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【協議離婚】子どもやお金のことで気を付けるポイントは?

弁護士に聞いてみた

前回は、日本では約9割が協議離婚によって離婚するという現実を踏まえて、協議離婚の方法やメリット・デメリットなどについてお話しました。

離婚は、当事者だけでなく子どもにも大きな影響を与えますし、夫婦で築いた財産をどうするかといった問題もあります。そのため、離婚することを決めたはいいけれど、考えなければいけないことはたくさんあるのです。

今回は、協議離婚するときに気を付けるべきポイントについてお話します。


子どもの問題で気を付けるべきポイント

お子様のいない夫婦であれば、離婚は純粋に二人だけの問題ですから、子どもについて問題になることはありませんが、未成年の子どものいる夫婦では、協議離婚の際に、子どもの関係で決めておかなければならないことがいくつもあります。


①親権

親権

親権とは、未成年者の子どもを監護・養育し、その財産を管理し、その子どもの代理人として法律行為をする権利や義務のことをいいます。具体的な親権の内容としては、財産管理権(子どもの財産についての包括的代理権、子どもの法律行為についての同意権)と身上監護権(婚姻などの身分行為の同意権・代理権、子どもの居所指定権、懲戒権、職業許可権)の2つに大別されます。未成年の子どもは親の親権に服することになり、その親権は父母が共同して行使するのが原則です(民法818条3項)。


父母が離婚する場合、父母が共同して親権を行使することはできませんから、父母のいずれかを親権を行使する親権者として定める必要があります。つまり、父母が協議離婚をする場合は、その協議で親権を行使する親権者を定めなければなりません(民法819条1項)。先に離婚だけして、後から親権者を決めることはできませんので、注意しましょう。


②監護権

監護権

親権の中には身上監護権が含まれていますが、この身上監護権だけを取り出して、親が子どもを監護し教育する権利を、単に「監護権」と言うことがあります。簡単に言うと、監護権とは、子どもと一緒に暮らして、子どもの世話や教育をする親の権利義務ということになります。


監護権も親権の一部ですから、通常は、親権者=監護権者になりますが、子どもためにやむを得ない場合には、親権者となる親と監護権者となる親を別々にしてもよいと考えられています。例えば、離婚協議の中で、「父親としては親権を失いたくないが、子どもが幼いので母親を監護権者としたほうが子どもの養育のために良い」と考えて、親権者を父親、監護権者を母親とすることができます(もちろん逆も可能です)。


③面会交流

面会交流

面会交流とは、子どもを監護しない親と子どもとの面会のことをいいます。監護権を持たない親は、子どもと面会する権利が与えられていて、監護権を持つ親は、監護権を持たない親と子どもとの面会に応じる義務があります。


実際には、離婚した後に子どもに会いたいのに会わせてもらえないといったトラブルが生じることがとても多いです。月1回程度の面会交流が一般的と言われていますが、特に制限はありませんので、夫婦で自由に取り決めることができます。

いらぬトラブルを回避するためにも、協議離婚する際には、面会の頻度や回数、面会のための待ち合わせ場所や日時の指定、1回あたりの面会時間、連絡の取り方、子どもの幼稚園や学校などの行事の参加などについて、しっかり取り決めておきましょう。


④養育費

養育費

養育費とは、未成年の子どもの監護に必要な費用のことをいい、監護権を持つ親は、監護権を持たない親に対して、養育費を請求することができます。

子どもに経済的に貧しい思いをさせないためにも、協議離婚の際には、養育費の金額、支払方法、子どもが何歳まで支払うかなどについて、細かく取り決めておくことが必要です。


もっとも、協議離婚の際に取り決める養育費は絶対的なものではなく、離婚後に双方の収入などの事情に変化があれば、それに応じて再度協議して取り決めることもできます。

実際に、適正な養育費がいくらなのか分からない人も多いと思います。その場合には、裁判所が作成している「養育費・婚姻費用算定表」を参考にしてみてください。お互いの収入に当てはめると、おおよその養育費の金額がわかりますので、二人で話し合って具体的な金額や支払方法を取り決めましょう。


財産の問題で気を付けるべきポイント

子どもがいてもいなくても、離婚する際には、夫婦の財産を清算したり、場合によっては慰謝料の支払が必要になったりする場合があります。以下では、財産の問題で気を付けるべきポイントをいくつか挙げておきます。


