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【協議離婚】話し合いで離婚するときのメリットやデメリットは?

弁護士に聞いてみた

日本の離婚制度には、協議離婚、調停離婚、裁判離婚という3種類があるのですが、離婚の9割が協議離婚と言われています。日本のように夫婦の協議だけで離婚できる国は、実はそれほど多くありません。離婚は、当事者だけでなく子どもにも大きな影響を与えますし、財産をどうするかという問題もありますので、裁判でなければ離婚できない国も多くあります。


今回は、離婚の大半を占める協議離婚の方法やメリット・デメリットについてお話します。


協議離婚ってどうやってするの?

協議離婚

そもそも、離婚するためには、夫婦双方が離婚するという意思をもって離婚届を提出しなければなりません。もっとも、離婚届を提出する際、離婚の理由は問われません。

離婚届には、夫婦と成人2名の証人の署名押印が必要で(民法764条、739条)、押印は実印でなく認印でも構いません。そのため、印鑑登録証明書の添付は不要です。ただし、未成年の子どもがいる場合には、離婚後の親権者を記入しなければ受理されず、離婚は成立しません。


また、本籍地以外の役所に提出する場合には、戸籍謄本を添付する必要があり、添付がないと新しい戸籍が作られるのが遅くなります。

なお、届け出る人の本人確認書類(免許証等)の提示が必要です。


勝手に離婚届が提出された場合どうなるの?

離婚届を提出

ではまだ離婚すると決まったわけではないのに、夫婦の一方が勝手に離婚届を役所に提出してしまった場合でも、離婚は成立するのでしょうか?


無効な協議離婚が成立することがある!

離婚するつもりがないのに離婚届が勝手に提出されても、夫婦の間で離婚の合意がないので、その協議離婚を本来無効です。

しかし、離婚届を受理する役所は、離婚届の記載内容の不備をチェックする権限しかなく、離婚届が夫婦の合意によって書かれたものかどうかチェックするわけではありません。そのため、記載内容に不備のない離婚届が提出されて役所が受理すれば、たとえ夫婦の間で離婚の合意がなくても、戸籍上は協議離婚が成立してしまうのです。実際に、偽造された離婚届で協議離婚が成立してしまうケースは少なくありません。


なお、勝手に偽造した離婚届を役所に提出する行為は、有印私文書偽造罪、偽造私文書行使罪という犯罪です!(刑法159条、161条)


協議離婚無効確認の訴え

ただ、離婚届が勝手に提出されてしまった場合に、離婚の成立が戸籍上ずっと認められてしまうのでは困ってしまいますよね。そこで、離婚の意思がないのに離婚届が提出されて戸籍上離婚が成立しても、協議離婚無効確認の調停や裁判を家庭裁判所に申し立てて、協議離婚の無効を訴えることができます。


離婚届不受理申出制度

このように、夫婦の一方や別の人が離婚届を偽造して、相手の知らない間に勝手に離婚届を提出してしまっても、戸籍上離婚が成立してしまうのでは、離婚したくない相手にとってはかなり危険ですよね。

そこで、本人以外からの離婚届を役所に受理させないように、離婚届不受理申出制度というものがあります。これは、離婚したくない夫婦の一方が、「離婚届不受理申出」という書類を本籍地のある役所に提出することで、相手が勝手に離婚届を提出しても受理されなくするもので、「離婚届不受理申出」を提出した本人が取り下げない限り有効です。


協議離婚のメリット

協議離婚のメリット

では、協議離婚には、どのようなメリットがあるのでしょうか?

このメリットがあるので、日本では離婚の大半が協議離婚なのです。


① 自由なタイミングで離婚できる

協議離婚は、夫婦の間で離婚の合意をして離婚届を提出すれば成立しますので、離婚の理由は一切問われず、夫婦が話し合って自由なタイミングで離婚を決められるというメリットがあります。そのため、煩わしい手続がほとんどなく、簡単かつ迅速に離婚することができます。


② 費用がかからない

協議離婚ではなく、家庭裁判所に調停を申し立てて離婚する場合には、調停申立てのための手数料や弁護士に依頼した場合の弁護士費用など、諸々の費用がかかりますが、協議離婚では、これらの費用を一切負担する必要がありません。


協議離婚のデメリット

協議離婚のデメリット

① 協議が不十分でも離婚できてしまう

協議離婚は、基本的に夫婦二人だけで話し合うことになり、専門家や裁判所などの第三者が間に入ってくれるわけではありません。そのため、冷静な話し合いができなかったり、自分の権利や義務を知らずに何も決めずに離婚してしまったり、不利な条件を押し付けられて離婚してしまったりことがあります。

また、詳しくは次回解説しますが、子どもの親権、養育費、面会交流、財産分与、慰謝料、年金分割など、離婚の際に決めるべき事柄は非常に多くありますし、他にも家庭内や親族間の事情もあるでしょう。そのような事柄や事情について十分に協議しなくても、離婚の合意があって離婚届を提出してしまえば離婚が成立してしまいますので、問題を先送りすることになり、後日の争いを残してしまう可能性があります。


② 約束が反故にされるリスクがある

家庭裁判所が関わる調停離婚や裁判離婚の場合、その手続の中で決められた事項が、家庭裁判所の作成する調停調書や和解調書、判決書という文書となって双方の手元に渡されます。この家庭裁判所のお墨付きのついた文書があれば、例えば、相手が養育費をいくら支払うという約束を守らなくても、その文書に基づいて強制執行することができます。


しかし、協議離婚の場合には、夫婦の間で離婚の合意をして離婚届を役所に提出するだけで離婚が成立しますので、口約束だけで離婚届を提出してしまっては、相手に約束が反故にされたときに何もできません。相手に約束を守らせるためには、裁判を起こさなくてはなりませんが、「言った」「言わない」もめて、約束の内容を証明することが非常に難しくなってしまうのです。


離婚協議書の作成を!

離婚協議書

このような協議離婚のデメリットをなくすために、協議離婚をしたいときには、必ず「離婚協議書」を作成しましょう。離婚協議書を作成して、子どもの親権、養育費、面会交流、財産分与、慰謝料、年金分割などについて約束した内容を文書化しておけば、相手が約束を守らなくても、離婚協議書を証拠として裁判を起こし、判決を得て強制執行(例えば、給料や預貯金の差押え等)をすることが可能となります。


また、可能であれば、費用はかかりますが、公証役場の公証人に作成を依頼して、「公正証書」という形にしておきましょう。公正証書にする場合には、通常、「強制執行認諾約款」という文言が入りますので、万が一相手が約束を反故にして養育費や財産分与額を支払わない場合でも、裁判を起こさずにすぐに強制執行をすることができるのです。


以上のように、協議離婚という方法を選べば、日本では簡単かつスピーディーに離婚することが可能です。

しかし、協議離婚には大きなデメリットがありますので、弁護士などの専門家に相談して、自分にどのような権利や義務があるのか、離婚の際にどのような事柄を決めておく必要があるのかなどについてアドバイスを受けた方が、後悔しないで済みます。また、自分に有利な条件を引き出すためにも、協議離婚の交渉を弁護士に依頼することもオススメします。

勢いだけで協議離婚してしまうのは大変危険ですので、まずは弁護士にご相談を!



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  • 田中雅大(弁護士/第二東京弁護士会所属)

    1975年生まれ。埼玉県出身。証券会社に勤務した後、2010年に弁護士登録。中小企業の法務や不動産案件を中心に扱いつつ離婚や不倫などに関する数々の男女トラブルを解決。趣味はサーフィン、草野球。

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