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こんな理由で離婚成立!? ~どんな理由が離婚原因になるの?~

弁護士に聞いてみた

各地の家庭裁判所に用意してある所定の離婚調停申立書には、「申立ての動機」という欄があります。


その中には「性格があわない」、「異性関係」、「暴力を振るう」、「酒を飲みすぎる」、「性的不調和」、「浪費する」、「病気」、「精神的に虐待する」、「家族を捨ててかえりみない」、「家族と折合いが悪い」、「同居に応じない」、「生活費を渡さない」、「その他」と、あらかじめ13個の離婚の動機が記載されていて、該当する動機に○をつけることになっています。

司法統計を見てみると、実際に申し立てられた離婚調停の中で離婚の動機として挙げられるのは、「性格が合わない」、「精神的に虐待する」、「生活費を渡さない」、「異性関係」、「暴力を振るう」といったものが多いようです。

このように離婚したいと思う理由にはいろいろありますが、どんな理由が離婚原因として認められやすい(認められにくい)のでしょうか?


今回は、様々な事例ごとに裁判で認められる離婚原因となるのかについてお話します。


DVやモラハラが離婚原因になるの?

DVやモラハラ

配偶者からの暴行や虐待行為など、いわゆるDVやモラルハラスメントは、「婚姻関係を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)に当たると判断されることが多く、離婚原因として認められやすいです。暴行やモラハラの程度が軽度でも、何度もしつこく繰り返されれば、十分に離婚原因になり得ます。


例えば、夫に暴力・酒乱の癖があって勤労意欲が欠けていることにより妻の愛情が失われた事例(東京高裁昭和51年10月29日判決)や、夜間の仕事に就いている夫が日中でも妻に性交渉を要求し、断る妻に暴行を振るった事例(東京高裁昭和58年1月27日判決)では、「婚姻関係を継続し難い重大な事由」があるとして妻の離婚請求を認めました。


もっとも、ありふれた夫婦喧嘩程度の暴力・暴言の場合には、それ自体が離婚原因とされるわけではなく、別居期間、異性関係、ギャンブル癖、酒癖などのその他の事情を考慮して「婚姻関係を継続し難い重大な事由」があるかどうか判断されます。

例えば、不安障害と診断された妻が、夫は家事育児を手伝わないのに掃除洗濯の方法を細かく指示し、妻のやり方が気に入らないと大声で怒鳴りつけるなどのモラルハラスメントがあったと主張して離婚を求めた事例で、裁判所は、妻の主張する事実は、双方の性格・考え方の違いや感情・言葉の行き違いに端を発するもので、夫のみが責任を負うものではなく、約10年の同居期間に比べて別居期間は約3年5か月と短く、婚姻関係は、妻の治療を優先しながら双方が努力を続けることで修復の可能性がないとはいえないとして、離婚請求を認めませんでした(東京地裁立川支部平成27年1月20日判決)。


勤労意欲の欠如や借金が離婚原因になるの?

借金

配偶者になまけ癖がある、働く意欲がない、生活能力がないといった場合は、夫婦の協力扶助義務に違反しているといえるので、「婚姻関係を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)に当たると判断されることが多く、離婚原因として認められやすい傾向があります。


例えば、夫が将来の見通しもなく転々と職を変え、借金を重ね、妻に借金返済の援助を求めるなどけじめを欠く生活をしていた事例(東京高裁昭和59年5月30日判決)や、生活能力がなく怠けた生活を続ける夫に妻が愛情を失った事例(東京高裁昭和54年3月27日判決)では、「婚姻関係を継続し難い重大な事由」があるとして妻の離婚請求を認めました。


また、単に借金があるというだけでは離婚原因と認められませんが、配偶者が他方に無断で借金を重ねたり、クレジットカードで多額の出費を繰り返したりして、夫婦としての生活を維持することが困難な状況となった場合には、「婚姻関係を継続し難い重大な事由」があると判断されることがあります。

例えば、妻が夫の収入(年収約580万円)に合わない浪費をして、家計に不相応な多額の借金やクレジットカードの利用を重ね(合計約2100万円)、一人では返済できなくなった事例(東京地裁平成12年9月26日判決)では、「婚姻関係を継続し難い重大な事由」があるとして夫の離婚請求が認められました。


セックスレスや子どもができないことが離婚原因になるの?

