更年期

顔がほてる、汗をかきやすい。最も多い悩み“ホットフラッシュ”の改善策

  • 更新日:2019/06/17

「更年期症状で困っている……」という訴えで最も多いのが「のぼせ、ほてり、多汗=ホットフラッシュ」です。昼夜、関係なく突然起こりますが、人に会うなどの緊張感がきっかけで起こることもあります。なかにはいつ症状が現れるか心配で、人前に出るのが億劫になってしまう人もいます。また、夜中急にたくさん汗をかくために熟睡できず、睡眠不足でイライラが強くなるなど、日常生活に支障をきたすことも。ホットフラッシュの対策をお伝えします。


暑さ、寒さの感じ方が今までと違う…

寒暖

「今、暑い? 寒い?」と、周りの人に聞いてしまうことはないですか?

 みんな寒がっているのに、自分だけ半袖だったり、冬でも暑くて上着を脱いでしまって恥ずかしい思いをしたことはありませんか? 


 このように更年期になると、体温感覚がわからなくなってしまうことがあります。

 夜、暑くて布団をはいでしまい、すると寒くなる、その繰り返しで熟睡できない。また、お化粧が落ちて、髪がぐっしょり濡れるくらい、汗をかいてしまうという人もいます。首の回りにタオルを巻かないといられないほどで、汗をかいたあと、逆に冷えてしまうとか。


 それほど目立つ症状でなくても、更年期になると、首から上に汗をかきやすくなります。頭の中や額、口の周り、今までとちょっと違うところから汗が出ます。人からわかるところに汗をかくため、よけいに困ってしまいます。

 そして、汗をかいたあと、寒くなってゾクゾクして体温調節がうまくいかないと感じます。


 ここにあげたような症状が、更年期ののぼせ、ほてり、多汗=ホットフラッシュです。


女性ホルモンの乱れで自律神経が影響されるのが原因

自律神経

更年期になると、女性ホルモンが乱れて、卵巣から分泌される女性ホルモンのベースが下がっていきます。

すると、脳の視床下部、下垂体が影響を受けます。急に女性ホルモンが下がるのを脳が認識し、慌ててFSHという卵胞刺激ホルモンを分泌して卵巣に「エストロゲンをもっと出せ」と指令を出します。


そのとき、下垂体にある、ほかの部分が影響されるのです。下垂体には、自律神経中枢があって、生きるための体の調節を受け持っています。一か所が狂うと、ほかが引きずられて全体が狂ってきます。


自律神経はもっとも早く反応し、体を調節しようとします。自律神経に関係するのは、体温調節、胃腸、呼吸、血圧、心拍などで、同時に調節しようとします。

たとえば、寝ているとき、立ち上がったとき、走るときに、血圧を調節するのも自律神経です。また、立毛筋(りつもうきん)といって皮膚に鳥肌をたてて、熱を逃げていかないようにするのも自律神経です。急に、暑くなったり、鳥肌がたったり、寒気がしたりするのは、そのためです。


血管の収縮、拡張の調節がうまくいかなくなります

多汗

 更年期は、日によって、あるいは1日に数回エストロゲンの分泌が急上昇したり、急降下したりします。

 この急激なエストロゲンの変動に影響を受けて、自律神経が乱れるために、のぼせやほてり、多汗といった症状が生じてくるのです。


 本来、自律神経は血管を拡張させて放熱したり、逆に血管を収縮させて熱が逃げることを防いで、体温を一定に保つ働きがあります。

 しかし、自律神経が乱れると、血管の拡張と収縮の調節がうまくいかなくなります。一時的に血管が拡張すれば、のぼせやほてり、多汗などが起こります。逆に、末端の血管が収縮して血液の循環が悪くなれば、冷えの症状が起こってくるのです。


