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【離婚原因】裁判で離婚が認められる「離婚原因」って何?

弁護士に聞いてみた

夫婦がお互いに離婚に向けて話し合いをしてもまとまらず、離婚調停を申し立てても調停が成立しない場合、日本の民法では、裁判でなければ離婚することができないとされています。では、単に「離婚したい」とか「性格が合わない」とかいうだけで、裁判で離婚が認められるのでしょうか?


今回は、裁判で離婚する場合に必要な「離婚原因」についてお話します。


「離婚原因」って何?

裁判離婚は、夫婦の一方の請求に基づいて、裁判所が婚姻を解消させる制度ですから、社会的にも法的にも正当と認められるだけの理由が要求されます。

このため、民法は、裁判離婚が認められるために必要な事由を定めていて、これを「離婚原因」といいます(民法770条1項1号~5号)。この「離婚原因」は、「婚姻が破綻して回復の見込みがないかどうか」という観点(破綻主義)から定められたものといえます。


なお、1号から4号までの離婚原因がある場合であっても、裁判所は、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができ(民法770条2項)、裁判上離婚が認められないこともあります。

では、民法上定められた離婚原因について詳しく見ていきましょう。


①配偶者に不貞な行為があったとき(民法770条1項1号)

不貞行為

民法には、何が「不貞行為」に当たるのかはっきりとした基準が定められていませんが、判例上、「不貞行為」とは、「配偶者のある者が、自由な意思に基づいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと」とされています(最高裁昭和48年11月15日判決)。

つまり、基本的には「婚姻中に異性とSEXすること」が「不貞行為」に当たります。この不貞行為は夫婦間の信頼関係や協力関係を壊して婚姻関係の破綻に繋がるとして、民法上の離婚原因に挙げられているのです。

もっとも、不貞行為は自由な意思に基づくことが必要ですので、レイプされたり意思能力がない状態で肉体関係を持った場合には、不貞行為に当たらないとされています。


反対に、自由な意思に基づくのであれば、不貞行為の相手の意思がどうであれ相手が誰であれ、不貞行為に当たる可能性があります。また、肉体関係が続いていることは必ずしも重要ではなく、1回の肉体関係でも不貞行為に当たると考えられています。


②配偶者から悪意で遺棄されたとき(民法770条1項2号)

置き去り

「遺棄」とは、民法752条に定められている同居・協力・扶助の義務に違反する一切の行為をいい、多くの場合に問題となるのが「同居義務違反」です。これには、夫婦の一方が他方を置き去りにして出て行く場合(出奔型)と夫婦の一方が他方を追い出して帰るのを認めない場合(追い出し型)があります。

出奔型には、例えば、夫が愛人を作って家に帰って来ない場合、妻が夫と子どもを残して家出して帰って来ない場合などがあります。追い出し型には、例えば、妻の浮気を疑った夫が妻を別居させて同居に応じない場合などがあります。このような同居義務違反には、家出した夫が妻に生活費を一切渡さないといった扶助義務違反を伴うケースも多くあります。

また、「悪意」とは、遺棄した者が、単に夫婦共同生活ができないことを知っているだけでなく、それを積極的に意図していることをいいます。


この「悪意の遺棄」がある場合にも、婚姻関係の破綻に繋がっているとして離婚原因の一つとなっているのです。

実際の裁判では、「悪意の遺棄」があったかどうかは、同居拒否や生活費打ち切りに正当な理由があるのかどうかを様々な事情を考慮しながら判断していくことになります。


③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき(民法770条1項3号)

行方不明

夫婦の一方に長い間生死不明の状態が続いていると、もはや婚姻関係が破綻していると考えられるので、この3号の要件が離婚原因に挙げられています。

「生死が明らかでない」とは、生きているとも死んでいるとも証明がつかないことをいいます。ですから、例えば、夫が行方不明になってしまったが手紙や仕送りが送られてくるなどして生きていることが分かっている場合には、この要件を満たしません。このような場合には、離婚原因としては3号ではなく、前述の2号の「悪意の遺棄」や5号に当たると思われます。


また、「3年」をいつからカウントするかについてですが、配偶者の生存を推定できる事実のあったときからカウントします。例えば、手紙やメールによって生存の確認ができたような場合には、最後に生存確認ができてから3年をカウントすることになります。


④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき(民法770条1項4号)

うつ病

精神病は病気であり、精神病にかかった人に責任はありませんが、夫婦の一方が重い精神病にかかったときには、夫婦間のコミュニケーションが困難になったり、長期の入院生活が必要になったりして、婚姻生活を継続していくことが難しくなります。そこで、民法では、婚姻関係から夫婦を解放するために4号の要件が離婚原因に挙げられています。


「強度」の精神病とは、夫婦相互の協力扶助義務を果たせない程度に重症であることを指し、「回復の見込みがない」とは、夫婦相互の協力扶助義務を果たせる程度まで回復する可能性がない場合を指します。

例えば、重度な統合失調症や躁うつ病などが考えられますが、薬物やアルコール中毒による精神障害、加齢に伴う認知症については、裁判例でも判断が分かれています。


この4号が問題となる場合、最終的な判断は裁判官が行いますが、医師などの専門家の鑑定に基づいて、客観的に判断されるのが一般的です。


⑤その他婚姻関係を継続し難い重大な事由があるとき(民法770条1項5号)

夫婦ゲンカ

離婚原因として最も多く最も範囲が広いのが、この「婚姻関係を継続し難い重大な事由があるとき」です。


裁判所に申し立てられる離婚事件の動機の中で最も多いのが「性格の不一致」なのですが、「性格の不一致」は、「婚姻関係を継続し難い重大な事由」があるかどうかの一つの要素であって、これだけで離婚原因になるとは限りません。

どの程度の性格の不一致が離婚原因となるかについては、ケースバイケースとしか言えませんが、例えば、相手の人格を攻撃したり相手を侮辱したりしている場合には、夫婦間の信頼関係が壊れてしまっていると考えられますので、離婚原因が認められやすくなるでしょう。

もっとも、裁判所は、性格の不一致だけではなく、別居期間、夫婦が互いに協力扶助している程度、夫婦関係の修復の可能性など様々な事情を考えて、離婚原因が認められるかどうかを判断することになります。



今回は、民法で定められている離婚原因5つについて一般的なお話をしましたが、裁判離婚になるまで揉めている夫婦では、お互いにいろんな離婚原因が主張されますので、まさにドロドロした戦争状態になることも少なくありません。


次回は、「え!?こんなことも離婚原因として認められるの(認められないの)?」というお話をしようと思いますので、お楽しみに!


離婚問題は、お互いに神経も体力も擦り減らす問題です。一人で抱えているとどんどん疲れ果ててしまいますので、親身になって話を聞いてくれる家族や友人の存在が非常に大事になってきますし、頼りになる弁護士から適切なアドバイスを受けることも重要です。

離婚問題で悩んでいる方は、まずは気軽に弁護士にご相談ください。



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  • 田中雅大(弁護士/第二東京弁護士会所属)

    1975年生まれ。埼玉県出身。証券会社に勤務した後、2010年に弁護士登録。中小企業の法務や不動産案件を中心に扱いつつ離婚や不倫などに関する数々の男女トラブルを解決。趣味はサーフィン、草野球。

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