セックスレス

結婚生活においては、性交渉も重要な要素ですから、病気や老齢などの理由により性関係を重視しないという合意があるなどの事情がない限り、セックスレスや性的異常は、「婚姻関係を継続し難い重大な事由」に当たる場合があり、離婚原因として認められやすいといえるでしょう。


例えば、次のような事例では、妻の離婚請求が認められました。

・夫が婚姻の際に妻に性交不能であることを告げず、3年半の同居期間中に一度も性交渉がなかった事例(京都地裁昭和62年5月12日判決)


・婚姻後5か月で性交渉が2~3回しかなく、夫がAVなどを見ながら自慰行為にふけって妻との性交渉を拒否し、別居するまでの1年4か月間セックスレスとなった事例(福岡高裁平成5年3月18日判決)


・夫がポルノ雑誌に異常な興味を示して自慰行為にふけって妻との性交渉を拒否し、別居するまでの約4年間セックスレスとなった事例(浦和地裁昭和60年9月10日判決)


・夫が性交渉の際に必ず妻に靴を履かせるという妻の嫌がる性生活を強要した事例(大阪地裁昭和35年6月23日判決)


・夫が他の男性と同性愛関係になって妻とセックスレスとなった事例(名古屋地裁昭和47年2月29日判決)


晩婚化が叫ばれている現在では、子どもができなくて悩んでいる夫婦も多いと思います。夫婦の一方が強く子どもを望んでいるが他方がそれほどでもない、というように夫婦間に温度差がある場合は、子どもができないことが原因ですれ違いが生じ、夫婦関係がうまくいかなくなることもあるでしょう。

しかし、子どもができないということだけで離婚原因が認められることは、実際はほとんどないといえます。


親族と馬が合わないことが離婚原因になるの?

家族と不仲

嫁姑問題など、夫婦の一方が他方の親族と馬が合わなくて、夫婦関係の対立に発展することも少なくありませんが、このような親族との不和の問題は、多かれ少なかれどこの夫婦にも起こり得るものです。

そのため、義理の母などの親族と単に馬が合わないというだけで「婚姻関係を継続し難い重大な事由」が認められることはほとんどないでしょう。


もっとも、例えば、妻と夫の両親の不和が原因で妻が離婚請求した事例では、夫が問題に無関心で不和の解消に協力せず、円満な夫婦関係の実現に努力する態度が見られないとして、「婚姻関係を継続し難い重大な事由」があるとして離婚が認められました(名古屋地裁岡崎支部昭和43年1月29日判決)。

他方で、妻と同居している夫の姉との不和が原因で妻が離婚請求した事例では、夫婦間に紛争があったわけではなく、夫が姉を別居させるなど家庭内融和のための方策を講じれば、妻との良好な婚姻関係を取り戻せるとして、離婚が認められませんでした(東京高裁昭和60年12月24日判決)。

離婚

今回は、DVやモラハラ、借金問題、セックスレス、嫁姑問題などが離婚原因として認められるかについてお話しました。

夫婦関係は、ちょっとしたボタンの掛け違いから夫婦のすれ違いが始まり、それがどんどん大きくなって夫婦生活を続けられないほどに溝が深くなることがあります。


いざ「離婚しようかな」と考えても、子どもの問題や今後の生活の問題など、いろいろな問題が山積みになって一人では抱えきれなくなってしまうことが多いです。

そのようなときは、親身になって話を聞いてくれる家族や友人の存在が非常に大事になってきますし、頼りになる弁護士から適切なアドバイスを受けることも重要です。

離婚問題で悩んでいる方は、まずは気軽に弁護士にご相談ください。



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  • 田中雅大(弁護士/第二東京弁護士会所属)

    1975年生まれ。埼玉県出身。証券会社に勤務した後、2010年に弁護士登録。中小企業の法務や不動産案件を中心に扱いつつ離婚や不倫などに関する数々の男女トラブルを解決。趣味はサーフィン、草野球。

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