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不妊治療クリニックの「防災対策」
- 更新日:2020/07/06
- 公開日:2019/12/10

早いもので、今年も残り僅かとなりました。30代後半に入ってからが特に特に時の流れがはやくなっていくように感じます。
今年(令和元年)は、日本中が台風被害に振り回された年でもありました。
今回の風災により、日本全体で災害意識が高まるとともに、不妊専門クリニックの防災対策が気になったご夫婦も大勢いらっしゃるのではないでしょうか。
産婦人科医の齊藤先生に、不妊治療中に東日本大震災を経験した私が、「不妊治療クリニックの防災対策」についてお話を聞いてきました。
齊藤英和 先生
1953年東京生まれ。梅ヶ丘産婦人科 ARTセンター長。元内閣府「新たな少子化対策大綱策定のための検討会」委員
災害時のクリニックの対応について
赤星: 先日の風災により、災害意識が高まっていると思います。不妊治療を専門とする病院・クリニックでは災害に備えてどのような対策をおこなっていますか?
齊藤先生: ほぼすべての施設で各機器が倒れないように、留め金などで固定しています。停電に備え、自家発電装置を用意しています。
精子・受精卵・凍結卵子への対応
赤星: クリニックに預けている「受精卵・卵子・精子」への対策についても教えてください。恐らく妊活中のみなさんが一番気になることだと思います。
齊藤先生: 培養中の卵子・胚(受精卵)は、自家発電が稼働中に凍結保存します。
自家発電機が対応できる日数はどのくらい?
赤星: 自家発電が停電に対応できる期間を教えていただけますか。
齊藤先生: 自家発電機が稼働できる 期間は1~2日程度ですね。
停電が長期に渡る場合の対策
赤星: 今回の台風15号の影響で停電が長期化した病院もありました。停電が長引く場合は、どのような対策をとっていますか。
齊藤先生: 培養中の卵子・胚は、自家発電で稼働中に、凍結保存することになります。
赤星: 凍結保存に切り替えることで、保存期間をどのくらい延ばせますか?
齊藤先生: 液体窒素はおおよそ1週間から10日ぐらいは補充しなくても持ちます。この間に復旧を待つことになります。
赤星: 災害時は1週間も施設で耐えることができるんですね!
不妊治療を行うクリニックは、ほぼ全て災害対策を行っていますか?
赤星: 不妊治療をおこなっているクリニックはどこも自家発電機を設置しているのでしょうか。
齊藤先生: AIH(人工授精)やART(※)をおこなっている医療施設のほとんどが、自家発電装置を準備しています。
赤星: 齋藤先生のお話をお聞きし、今後たとえ不妊治療中に災害が起きたとしても、慌てずに行動できそうです。齊藤先生ありがとうございました。
※ART 体外受精、顕微授精、胚移植、卵子・胚移植などの医療技術の総称。
齋藤先生のお話をうかがい感じたこと
東日本大震災が起きた当時私は31歳。妊活真っ只中。
体外受精に何度トライしても結果を出せず、「自分が不幸のど真ん中にいる」と思うくらい落ち込んでいる時期でした。
テレビで東北地方の震災の様子を観て、子どもができない悲劇より、自分と大事な人たち(夫や家族)が元気に生きている、それだけで幸せじゃないか!
改めて「あたり前のもの」が「あたり前でない」ことに気づかされた出来事でした。
私が住んでいた東京でも、地域によっては停電や放射能の影響を心配する声が上がるなど、震災の影響がありました。
身の回りの状況が落ち着いてからは、クリニックに保管している受精卵が心配になり、電話で確認しました。
タマゴは子どもと同じくらい大切な生き物です。
不妊専門クリニックの災害対策を知ることで、治療中のご夫婦にとっての一つの安心材料になればと思い、今回齋藤先生にお話をうかがいました。
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・#27『不妊治療を決断しない子に「今しないと後悔するよ」は善意の押しつけ!?』
・#28『赤ちゃん見るのが辛い(泣)友達の出産祝、行くべきか 行かざるべきか』
・#30『二人目不妊の私が息子に「兄弟欲しい!」と言われた』
・#31『不妊治療のやめ時を決断することは、はじめるより辛い決断』
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赤星ポテ子
(イラストレーター&漫画家)
武蔵野美術大学卒。不妊治療を経て一児の母に。いつか息子と海外移住できることを夢みている。 著者「ベビ待ちバイブル」「子どもにちゃんと伝わるお金の「しつけ」」(共著)など
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