①財産分与

財産分与

婚姻中に夫婦が協力して築き上げた財産は、夫婦共有財産として扱われ、財産分与の対象となります。協議離婚する際には、何が財産分与の対象となる財産で、二人でどう分けたらよいのか話し合い、共有財産を清算する必要があります(清算的財産分与)。

協議離婚の際に財産分与について取り決めなければ離婚できないというわけではありませんが、決めておかないと離婚後にトラブルになることが多いので、出来る限り決めておきましょう。

財産分与の割合は、原則として2分の1ずつになりますが、話し合いの中で異なる割合で取り決めることも可能です。また、離婚後に経済的に辛い生活を余儀なくされる相手に対し、扶養料の意味を含めて財産分与したり(扶養的財産分与)、慰謝料の代わりに財産分与を取り決めたりすることもあります。


財産分与の対象となる財産として、現金、預貯金、不動産、株などの有価証券、生命保険などの保険、自動車、貴金属、家財道具、高額な会員権、退職金などが挙げられます。

不公平感なく、お互いに納得のいく財産分与をするためにも、離婚前に双方を財産関係を把握しておくことが重要です。

離婚がほぼ決まってから財産分与の話し合いを始めると、勝手に財産を処分されたり隠されたりしてしまうリスクがありますので、トラブルになるケースが非常に多いです。


②慰謝料、解決金

慰謝料

慰謝料は、離婚するからといって必ず発生するものではありません。慰謝料とは、相手の不法行為(権利侵害)により精神的損害を被った場合の損害を金銭的に評価したものですので、そのような不法行為(例えば、浮気や不倫、DV、モラルハラスメントなど)がなければ、そもそも慰謝料は発生しないのです。

慰謝料という名目を前面に出して話し合っても紛糾するだけですので、協議離婚するのであれば、慰謝料を請求しない方が揉めずに済むケースが多いでしょう。


もっとも、協議離婚はあくまで話し合いで離婚を決める場合ですので、法的に慰謝料が発生するわけではなくても、慰謝料的な意味を含めて具体的な金額や支払方法について話し合いで取り決めることも考えられます。その場合も、角が立たないように「解決金」という名目で取り決めることも一案です。


③年金分割

年金分割

離婚する際には、夫婦がそれまでに掛けてきた年金を分割できる場合があります。

年金分割とは、主に給与所得者は、厚生年金や共済年金などの、いわゆる年金の2階部分を納めていますが、婚姻期間中に夫婦が納めた厚生年金などの掛け金に対応する部分の年金(年金納付記録)を離婚時に夫婦で分け合うことができる制度です。

年金の受給年齢になるまで効果は表れませんが、協議離婚の際に話し合っておかないとトラブルになりやすい問題です。

平成20年3月31日以前の年金加入期間がある場合には、年金分割するためには、相手と話し合って分割に合意してもらう必要となりますので(合意分割)、注意が必要です。

なお、年金分割は、離婚が成立した日から2年以内に年金事務所に行って請求しなければなりませんので、その点も注意しましょう。


以上のように、協議離婚する際には、話し合いで決めるべきポイントがたくさんあります。弁護士などの専門家に相談して、離婚の条件に見落としがないかどうかアドバイスを受けた方が、「あの時こうしておけば良かった…。」と後悔しないで済むと思います。


また、口頭で取り決めても、「言った」「言わない」の問題となってしまうリスクがありますので、協議離婚の場合でも、必ず「離婚協議書」を作成し、可能であれば、それを「公正証書」という形にしておきましょう。そうすることで、後日相手が養育費などを支払ってくれなくなっても、すぐに強制執行することができるのです。

離婚の問題は、知らないと大きな不利益となることが非常に多いです。勢いだけで協議離婚してしまうのは大変危険ですので、まずは弁護士にご相談を!



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【協議離婚】話し合いで離婚するときのメリットやデメリットは?

  • 田中雅大(弁護士/第二東京弁護士会所属)

    1975年生まれ。埼玉県出身。証券会社に勤務した後、2010年に弁護士登録。中小企業の法務や不動産案件を中心に扱いつつ離婚や不倫などに関する数々の男女トラブルを解決。趣味はサーフィン、草野球。

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