ホルモン補充療法

更年期障害の治療のファーストチョイス。気になるホルモン補充療法の副作用は?

  • 更新日:2020/04/19

 更年期障害の治療のファーストチョイスと言われているホルモン補充療法(HRT)ですが、副作用が気になって利用していないという女性の声も聞きます。どんな薬にも副作用はあります。正しく理解して、選択するかどうかを見極めたいですね。ホルモン補充療法の副作用についてまとめました。


ホルモン補充療法のメリットとデメリットを考える

ホルモン補充療法

 ホルモン補充療法(HRT)は、メリットも大きいですが、いくつかのリスクもあります。それはどんな薬も同じです。

 メリットとリスクを天秤にかけて、自分にとってどちらが重要か、大切にしたいことか、を考えてみることが必要です。

 たとえば、今、つらい症状があるなら、緊急避難としてホルモン補充療法をまず行い、症状が治まったところで、改めて治療を考えて選択するのもひとつの方法だと思います。


 また、乳がんの心配については、ホルモン補充療法の治療中、定期的に検診を受ける必要がありますから、結果的にがんやその他の病気の早期発見に役立つこともあります。これをむしろメリットと前向きに考える考え方もあります。


 一方、更年期は老化に至るひとつの過程と捉え、日常生活に大きな支障がない程度の多少の不調なら、自分の体の変化を受け止めたいという考え方もあるでしょう。


 また、平均寿命が延び人生100年時代、将来骨粗しょう症や動脈硬化による脳梗塞などを起こし、寝たきりになるのを予防するために、ホルモン補充療法を使い続けたいという考え方もあります。

 あるいは、ホルモン補充療法を受けなくても、乳がんになる可能性があるのだから、そんな心配をするよりも、いつまでも若々しく元気にいたいと考える人もいます。


 どんな治療、どんな薬にもリスクはあります。治療する、しない、あるいはどんな治療をするかの選択は、そのリスクとベネフィットを自分でどう受け止め、どう生きたいかにかかっています。


子宮体がんの心配は?

子宮体がん

 一番心配が多いのは、ホルモン補充療法(HRT)とがんとの関係だと思います。

  確かに、昔、ホルモン補充療法が始まったころは、エストロゲンだけを単独で投与していたため、子宮体がんの発症率が高くなりました。

 エストロゲンには、子宮内膜が厚くなる(増殖させる)作用があるため、子宮内膜のがんである子宮体がんが発症してしまったのです。


 そこで、本来の生理(月経)と同様の自然な女性ホルモンの働きと同じ状態にするため、エストロゲンと排卵後に分泌されるプロゲステロンを併用するようにしたのです。

 そうしたところ、子宮内膜が厚くなる(増殖)のが抑えられ、むしろ子宮体がんの発生が少なくなりました。現在では、子宮体がんの心配はしなくて良いという見解が出ています。


乳がんの発生リスクは?

乳がんの発生リスク

 一方で、乳がんの発生のリスクについては、世界的にはっきりと統一見解が出ていないのが現状です。

 

 米国では、「ホルモン補充療法(HRT)を行うと、乳がんに対するリスクが1.26倍(26%)に高まる」として、ホルモン補充療法の大規模臨床試験の一部を中止したという発表が2002年にありました。これは日本でも大きく取り上げられました。


 このデータの具体的な数字をみると、米国の大規模臨床試験でホルモン補充療法を平均5.2年受けた人を調べたところ、乳がんの発症率は1万人あたり年38人。受けていない人の乳がん発症率が1万人あたり年30人。乳がんの発症率が1万人あたり8人増えたという結果です。


5年未満なら乳がんリスクは上がらない

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 しかし、ホルモン補充療法(HRT)の実施が5年未満なら、ホルモン補充療法をしていない人と乳がんの発生率に変わりはありませんでした。


