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《婚姻障害事由とは》どのような場合に法律上結婚が許されないの?【弁護士に聞いてみた】

弁護士に聞いてみた

日本で結婚するには、男女がお互いに「結婚したい!」 という意思(婚姻意思) があり、婚姻届を役所に提出することが必要です。

しかし、これだけで全ての場合に結婚が認められるわけではありません。

今回は、婚姻障害事由、つまり、法律上婚姻が許されない場合について解説します。


婚姻適齢って何?

婚姻適齢

ご存知の方も多いと思いますが、日本では婚姻適齢というものがあり、結婚することができるのは、男性は満18歳、女性は満16歳からです(民法731条) 。

なぜこのような規定があるかというと、精神的・肉体的・経済的に健全な結婚生活を送るための十分な力を備えるためだと言われています(明治時代の民法では、男性が17歳、女性が15歳とされていました) 。

男女間で2歳の差があるのは、一般に女性は男性に比べて生理的に早く成熟することと、平均初婚年齢が女性のほうが低いことが理由とされています。ただ、現在は、女性の高等教育も一般化して共働き夫婦が相当多いなどの事情から、男女間で2歳の差をつけるのは合理的でないとして、男女ともに18歳にすべきではないかという提案もなされています。


また、未成年者が結婚するためには、父母の同意を得なければなりません(民法737条1項) 。これは、未成年者が不適切な結婚をしないように未成年者を保護するため、父母の助言が必要と考えられているからです。

もっとも、父母の一方が同意しない場合、死亡した場合、意思を表示できない場合などには、他の一方の同意があればよいとされていますし(民法737条2項) 、父母が両方とも死亡している場合などについては、父母の同意は不要です。

必要なのは「父母」 の同意ですから、必ずしも親権者の同意が必要なわけではありません。例えば、父母が離婚して母親が親権者になっている場合に、母親が結婚に反対しても、父親の同意があればよいわけです。


なお、婚姻適齢に違反した不適齢婚は取り消すことができますが(民法744条) 、父母の同意がない場合は婚姻届が受理されないだけで、誤って婚姻届が受理されてしまったときでも、婚姻は有効に成立します。


再婚禁止期間って何?

再婚禁止期間

民法では、「女は、前婚の解消又は取消しの日から起算して100日を経過した後でなければ、再婚をすることができない。」 と定められています(民法733条1項) 。この100日間のことを再婚禁止期間といいます。

少し前までは、民法上6か月間(180日) が再婚禁止期間とされていましたが、再婚禁止期間の100日を超える部分は合理性がなく、「法の下の平等」 を定めた憲法に反するという判決が、2015年12月16日に最高裁判所で下されました。そのため民法が改正され、再婚禁止期間が100日に短縮されました。


そもそも、どうして再婚禁止期間が設けられたのでしょうか?これには、「父親が誰か」 を明確にするという理由があります。

民法上、子どもの父親を法的に推定するために、「結婚後200日を過ぎて生まれた子は現夫の子」 、「離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子」 と定められています(民法772条) 。そのため、離婚してすぐに再婚してしまうと、200日後に子が生まれた場合にこの推定が重なり、「どちらが父親が分からない」 という事態に陥ってしまうのです。そこで、離婚した当日に再婚したとしても、推定の重複が生じるのは前夫と離婚した日から数えて201日目から300日目までの100日間だけですから、この100日間が再婚禁止期間として合理的とされたのです。


再婚禁止期間を守らなくても結婚できる場合

もっとも、再婚禁止期間には例外があり、再婚禁止期間を守らなくても結婚できる場合があります。

まず、女性が前婚の解消又は取消しの時に懐胎(妊娠) していなかった場合と、女性が前婚の解消又は取消しの後に出産した場合です(民法733条2項) 。この場合には、子が生まれても「父親が誰か」 はっきりしているからです。

また、前夫と再婚をした場合は再婚禁止期間中でも結婚が許されますし、妊娠の可能性がない高齢者の再婚も例外として許されています。

さらに、夫が3年以上行方不明で裁判離婚が成立した場合も例外として認められていますし、子宮の全摘出手術を受けた人は、医師の証明書を裁判所が受理すれば、再婚禁止期間中でも結婚することができます。


なお、再婚禁止期間に違反して結婚した場合には、結婚を取り消すことができます(民法744条) 。


その他にも法律上結婚が許されない場合ってあるの?

