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愛があればお金なんて…は甘い!夫婦間のシビアな財産・お金の問題【弁護士に聞いてみた】

弁護士に聞いてみた

「愛があればお金なんて!」というお気持ちの夫婦もいらっしゃるかと思いますが、現実はそう甘くはありません。

結婚して長く夫婦生活を続けていると、家財道具をどちらのお金で買ったのかなど、夫の財産と妻の財産の区別がつかなくなることがありますし、夫婦で相談して家や自動車を買ったけれど名義は夫のみということもよくあります。この財産やお金のことで、夫婦喧嘩になることもよくあることですよね。


今回は、夫婦間のお金の問題の中でも、法定財産制と夫婦財産契約について解説します。


婚姻中の財産関係ってどうなっているの?

婚姻中の財産関係

一般的に、夫婦がともに利用している家、自動車、家財道具などの財産については、誰の名義かや誰が買ったかに関係なく、夫婦の共同財産だと考える人が多いと思います。


実際、夫婦生活は経済面でも夫婦の協力なしに成り立ちませんから、家庭内にある財産は「夫婦の物」と考えるのも当然と言えば当然かもしれません。


しかし、夫婦といっても一個人であることに変わりはありません。夫や妻が「これは自分だけの財産だ!」と言って持っておきたい物もあるでしょうし、夫婦生活を送るために責任の所在を明らかにしておきたい場合もあるでしょう。そのためには、夫婦間の財産が誰のものなのか、生活費の負担をどうするのか、夫婦生活を送る上で生じた借金などの支払の責任をどうするのかなどについて、ルールを決めておく必要があります。


このルールのことを夫婦財産制といって、日本でも、婚姻中の財産関係については夫婦が合意(夫婦財産契約)によって決めることができ、そうしない場合には法律(法定財産制)に従うことになっています。


日本の法定財産制ってどうなっているの?

そもそも夫婦財産契約の存在自体知らずに結婚するカップルは多いでしょうし、知っていてもわざわざ夫婦財産契約なんて要らないというカップルもいるでしょう。その場合、法定財産制に従うことになりますが、日本ではどのように定められているのでしょうか?


実は、民法で法定財産制について定めた条文は、わずか3つしかありません。


①婚姻費用の分担

婚姻中の財産関係

民法では、「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。」と定められています(民法760条)。


この「婚姻費用」とは、簡単に言うと夫婦生活を送るための生活費のことで、一般的に、衣食住の費用、医療費、娯楽費、交際費、預金、保険料など将来に備えるための費用、子どもの養育費や教育費など、家計簿の費目に挙げられるような費用を指します。

もっとも、具体的な分担については、夫婦の合意で決めることなります(詳しくは次回に解説します)。


②夫婦間の日常家事債務の連帯責任

婚姻中の財産関係

民法では、「夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。」と定められています(民法760条)。


この「日常家事債務」とは、日常生活において必要な物品等を購入したときの債務のことを言い、例えば、スーパーマーケットでクレジットカードを利用して食材や日用品を購入した場合のクレジット支払債務などが挙げられます。この場合、クレジットカードの名義人はもちろんですが、夫婦の間では夫婦で連帯して返済する義務があるということになります(詳しくは次回に解説します)。


③夫婦間における財産の帰属

婚姻中の財産関係

民法では、

・「夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産)とする。」(民法762条1項)

・「夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。」(民法762条2項)

と定められています。


つまり、夫婦が持っている財産のうち、夫が夫の名義で買った財産や相続した財産は夫の財産であり、夫が負担した借金などの債務についても夫だけに責任があり、妻に関しても同じことがいえるということです。


この条文を素直に読むと、夫婦のどちらの名義かはっきりしない財産は夫婦の共有財産だけれど、夫が夫の名義で買った家や自動車などの財産は、夫の財産であって妻の財産ではないということになりそうです。


ただ、実際には、共働き夫婦二人の収入で買う場合や、妻も自分のお金を出している場合があります。そこで、誰の名義で買ったかではなく、支払ったお金の出所を基準にしたり、婚姻中に築いた財産であれば、一方の配偶者の名義となっている場合でも相手の協力があってのことと見なされて、夫婦の共有財産とされることが多いです(詳しくは次回に解説します)。


夫婦財産契約ってどういうもの?

夫婦財産契約とは

夫婦は、婚姻前に自分たちの財産関係について法定財産制と異なる内容の契約をしておくことができます。これを夫婦財産契約といいます(民法755条)。


夫婦財産契約ができるのは「婚姻前」だけで、原則として婚姻後は変更できません(民法758条)。つまり、いったん夫婦財産契約をしたら、婚姻が続く限り夫婦を拘束するということです。

また、夫婦財産契約の存在や内容を第三者に主張するためには、夫婦財産契約登記をしておかなければなりません(民法756条)。登記の申請書には夫婦財産契約書を添付しなければなりませんから、必然的に「夫婦財産契約書」という形の書面を作成する必要があります。


このように、夫婦財産契約は、婚姻後は変更できなかったり登記手続が必要となったりするため、使い勝手が悪く、あまり普及していないのが現状です。


夫婦財産契約で決められる内容

夫婦財産契約とは

夫婦財産契約で決められる内容は、先にお話しました夫婦の法定財産制に関するものになります。

つまり、婚姻費用の分担、日常家事債務の連帯責任、夫婦間の財産の帰属に関するものになります。


例えば、「婚姻費用の分担割合については、夫を2、妻を1の割合とする」、「○○は夫の特有財産とし、△△は妻の特有財産とする」、「婚姻中取得する財産は、すべて夫婦の共有財産とし、その持分は各2分の1とする」、「□□の処分については、夫婦の協議を必要とする」などと定めたりするわけです。


また、法的には夫婦財産契約の内容とは呼べませんが、法定財産制とは関係のない事項であっても、実際には円満な夫婦生活を送るために役立つ内容を夫婦間で約束しておくことも多いです。

例えば、離婚の際の慰謝料について定めたり、離婚後の子どもの養育監護、離婚後の生活費の負担、家事・育児の分担、浮気が判明したときの対処法などを定めたりすることもできます(これらの内容は夫婦間では有効です)。


もっとも、同居・扶助の義務を否定する条項や、日常家事債務の連帯責任を否定する条項、自由な離婚を認める条項は、公序良俗に反し無効とされています。


以上のように、夫婦間のお金の問題については、民法上、法定財産制という基本的なルールが定められているだけで、あまり詳しく規定されていません。

つまり、夫婦のお金の問題は、基本的に夫婦間での解決に委ねられているといえます。


お金の問題でケンカばかりしている夫婦にならないようにするために、結婚する前も結婚した後も、夫婦でしっかり話し合って、円満な夫婦生活を送りたいものですね。



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  • 田中雅大(弁護士/第二東京弁護士会所属)

    1975年生まれ。埼玉県出身。証券会社に勤務した後、2010年に弁護士登録。中小企業の法務や不動産案件を中心に扱いつつ離婚や不倫などに関する数々の男女トラブルを解決。趣味はサーフィン、草野球。

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