
目指すもの × 好きなもの × 似合うもの。自分らしさとは「好き」の結晶体である【前編】
- 更新日:2019/08/16
- 公開日:2019/08/11
真夏の太陽が激しすぎて溶けてなくなりそうです。
先日発売された浜崎あゆみの『M 愛すべき人がいて』を読んでいて、携帯小説やら90年代のコギャルブームに思いを馳せました。これをエモいと呼ばずになんと呼ぶのだ?というくらい、小説と歌詞と時代が脳裏にフィードバックして、あの日からずっとあゆのBESTを聞いている自分がいます。
デビュー曲から2004~5年頃までの曲であれば曲が流れたら普通に全部歌えてしまったことに驚愕しました。私もやや下~ドンピシャの世代のため、青春時代は安室奈美恵と浜崎あゆみという2大歌姫がギャルのカリスマとして君臨した時代を覚えています。
「安室ちゃんになりたい!」と、細眉にしてメッシュを入れた女子が溢れ、結婚会見でのバーバーリーのスカートは飛ぶように売れ、「あゆになりたい!」と今だと考えられないくらいの睫びっしばし&アイラインばっちばちのドール顔とデカ目を目指したあの頃。
彼女たちが何かを紹介すれば、そのアイテムもまた飛ぶように売れました。
「自分らしさ」を深堀する必要のない「時代の波」があった

© Bidouze Stephane/123RF.COM
当時は「個人の似合う似合わないを超越したブーム」というものがありました。先にも触れたコギャルブームの中では、茶髪!メッシュ!ルーズソックス!ブルジョワのコスメ!MACのベージュヌードリップ!イーストボーイの服!などです。
これは魔王に立ち向かう勇者が伝説の武器をそろえるがごとくの「手に入れるのが常識の装備品」です。魔王がいったい何だったのかはわかりませんが、とにかく確固たるアイテムがあり、それらを手に入れるのが、「今っぽい私」を作る手段でした。
そこに「なぜ買うのか?」なんて理由はありません。「は?だって流行ってるし」の一言で返せるほどの威力がありました。「似合う似合わない」なんてパーソナライズされた概念はなく、「安室ちゃんみたいな」「あゆみたいな」といった、その時代的な圧倒的なムーブメントの主である「なにか」になりたいという欲求が渦巻いていました。
お手本はいつも圧倒的な「誰か」で、それは信仰に似ている

もちろん世代によって少しずつ「カリスマ」は違ったけれど、アイコンと呼べるような時代の寵児がおり、崇める神は違ってもそれぞれの神がいました。
皆「●●のようになりたい」という欲望に突き動かされていて意思決定しているため、目標は明確ですし、シンプルです。「私に似合うか」なんてことは度外視で、当時の悩みは、「●●に寄せられるか、寄せられないか」、ただそれだけ。
睫ばっちばち、アイラインびっしばしの顔が、その多くは平たい顔族である日本人に似合っていたかは疑問ですが、そんなことはどうでもよかったのです。
今はAKBなどの認知度が高いアイドルはもちろんいますし、若者の中でのブームもありますが、「時代」というようなアイコンはおらず、またそれを求めていないようにも見えます。かつ、より「自然体でナチュラルなものが美しい」という志向の強まりも見えるため、「別の何か」になるための力技は推奨されず、自分たちがもともと持っているパーツや特性を理解し、それを活かす方向にシフトしています。
そのため、2019年現在、女性誌を開いても圧倒的なカリスマはおらず、雑誌側が「これだ!」と打ち出だす「型」も希薄になっています。
メイクページやファッションページも「輪郭別」「体型別」など、より雑誌の先の読者たち個人に寄り添った形の提案が多く、「なれない誰かになろうとする」という動き自体が時代遅れのような雰囲気があります。
もちろんこの方向性はネガティブなものではなく、進歩であると言えます。勝手に設定された「唯一絶対の美」を崇めるのではなく、「多様な美の形」を求め・決定できるという自由意思の高まりと、多様性の許容・需要の時代であることの現れと言えます。
美の形の多様化が加速している2019年

「誰か」を目指さない姿は何も日本だけではなく、グローバルの潮流です。むしろ、欧米での「型通りの素晴らしさ」からの脱却スピードは物凄いものがあります。それに象徴されるのは、今年9月に開催されたリアーナのランジェリーブランドである、サヴェ―ジフェンティのショーでした。
「モデル=手足がとんでもなく長い、最高のプロポーションを持った美女たち」という固定観念をぶちやぶり、スーパーモデルと共にXSから4Lサイズ、および妊婦といったあらゆる体型の女性がランウェイを歩きました。もちろん、人種も様々なモデルたちです。
逆に、従来型の「手足が長い、顔の美しい、ブロンドで白人のセクシーな女性」を「目指すべき形」と定義し続けてきた米ランジェリーブランドであるヴィクトリアズ・シークレットは、大幅な売上げ減少と店舗閉鎖が相次いでおり、今年のヴィクトリアズ・シークレット・ファッションショーの中止が発表されたばかりです。
「ヴィクシーモデル」「エンジェルズ」といわれるスーパーモデルたちが、セクシーなランジェリーとド派手な羽をまとって闊歩するショーはド派手かつ圧倒的スケールで、日本にも多くのファンを持っていました。
しかし、「谷間がある胸」「すらりとした足」「カールしたウェーィーな髪」といった「男性目線のセクシー」一辺倒のヴィクトリアズ・シークレットは、現代の「自分らしさ」を獲得した女性たちにとって、まったく憧れる対称ではなくなり、理想像を押し付けてくる息苦しい存在に成り下がったと言えます。
>>後編へ続く
▼バックナンバー
・化粧も、美容も、「誰かのため」なわけじゃない。自分を形作る一部である。
・恋したコスメが廃盤になる女が力説する「欲しい物は即買え」コール&今のオススメ4選
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ぱぴこ
(外資系OL ときどき ライター)
外資系ときどき激務OL。オシャレとズボラの狭間に生息し、ストレスを課金で潰すことに余念がない。趣味はNetflix、お酒、豚を塩漬けにすること。目標はゆとりのある生活(物理)
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