インフルエンザ予防

箸や楊枝に使われる“クロモジ”。インフルエンザ予防に新注目!

  • 更新日:2020/03/03

 クロモジは、日本の山地に自生するクスノキ科の落葉低木です。リラックス作用があると期待されるリナロールを主成分とする香りがあり、昔から楊枝や香木、枝葉はお茶に使われていました。このクロモジ。今回、これを配合した飴をなめることで、インフルエンザ発症率が下がったという研究結果が報告。詳しく紹介します。


クロモジポリフェノールがインフルエンザ発症率を下げた!

元気な子供

 名前の由来は、成長すると枝に黒い斑点模様が出て、まるで枝に黒い文字が浮き出たように見えることから、クロモジと呼ばれるようになったそうです。


 このクロモジに含まれるクロモジポリフェノールは、リラックス作用があるなどと言われてきました。さらに今回の研究によって、ウイルスを抑える、抗ウイルス作用が発見されたのです。


 クロモジエキスに含まれるポリフェノールの一種、“プロアントシアニジン”には、ウイルスの不活化作用と感染後の増殖を抑える作用があります。


鼻腔や咽頭の粘膜からウイルスが侵入するから

ウイルス

 ポイントは、飴でのクロモジの摂取と考えられています。

 インフルエンザは、おもに上気道(鼻腔や咽頭)の粘膜細胞の表面に付着して感染します。

 ウイルスは粘膜細胞に侵入し、活性酸素を増やして細胞外にウイルスを放出します。それによって、新たな感染細胞を増やすのです。


 免疫力が下がっていたり、ウイルスが強力だったりすると、人はインフルエンザにかかりやすくなりますが、注目すべきは、ウイルスの吸着や増殖のほとんどが上気道で起きていることです。


 飴をなめる数分間、クロモジエキスの成分が上気道の咽頭部に留まることができたことからではないか、と考えられています。

 インフルエンザの予防策のひとつとして、今後のクロモジエキスの活用が期待されています。


インフルエンザのウイルスをたたく効果が研究で確認!

研究

 クロモジエキスによる抗ウイルス作用が、今回、次のようなヒトによる試験で明らかになりました。


 愛媛大学医学部附属病院の看護師、男女134名(全員インフルエンザワクチンを接種)を2グループに分け、クロモジエキス67㎎を配合した飴と、無配合のプラセボ飴をそれぞれ、1日3回12週間、毎日なめました。


 するとその結果、クロモジエキス配合の飴をなめたグループのほうがインフルエンザ感染が統計学的に有意に少ないことがわかったのです。

*『薬理と治療』(2018年46巻8号、2018年8月30日発刊)


うがいなどの上気道のケアは、予防に役立つ!?

うがい

 厚生労働省が推奨するインフルエンザの予防法は、「手洗い、適度な湿度、栄養補給、ワクチン接種、マスク」などが挙げられています。しかし、うがいは、適切な予防法から外され、うがいの効果は、限定的とされています。


 鼻や口の粘膜についたウイルスは、ごく短時間で感染してしまいます。日常的にできるうがいの回数は限られるため、効果も限られるとされています。水やお茶を頻回に飲むだけでは、ウイルスの付着部分を全てカバーすることは難しく、やはり限界が。


 しかし一方で、水うがいをしない群より、した群のほうが風邪の発症率が減るという研究もあります。

 さらに、緑茶(茶カテキン)うがいは、水うがいより、インフルエンザ発症率が低いという研究も出てきています。


 やはり、うがいなど上気道のケアは、風邪やインフルエンザ感染予防に役立つ部分もあるのでは……と考えられつつある中、今回のクロモジ飴がインフルエンザ発症率を下げたとの報告が出たのです。


同じ電車にいるだけで感染するの?!

