同性パートナー

「同性パートナーシップ」と「結婚」の違いとは?

  • 更新日:2019/05/24

2015年、アメリカでは全州で同性婚が認められることとなりました。日本では、同性婚に関する議論は進んでいませんが、近年、数多くの自治体が同性間のパートナーシップを認める動きを見せています。

同性間のパートナーシップ制度が広まる先駆けとなったのは、日本ではじめて同性パートナーシップ証明書を発行した渋谷区と、それに続いた世田谷区です。


ところで、「同性パートナーシップ証明を発行する自治体が増えているということは知っているけれど、パートナーシップがどういう制度かはよく知らない」という方は多いのではないでしょうか? 私もそのひとりで、実際に同性パートナーシップを結んだカップルの方から、「パートナーシップを結んだだけでは、相続や財産分与の対象になるわけではない」と知り、驚いた次第です。


今回は、意外と知られていない、「同性パートナーシップ」と内容について、ドラッグクイーンでライターのエスムラルダさんと司法書士のKIRAさんの共著『同性パートナーシップ証明、はじまりました』(ポット出版)を参考にご紹介していきます。


同性パートナーシップではどんな権利が保障される?

同性パートナーシップ

日本では同性婚が認められていないため、同性カップルが法的な権利を得るための方法としては、養子縁組が取り得る唯一の選択肢でした。同性パートナーシップができた現在でも、同性カップルが同性パートナーシップではなく養子縁組を選択するケースもあります。なぜなら、同性パートナーシップを結ぶだけでは、遺産の相続の権利などをパートナーに与えることはできないからです。


では、同性パートナーシップを結ぶことに、どういったメリットがあるのでしょうか? ここでは、結婚・養子縁組・同性パートナーシップの比較で、権利関係をまとめてご紹介します。


結婚・養子縁組・同性パートナーシップによる権利・義務とは?(P.117-126参照)

★結婚による権利・義務

結婚をすると、一般的には、以下の権利義務がすべて認められます。


・入院手続き

・手術の同意

・財産分与

・実態上の扶養

・手続き上の扶養

・配偶者控除

・家族割

・保険の受取人

・不動産の入居(賃貸)

・不動産の入居(住宅ローン)

・ビザ(配偶者)

・特別養子縁組

・相続

・お墓


★養子縁組による権利・義務

結婚では認められるのに、養子縁組では完全に権利がないものは、「配偶者控除・配偶者ビザ・特別養子縁組」の3つです。そのほかの権利はすべて認められます。財産分与については認められていませんが、契約書を交わすなど当事者間で合意しておけば問題ありません。

このように、養子縁組は、かなり婚姻と近い権利・義務を得ることができるのです。


★同性パートナーシップによる権利・義務

実は、上にあげた結婚によって得られる権利・義務はすべて、同性パートナーシップを結ぶだけでは、自動的には認められません。

「財産分与・実態上の扶養・相続」などに関しては、契約書などを結ぶことで権利を得ることは可能ですが、「入院手続き・手術の同意・家族割・保険の受取人・不動産の入居(賃貸)・不動産の購入(住宅ローン)・お墓」などに関する権利が認められるか否かは、事業主体者の判断にかかってきます。


また、「手続き上の扶養・配偶者控除・配偶者ビザ・特別養子縁組」に関しては、権利は認められていません。


同性パートナーシップの意義とは?

同性パートナーシップ制度

上記で確認いただいた通り、同性パートナーシップ制度は、結婚や養子縁組と比べると、認められる権利がとても少ない制度です。ですが、同性パートナーシップ制度が導入されたことには、大きな意義があると感じています。


同性パートナーシップの意義1:「同性愛は悪・おかしい」とする社会のスティグマを軽減する

アメリカでは、同性婚を認めた州で高校生の自殺率が低下したことが報告されています。(※1)

調査を行なったジェンズ・ホプキンス大学のジュリア・レイフマン教授は、「同性婚の承認は、性的指向に関する社会的なスティグマを低減させる」「たとえその権利をすぐに行使する予定がなかったとしても、生徒たちの後ろめたさは減り、将来への希望へとつながる」と述べています。


同性パートナーシップ制度が導入される以前は、自治体が同性愛を肯定するような制度はどこにもありませんでした。そういった意味で、たとえ現段階で法的な権利があまり付与されていない制度だといえども、意義のある一歩だと言えるでしょう。


同性パートナーシップの意義2:企業や社会を変えていく後押しになる

同性パートナーシップの導入は、パートナーシップを結んでいるカップルに家族割を適用する、など企業が同性カップルを「いないもの」としてきた実態を変えるきっかけになりました。

ある同性パートナーシップ証明を結んだ方は、「パートナーが入院したときに、関係性をすぐに理解してくれるようになった」とも述べています。

同性パートナーシップ制度が、きちんとした形になったことで、企業や社会の意識を変えていく後押しになっているという意味でも、社会的な意義のある制度だと言えるでしょう。


さいごに

今回は、同性パートナーシップ制度と結婚・養子縁組の違いや、制度の意義についてご紹介しました。


どのようにパートナーシップ制度は設立されたか、実際の手続きはどうすればいいのか、などを知りたい方は、『同性パートナーシップ証明、はじまりました』をチェックしてみてはいかがでしょうか。


※1 AFP


▼参考



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  • 今来 今 (フリーライター)

    神戸出身。編集者を経て現在フリーライター。複数メディアにて、映画評・書評・ルポなどを連載中。

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