セクハラ被害を訴えたい

セクハラ被害を訴えたい! 弁護士ができること・依頼する時のポイントは?

  • 更新日:2019/04/09

前回は、セクハラ被害に遭ってしまった時の具体的な対処方法についてお話しました。

では、実際にセクハラ被害を受けていて、いろいろな窓口に相談しても解決できない場合や、受けた損害が大きい場合には、どうしたらよいのでしょうか?

そのような場合、弁護士に依頼することになると思いますが、今回は、弁護士に依頼してできること、その際のポイントなどについてお話します。


弁護士に依頼したら何をやってくれるの?

セクハラ被害に遭ってしまった時に弁護士に依頼すると、弁護士はどのようなことをやってくれるのでしょうか?

以下では、セクハラ被害に対応して実際に弁護士ができるアクションとポイントについて解説します。


①代理人として請求・交渉してくれる

弁護士

一言で「セクハラ」 と言っても、裁判で損害賠償請求が認められるようなセクハラに当たるかどうか判断が難しい場合もありますし、セクハラを立証するだけの証拠が十分ではないというケースもあります。

そのような場合、時間と費用をかけて裁判などの法的手続を行うよりも、交渉によって解決を目指したほうが時間的にも経済的にも良いでしょう。


弁護士は依頼者の代理人として、セクハラ加害者や会社に対し、通知書等の書面を作成・提出して、法的な主張に基づき、セクハラを止めることを求めたり、治療費や慰謝料等の支払を求めたりする交渉を行うことができます。

また、法律の専門家である弁護士から、セクハラ加害者や会社宛てに通知が届けば、社内の立場や社会的な影響を気にするのが通常ですので、加害者も会社も、真面目に対応してくれることが期待できます。


弁護士に通知書等の書面を出してもらう場合には、受け取った相手から「届いていない」 、「内容なんて知らない」 と言わせないために、内容証明郵便で出してもらいましょう。セクハラ加害者本人の自宅に送る場合には、家族に事件が知られることで、かえって紛糾して早期の解決が妨げられる場合がありますので、封筒に法律事務所名や弁護士という肩書を書かなかったり、第三者が封を開けてしまわないように「親展」 と書いたりするなどの工夫をすることもあります。

また、会社がセクハラ対応に協力的であれば、セクハラ加害者を会社と板挟みにしてセクハラを止めさせることも可能ですが、そうでない場合には、セクハラ加害者本人だけではなく会社とも交渉して、事件を一挙に解決することが望ましいと思います。


②代理人として法的手続を進めてくれる

法的手続

違法なセクハラは、労働者の性的自由、性的自己決定権、生命・身体の安全、名誉・人格権、プライバシー、良好な職場環境で働く権利など、様々な保護されるべき権利の侵害となります。そこで、セクハラ加害者に対しては、セクハラがこれらの権利を侵害した不法行為責任(民法709条) に基づいて損害賠償請求訴訟等を提起することができます,また、会社に対しては、使用者責任(民法715条) や安全配慮義務違反による債務不履行責任(民法415条) に基づいて損害賠償請求訴訟等を提起したり、セクハラに起因して職場で不利益な取り扱いを受けている場合には、労働審判を申し立てたりすることができます。このような法的手続を弁護士に依頼すれば、代理人として申立書や訴状を作成・提出してくれて、依頼者の心強い味方になってくれます。


法的手続を行う場合には、誰を相手に訴えるのか(セクハラ加害者のほか会社も訴えるのか) 、法的手続によって何を求めるのか(復職等を求めるのか、慰謝料等の損害賠償を求めるのか) などについて、依頼する弁護士とよく話し合いましょう。