更年期障害以外の病気が原因のことも

高血圧

 のぼせやほてりは、高血圧や心臓疾患が原因のことも。また、多汗は甲状腺機能亢進症が原因で起こることもあります。

  甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気。初期には多汗や動悸、頻脈など、更年期の症状とよく似た症状が多いので注意が必要です。これらの症状に加えて、ダイエットをしているわけではないのに、だんだん痩せてくるといった症状が出てきたら、婦人科、あるいは甲状腺の専門クリニックを受診して原因を確かめておいたほうがよいでしょう。


のぼせ、ほてり、多汗の対策はさまざまな方法を組み合わせて

対策

 更年期症状ののぼせやほてりは、病気ではありませんが、ひと目につきやすいので、つらい症状のひとつです。

 日常生活に支障が出たり、気になる場合は、婦人科で相談しましょう。治療は、HRT(ホルモン補充療法)や漢方薬、自律神経調整剤などが用いられています。


閉経前であれば、低用量ピルで少量のエストロゲンとプロゲステロンを補充する治療法もあります。

また、エストロゲンだけが含まれている「プレマリン」、「エストリール」というエストロゲンの錠剤もあります。

低用量ピルやエストロゲン剤は婦人科で処方してもらえます。


エストロゲンと似た作用をする大豆イソフラボンのエクオールというサプリメントを飲むのもいいと思います。

つらい症状への対処法は、ひとつの方法で、全てをカバーできるわけではありません。さまざまな方法を組み合わせて、試してみるのが賢い方法です。


さまざまなメンタルケアも試してみては

メンタルケア

 気にしすぎないようにすることも大事。ほてりやのぼせは、本人にとって恥ずかしいことであっても、周りの人には意外と気づかれないもの。心の持ちようも症状に影響します。気にしすぎないようにしましょう。


 また、思い切って口に出すと、気持ちが楽になります。人前で汗をかいたとき、恥ずかしがって緊張すると、余計に自律神経が乱れて汗が出ます。「私は汗かきなんです」と言ってしまえば、気持ちが楽になり、体の緊張も解けます。慌てた様子を見せるよりも「お見苦しくて申し訳ございません」とひと言添えて、汗をかくほうが気が楽かもしれません。


 汗対策を万全に。外出の際は吸湿性のある大きめのハンカチを何枚か準備していきましょう。準備を万全にしておくと、それが安心感につながるので汗が出にくくなります。


自律神経訓練法や運動はおすすめです

自律神経訓練法

自律神経訓練法を行って、自律神経系を鍛えると、体温調節が安定し、ほてりや発汗が落ち着きます。

静かな場所でゆっくりできる時間をつくり、床にあぐらをかいて座るか、あお向けで寝ます。目を閉じて、ゆっくり呼吸をしながら、頭のてっぺんから、手先、足先まで酸素がゆっくり巡っているのをイメージします。

ポイントはリラックスです。体の力を抜いてリラックスできれば、体内を酸素が巡ることで自律神経を安定させることに役立ちます。


運動も大事。運動を日常的にしていると、体温を一定に保ったまま、汗をかくことができるようになります。ウォーキングは、気楽にできておすすめ。運動は若さを保ち、体の機能を潤滑にすることができます。

入浴時に腰湯をするのもいいでしょう。じっくり汗をかくので、自律神経を整えてくれます。



▼バックナンバー

・更年期は本当につらい? 更年期って何かを知れば怖くない!


・老けるのは、女性ホルモンが低下するから!?


・女性ホルモンのエストロゲンの不足が不調を招いていた!?


・更年期障害ってならない人もいるの? 症状は日によって変わるって本当?


・閉経に向けて、生理はどんなふうに変わっていくの?


  • 増田 美加 (女性医療ジャーナリスト)

    女性誌や女性専門サイトで、女性の医療&健康・美容現場を取材&執筆。2006年に乳がんを経験。検診の啓発、更年期への対策、予防医学の視点より、健康で美しくイキイキと生きるためのエイジングケア講演を行う。

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