 さらに、もともと米国の乳がん発症率は、日本の3倍以上あること。この調査に参加した米国人女性の肥満度や喫煙率が高かったこと。ホルモン補充療法を開始した平均年齢が63.3歳と、乳がんなどの発生リスクが高い年齢であったことなどがありました。


 これらのことを考えると、この結果をそのまま単純に日本女性に当てはめることができないと言われています。


 また、ホルモン補充療法は、その後も米国では臨床試験が行われ、今、医療現場で多くの女性たちがホルモン補充療法を受けています。

現在、日本でも閉経後5年以内に開始し、5年未満で終了すれば、乳がんのリスクを上げるという報告はありません。


 ホルモン補充療法は、いつやめてもいい治療です。なかには、医師と相談して、不調改善や美容的効果を維持するために10年~20年とホルモン補充療法を長期間行っている人もいます。それは本人の選択です。


 ホルモン補充療法を受けていない人に比べて、長期間、ホルモン補充療法を行うことで、乳がんのリスクが高まる可能性も否定はできません。

 しかし、ホルモン補充療法中は、定期的に6か月~1年ごとに乳がん、子宮がんや血栓症、肝機能等の定期検診が行われているため、万が一、検診で病気が見つかったとしても早期発見、早期治療が可能です。


開始当初は出血や乳房の張り、イライラ、吐き気が起こる人も

女性イライラ

 がん以外の副作用では、女性ホルモンの影響受ける子宮内膜症、子宮筋腫、乳腺症などの病気がある人は、ホルモン補充療法(HRT)を行うことで、閉経後におさまっていた症状が再び出てくる可能性があります。


 そのほか、女性ホルモンを投与することで、月経のような出血が少し起こります。出血が起きても、その量はだんだん少なくなり、1~3年ほどでなくなります。

 また、出血が始まるパターンも、終わるパターンも変化してきます。あまり不安に思わなくてもよいと思います。


 また、開始当初は、生理(月経)前のように乳房の張り、むくみ、おなかの張り、イライラ、吐き気などのマイナートラブルが起こることがあります。

 これらの症状があっても、薬の種類を変えたり、量を加減したりすることで様子を見るうちに、なくなることがほとんどです。


ホルモン補充療法を選択するか決めるのは自分自身

ホルモン補充療法

 ホルモン補充療法(HRT)は、更年期障害の治療に優れた効果のある治療法です。しかしながら、使う目的をはっきりさせることも大切です。

 まずは、婦人科の医師とよく相談しましょう。相談した結果、最終的にホルモン補充療法を行うかどうかを最終的に判断するのは、自分の体の責任者である自分自身です。


 治療を受けるかどうかで悩んで、つらい不調を抱えたまま、何年も過ごしたり、ホルモン補充療法の薬を処方してもらったもののリスクが気になって飲まずに置いてあるということは、避けたいことです。


 副作用やリスクのことなど、不安があれば、遠慮せずに産婦人科医に聞いてみましょう。


 私たち患者がきちんと尋ねているにもかかわらず、あやふやな返事だったり、面倒な態度を示したりしたときには、病院を変えてもいいかもしれません。

 今後もきちんと説明をしてくれたり、相談にのってもらえず、十分なインフォームド・コンセントが得られない可能性があると感じたら、ほかの病院をあたりましょう。



▼バックナンバー

・【更年期】ホルモン補充療法(HRT)の思わぬメリットとは!?


・更年期障害は治療できる!ファーストチョイスとなるホルモン補充療法(HRT)とは?


・更年期症状で受診したら、婦人科ではどんな検査をする?


・更年期になると“太る!”をくつがえす方法はあります!


・不眠、寝つきが悪い、眠りが浅い…更年期によく起こる不眠障害をどう乗り越える?


  • 増田 美加 (女性医療ジャーナリスト)

    女性誌や女性専門サイトで、女性の医療&健康・美容現場を取材&執筆。2006年に乳がんを経験。検診の啓発、更年期への対策、予防医学の視点より、健康で美しくイキイキと生きるためのエイジングケア講演を行う。

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