結婚を認められないケース

婚姻適齢や再婚禁止期間の他にも、民法上、次のような場合は婚姻障害事由として結婚が許されていません。


① 重婚の禁止

一夫一婦制の日本では当たり前のことですが、配偶者のある男女は、重ねて結婚することが許されていません(民法732条) 。

日本の刑法では重婚は犯罪であり、2年以下の懲役刑に処されてしまいます(刑法184条) 。

なお、重婚禁止に違反して結婚した場合にも、結婚を取り消すことができます(民法744条) 。


② 近親婚の禁止

民法上、「直系血族又は三親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない。」 とされています(民法734条1項) 。

この近親婚に対するタブー意識は世界各国にみられ、近親者間の結婚は血縁関係を混乱させ、優生学的にも問題が起こりやすいことが理由とされています。


「直系血族」 とは、例えば「父母と子」 や「祖父母と孫」 といった「先祖とその子孫」 の関係で繋がっている親族のことをいいます。

また、「傍系血族」 とは、例えば「兄と妹」 や「叔父・叔母と甥・姪」 などのように、本人と祖先を同じにしますが、本人とは世代の上下に繋がらない関係で繋がっている親族のことをいいます。

つまり、親子間や祖父母と孫の間では、直系血族の関係にあるので結婚できませんし、兄と妹、姉と弟、おじと姪、おばと甥も、三親等内の傍系血族の関係にあるので結婚できません。

他方で、いとこ同士の関係にある場合には、四親等の血族関係となるので、結婚することができます。

なお、近親婚の禁止に違反して結婚した場合にも、結婚を取り消すことができます(民法744条) 。


結婚できない二人

③ 直系姻族間の婚姻の禁止

「姻族」 とは、結婚によって生じる親族のことをいいます。この「姻族」 のうち「直系姻族」 、例えば、父と息子の妻(妻から見れば義理の父) 、夫と妻の母(夫から見れば義理の母) 、夫と妻の連れ子などは、結婚することができません(民法735条) 。

これは、このような結婚は、社会的な親子としての生活関係とそぐわないと考えられているからです。

他方で、「姻族」 のうち「傍系姻族」 、例えば、妻が死亡した後に夫が妻の妹と結婚したり、夫が死亡した後に妻が夫の弟と結婚したりすることは、法律上何の問題もありません。

なお、直系姻族間の婚姻の禁止に違反して結婚した場合にも、結婚を取り消すことができます(民法744条) 。


④ 養親子間の婚姻の禁止

養子縁組の関係にある人の間でも、直系親族の関係にある場合には、結婚が許されていません(民法736条) 。例えば、養親と養子、養親と養子の妻などの間で結婚することはできず、たとえ離縁により養子縁組を解消したとしても、結婚することはできません。

もっとも、養子縁組前に生まれていた養子の子と養親とは、親族関係が生じていないので結婚することができますし、養子となった後に養親の実の子や養親の兄妹、養親の孫と結婚することは認められます。

なお、養親子間の婚姻の禁止に違反して結婚した場合にも、結婚を取り消すことができます(民法744条) 。


以上のように、民法上、結婚が許されない場合がいろいろと定められています。特に、再婚禁止期間が6か月から100日間に短縮されたことは、女性にとって大きな影響があると思われます。

読者の皆さんも、一度お身内の関係と照らし合わせながら、誰と誰だったら結婚できるのかできないのかと考えてみるのも、面白いかもしれませんね。



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  • 田中雅大(弁護士/第二東京弁護士会所属)

    1975年生まれ。埼玉県出身。証券会社に勤務した後、2010年に弁護士登録。中小企業の法務や不動産案件を中心に扱いつつ離婚や不倫などに関する数々の男女トラブルを解決。趣味はサーフィン、草野球。

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