていることがわかってきました。


抗菌物質IgAがウイルスを撃退!

 人間の体には、免疫系という機能があります。そこでは、さまざまな抗体が働き、細菌やウィルスなどの異物を見つけると、ただちに排除し、私たちが病気にかかるのを防いでくれます。


 口の中の唾液にも、IgA(免疫グロブリンA)、リゾチーム、ペルオキシダーゼ、ラクトフェリンなど、細菌やウィルスを撃退するさまざまな抗菌・抗ウイルス物質が含まれています。

 これらの物質は、虫歯や歯周病、誤嚥性肺炎や風邪、インフルエンザなどの感染症の予防に重要な役割を担っています。


 これらの抗菌・抗ウイルス物質が唾液中に高い濃度で存在するほど、ウィルスなどの働きが抑止されて、感染リスクが減ります。

 なかでも、最も多く唾液に含まれているのがIgAです。IgAは、私たちがもっている自然免疫として機能し、体の免疫力向上のためのとても重要な物質です。


ウイルスが入ってくる口で、唾液がブロック!

ウイルス

 口の中には、1日50~100㎎のIgAが唾液腺を通して分泌されています。IgAが持つ抗菌・抗ウイルス作用の免疫効果は、次のようなメカニズムによって発揮されます。


 まず、異物を発見すると、いくつものIgAがそれらにくっついて、口内の粘膜に付着しないようにさせます。

 そして、IgAがくっついた異物は、唾液の自浄作用によって、ほとんどが洗い流されてしまいます。体内のさまざまな器官に侵入する前に、口の中でブロック! ウイルスの水際対策をしてくれるのが、唾液中のIgAなのです。


 実際に、IgAのこうした抗菌・抗ウイルス作用がインフルエンザウィルスに反応することが明らかになっており、高い予防効果を生む可能性があることは、高齢者施設での実証試験でも証明されています。

 また、IgAは、腸の分泌物にも含まれていて、腸内で悪い細菌を除去する作用があり、腸内環境の改善を促して、体全体の免疫力を高める手助けもしているのです。


よく風邪をひく人は、IgAが減少してる?

風邪

 IgAを作る力を持っていない人もいて、IgA欠損症という病名がついています。欧米では200~2000人に1人いると言われていますが、日本人は3000~19,000人に1人で患者数もあまり多くはありません。


 しかし、IgA欠損症では、上気道感染症にかかりやすくなることがわかっています。上気道感染症は、急性上気道炎(いわゆる“かぜ症候群”)、急性咽頭炎・扁桃炎、急性喉頭炎、急性喉頭蓋炎が含まれますが大部分は“かぜ症候群”です。


 口などから侵入したウイルスや細菌が上気道(鼻か咽頭までの気道)の粘膜に付着することで、鼻炎、扁桃炎、咽頭炎などを発症します。感染症の約7割が上気道感染症で、風邪もそのひとつなのです。


 よく風邪にかかりやすい人は、IgA欠損症とまではいかないまでも、唾液中のIgAの量が減少している可能性があります。IgAは、粘膜からの感染を予防するために、極めて重要な役割を果たしているのです。


 IgAは、軽い運動や食生活の改善で、分泌量を増やすことができます。免疫力を上げるには、唾液中のIgA濃度を高めることも大切なのです。


唾液の「質」が低下していませんか?

 唾液の「質」が低下している可能性がある内容をあげました。


□朝食を食べないことが多い  

□ヨーグルトはほとんど食べない

□野菜やイモなどはほとんど食べない

□脂っこい食べ物が好き

□買い物など外出することが億劫になってきた

□家にいることが多く歩くことが少ない

□よく便秘になる


 当てはまるものが多い人は、唾液の「質」が落ちている可能性があります!


IgAを増やすには毎日の乳酸菌や発酵食品

発酵食品

 女性は、年齢を重ねるほど唾液力が低下します。唾液力をできるだけ維持する方法を紹介します。


 唾液中に最も多く含まれている成分、抗菌・抗ウイルス物質IgAは、体の免疫力を高め、虫歯や歯周病、誤嚥性肺炎、風邪、インフルエンザなどの感染症予防に重要な役割を担っています。


 納豆やヨーグルトなどの発酵食品を毎日継続して食べることは大切と言われています。

 根菜類、海藻などの食物繊維や、ぬるめのお湯で抽出した緑茶にも、唾液中のIgAを増やす作用が確認されています。


 また、活性酸素は、唾液力低下に影響するため、いわし、さばなどの青魚、玉ねぎ、長ネギ、もずく、めかぶ、大豆、トマト、レモン、イチゴなどの抗酸化作用のある食事を摂ることも大切です。

 一方で、脂質の多すぎる食事やアルコールは、唾液力を低下させるので要注意です。


運動もIgA増加に繋がる

ストレッチ

 ほかにもストレッチやウォーキングなどの軽い運動もIgAの増加につながります。舌の体操や耳下腺マッサージも唾液量がアップすると言われています。


舌の体操

 毎日の継続が大事です。リラックスした姿勢で、舌を前に出したり、喉の奥へ引いたりする動作を繰り返します。次に、口の両端に舌を動かし、最後に鼻の下、あごの先に向けて動かします。朝晩2~3回ずつ繰り返すといいでしょう。


耳下腺マッサージ

 耳下腺のマッサージも、毎日継続するとよいと言われています。耳の下より少し前、エラのあたりに3本の指を当て、そこを中心に円を描くように指を回します。強く押さずにゆっくりと回すのがポイント。これを2分くらい10回以上繰り返します。


参考文献

『唾液サラネバ健康法』槻木恵一 著(主婦と生活社)


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  • 増田 美加 (女性医療ジャーナリスト)

    女性誌や女性専門サイトで、女性の医療&健康・美容現場を取材&執筆。2006年に乳がんを経験。検診の啓発、更年期への対策、予防医学の視点より、健康で美しくイキイキと生きるためのエイジングケア講演を行う。

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