電車

 新型コロナウイルスが飛沫感染と報道されていますが、インフルエンザも同じくで、おもな感染経路は、くしゃみや咳による飛沫感染です。同じ空間にいるだけで、感染してしまう、空気感染ではありません。

くしゃみや咳によって口から飛び出たウイルスなどの病原体が、小さな粒となって、空中にフワフワと長く浮遊します。そのため同じ空間の中に長くいるほど、感染の危険は高まります。


 空気感染するのは、結核、はしか、水痘(みずぼうそう)の3つ。インフルエンザは、空気感染の感染症ではありません。

 ですから、同じ車両にいるだけで、インフルエンザに感染するわけではありません。


インフルエンザの感染は、距離がポイントと言われています。インフルエンザのウイルスがくしゃみや咳で飛んでいくのは、空気感染と比べて大きくて、水分を含んだ重い粒。口から飛び出しても、通常は1~2m以内で地上に落ちると言われています。


 飛沫感染は、距離が大切なポイント。くしゃみや咳をする人がいたら、少し離れるだけでも、感染の機会を減らせます。インフルエンザのような飛沫感染のウイルスは、いつまでも空中を漂ってはいないのです。


感染予防にこまめな手洗いは、非常に大事

手洗い

 手を介しての感染が多いと言われています。ウイルスが付着したドアノブ、手すり、つり革などを手や指で触れ、その手指で鼻や口、目を触ることで感染します。


 ですから、こまめな「手洗い」が非常に大事です。アルコール性の手指衛生剤での洗浄も有効です。


マスクは外すときが大事なポイント!

マスク

 マスクは、感染を防ぐために、ある程度の効果があると言われています。

 しかし、小さなウイルスを完全にブロックするわけではありません。実際には、予防のために着けるマスクより、感染した人が着けるマスクのほうが効果的なのです。


 インフルエンザに感染して咳やくしゃみをする人がつけると、飛ぶ瞬間の粒は水分を含んで大きいため、マスクでブロックされやすいのです。マスクは予防より、発症者が装着して感染拡大を防ぐ目的のほうが重要です。


 ただし、マスクには予防効果が全くないわけではありません。マスクには、隠れ効果があるのです。それはマスクをつけると、手指で口や鼻に触れる機会が減り、手からの感染が防げるから。


 ポイントは外すとき! ウイルスがついているかもしれない手指で、鼻や口に触れないことです。せっかくの予防効果が台無しに。

 マスクを外すときは、耳掛けゴムの部分だけ触り、マスク本体にはできるだけ触れないようにします。そして、マスクを外したあとの手洗いが重要です。 


効果が高い、手洗いのタイミングは?

手洗いのタイミング

 手洗いの有効性は明らか、とされていますが、水道があるところや洗えるタイミングも限られています。外出中、頻回に手洗いを繰り返すことはできません。


 そのため、優先すべき手洗いのタイミングを考えましょう。人の多く集まる場所、周囲の環境に頻回に触れたあと、マスクを取るときなどが、手洗い効果が高いタイミングです。


 医療現場や食品衛生で行われているのは、冷たい水で30秒以上かけて、手の隅々まで洗うことです。これを日常生活で繰り返すことはとても大変。

 ですから最低、口や手に触れる指先、手のひらを中心に洗います。また、水道がないところでは、市販されているアルコール製の手指衛生剤も有効と言われています。


加湿は予防に! 寝不足、体調不良なら人ごみは避けて!

寝不足

 加湿には、乾燥した環境のほうがウイルスの感染性が高まるので、それを避ける目的で効果があります。

 もうひとつ、鼻・口腔内・気道の粘膜の乾燥を防ぐ目的もあります。これらの粘膜が乾燥すると、局所的な免疫が低下する可能性があると言われています。


 そのため、加湿の予防効果は期待できますが、それを明確に示したエビデンスのある研究や調査がないというのが現状です。

 また、体の抵抗力を高めるため、十分な休養とバランスのとれた栄養が大事ともされています。


 そして、インフルエンザが流行してきたら、高齢者や子ども、妊婦さんだけでなく、体調の悪い人、睡眠不足の人は、人ごみや繁華街への外出を控えましょう。

 やむを得ず人混みに入るときに欠かせないのは、マスクですね。


 正しい知識を得て、正しい対策を行いましょう。



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  • 増田 美加 (女性医療ジャーナリスト)

    女性誌や女性専門サイトで、女性の医療&健康・美容現場を取材&執筆。2006年に乳がんを経験。検診の啓発、更年期への対策、予防医学の視点より、健康で美しくイキイキと生きるためのエイジングケア講演を行う。

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