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同性カップルの法律問題〜結婚や相続はできるの?法的に保護されるの?【弁護士に聞いてみた】

弁護士に聞いてみた

近年、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー頭文字を取った総称) と呼ばれるセクシュアルマイノリティーの存在や権利がクローズアップされていますよね。今回は、このようなセクシュアルマイノリティーである同性カップルの結婚や相続などの法律問題について解説します。


同性カップルで結婚できるの?

同性カップルの結婚

同性カップルが一緒に夫婦として生活したいということで、婚姻届を役所に提出すると受理されるのでしょうか?

憲法では、「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立」 すると定められています(憲法24条前段) 。そして、「婚姻」 は、夫婦として共同生活を行う意思と婚姻届の提出によって法律上成立し、「両性の合意」 には同性同士も含むと考えれば、夫婦として共同生活を行いたいという同性カップルが婚姻届を提出すれば、受理されてもよさそうです。

しかし、一般的には、「両性の合意」 とは異性同士の合意を指し、同性同士の結婚は、認められていないと考えられています。裁判所の審判の中にも、同性同士の同性婚は、男女間における婚姻的共同生活に入る意思(婚姻意思) を欠く無効なものであると判断したものがあります(佐賀家庭裁判所平成11年1月7日審判) 。

したがって、現在の日本の法制度では、同性カップルが婚姻届を役所に提出しても受理されず、同性カップルが結婚することはできません。


同性カップルだと法的に何も保護されないの?

同性カップルが法的に結婚できないとすると、夫婦同然の共同生活を送っていても単なる同居人というだけで、その立場が不安定になりますし、将来の生活や財産関係にも不安がつきまとってしまいます。

そこで、同性カップルを法的に保護するものとして、以下のような方法が用いられています。


①養子縁組

同性カップルの養子縁組

同性カップルが結婚に近い法的効果を得るために、養子縁組が用いられることがあります。この場合、同性カップルのうち年上の方が養親、年下の方が養子となって養子縁組の届出を行います。

養子縁組することで、互いに「親子」 という関係になりますので、互いが法定相続人となり、親子を前提とした多くな法的サービスや行政サービスを受けることが可能になります。

しかし、実際は、「親子」 というよりも「対等なパートナー」 という関係が多いでしょうから、戸籍上「親子」 と記載されることに対する違和感を感じたり、離縁しても財産分与を受けられなかったりするなど、心理的なハードルやデメリットもあります。

また、実際の親族から、縁組無効の裁判を起こされてしまう可能性も否定できません。例えば、裁判例の中には、気の合う仲であったり、一方が他方に経済的に多大な援助をしていたりするという関係にあっても、「ある程度親しい関係があったものとうかがわれるが、それが親子関係を結ぶに相当するほどのものであったか否かは明らかでない」 として養子縁組を無効と判断したものもあります(東京地裁平成16年11月11日判決)。


②パートナーシップ契約

パートナーシップ契約

法的には結婚が認められないとしても、同性カップルが「契約」 によりパートナーシップを結ぶという方法が、最近では取沙汰されています。

パートナーシップ契約とは、異性間であれば婚姻により発生する法的効果を、同性カップルの間の「契約」 によって生じさせることで、同性カップルを法的に保護するものといえます。

例えば、同性カップルの間で、互いを扶助する義務や同居義務、貞操義務、財産の帰属、関係を解消した場合の取り決め、パートナーが危急の際の医療上の同意権限、パートナーが亡くなったときの備えなどについて細かく規定することにより、婚姻と似た法的環境を作ることも可能になります。


もっとも、同性カップルの間だけの私文書として残しておくだけだと、例えば、パートナーが病気やケガで自分の意思を表示できない場合に、病院側から診断結果や診療方針の説明を受けることを拒否されたり、パートナーの親族から理解を得られず、病室へのお見舞いすら拒否されてしまうケースも考えられます。


そこで、このパートナーシップ契約書は、その内容を公示することで本人の意思を第三者にもしっかり伝えるために、同性カップルの間だけの文書ではなく、公正証書という形で作っておいたほうが良いでしょう。


③任意後見契約

任意後見契約

パートナーシップ契約は、同性カップルの間の共同生活に関する取り決めが中心となりますが、熟年の同性カップルの場合は、これに加えて任意後見契約書を作成するのも良いと思います。

任意後見契約とは、例えば、将来自分が認知症になって判断能力がなくなってしまう場合に備えて、自分が元気なうちに、自分が後見人になって欲しいと思う人を取り決めておき、その人に「生活、療養看護、財産の管理に関する事務」 を任せる契約です。

もっとも、この任意後見契約書は、公正証書で作成する必要があります。


同性カップル同士で相続できるの?

法的に婚姻できれば、配偶者同士は互いに法定相続人となりますから、一方が亡くなれば当然に他方の配偶者が遺産の全部又は一部を相続することになります。しかし、すでに解説しましたとおり、同性カップルは法的に結婚できません。パートナーシップ契約や任意後見契約を結んでも、それだけでは互いに法定相続人とはなりませんので、互いに相続できるようにするためには、養子縁組をする必要があります。


養子縁組しない場合に遺産を遺せないの?

遺産

養子縁組しない場合でも、パートナーのために遺言を作成して遺産を遺すという方法があります。

遺言には、自分で全部書く自筆証書遺言と、公正証書という形にする公正証書遺言などの方式がありますが、遺言が無効になるリスクを減らし、確実に遺言の内容を実現するためには、公正証書遺言の方式をとったほうが安全です。


もっとも、相続税の関係では、法律上の夫婦とは異なり配偶者控除を受けられませんので、遺言により財産を受け取ったパートナーに相続税が発生しやすいことや、亡くなったパートナーに親や子どもなどの法定相続人がいる場合には、遺産の中にこれらの法定相続人に渡すべき遺留分(相続人に対して保留された相続財産の割合) が生じることなどの注意が必要です。


アメリカでは、連邦最高裁が「同性婚を認めないことが平等原則に反する」 とした判決を下したり、日本でも、東京都渋谷区や東京都世田谷区などが「パートナーシップ条例」 を制定したりするなど、近年では、セクシュアルマイノリティーの権利を保護するための法整備が進められています。


しかし、セクシュアルマイノリティーに対する偏見はまだまだ根強いと言われていますし、進められているとはいえ法整備もまだまだこれからです。


性的な男女の垣根を越えたセクシュアルマイノリティーの問題を社会全体で共有して、誰しもが暮らしやすい生活を実現したいものですね。



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  • 田中雅大(弁護士/第二東京弁護士会所属)

    1975年生まれ。埼玉県出身。証券会社に勤務した後、2010年に弁護士登録。中小企業の法務や不動産案件を中心に扱いつつ離婚や不倫などに関する数々の男女トラブルを解決。趣味はサーフィン、草野球。

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