また、法的手続を行う場合には、客観的な証拠が揃っていることが非常に重要です。特に、セクハラ被害の場合、加害者は「同意があった」 とか「恋愛関係にあった」 などと反論してくることが想定されます。そこで、セクハラ被害者がセクハラの事実を立証するには、セクハラ加害者の言い訳を認めさせないために、日記や手帳などに記したメモ、セクハラ加害者からのメールやSNS、自分のセクハラ加害者宛のメールやSNS、友人などに相談した際のメールやSNS、セクハラ加害者とのやり取りの録音データなどの証拠が重要になってくるのです。その他にも,セクハラ被害により精神障害を発症した場合には、治療費,通院交通費、慰謝料、休業損害等を請求することが多いですので、それを裏付けるために、病院の領収証、交通費の明細書、診断書といった客観的な証拠も必要です。この証拠集めの段階から、弁護士のアドバイスをもらうことをお勧めします。

なお、セクハラを受けたことが原因で精神障害を発症した場合、労働災害(労災)と認定されれば、労災保険による補償を求めることもできます。このようなケースでも、弁護士に相談すれば、有効な手助けをしてくれるでしょう。


③悪質な場合の刑事告訴を手助けしてくれる

刑事告訴

悪質なセクハラは、強制性交等罪(刑法177条) や強制わいせつ罪(刑法176条) 、強要罪(刑法223条) などに当たる可能性があります。また、性的は発言やうわさを広めたなどの行為は、名誉棄損罪(刑法230条) 、侮辱罪(刑法231条) に当たる可能性がありますし、のぞき見については、軽犯罪法1条23号に、つきまとい等の行為については、ストーカー規制法に違反する可能性があります。

このような悪質なセクハラは、重大な刑事事件となる場合もありますので、セクハラ被害者としては、警察署に被害届を提出したり、告訴状を提出することにより、セクハラ加害者の刑事責任を追及することが考えられます。


もっとも、セクハラ行為は密室で行われることが多いため、刑事責任を立証するのが難しい面はありますし、様々な事件を取り扱っている警察署が簡単に被害届を受け取ったり告訴を受理したりしてくれるとは限りません。セクハラ加害者の刑事責任を追及する場合にも、どのように警察署に相談に行って被害届を提出するのか、どのような証拠を揃えて告訴すべきかなどについて、依頼する弁護士とよく話し合って方針を決める必要があります。

警察署が事件として処理してくれるということになったら、セクハラ加害者は、警察から事情聴取を受けることになりますから、起訴されて刑事裁判になるのを避けるために、示談の申出がなされることもあります。他方で、セクハラ被害者は、警察による取調べの過程で、事件について細かいことまで何度も事情聴取されることになり、辛い思いが蒸し返されてしまうこともありますので、刑事責任まで追及する場合には、それなりの覚悟も必要かと思われます。


まとめ

セクハラ被害

このように、弁護士に依頼すれば、セクハラ被害者にために法的に強力なアクションを取ってくれますし、セクハラ被害者にとって心強い味方になってくれます。

ただ、弁護士に依頼すると、どうしてもそれなりのお金がかかります。セクハラ加害者や会社に対してどのようなアクションを取るのかにもよりますが、数十万円単位の弁護士費用がかかることも少なくありません。また、セクハラ被害の慰謝料は、セクハラにより退職に至ったケースやPTSD(心的外傷後ストレス障害)を患ったケース等では、数百万単位と高額化する傾向にありますが、事案によって大きな幅があり、10万円から50万円程度にとどまってしまうケースも数多くあります。

そのため、弁護士に依頼する場合には、セクハラ被害を何とかしたいという気持ちだけではなく、事件の見通しやどの程度の損害額になるかなどについて、弁護士からよく説明を聞いた上で、費用のこともよく考えてから決めることが重要でしょう。


今はインターネット等を通じて、セクハラ問題などの労働問題に強い弁護士を探すこともできますから、経験豊富で親身になって話を聞いてくれる弁護士を見つけて、気軽に相談することから始めてみましょう。

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  • 田中雅大 (弁護士/第二東京弁護士会所属)

    1975年生まれ。埼玉県出身。証券会社に勤務した後、2010年に弁護士登録。中小企業の法務や不動産案件を中心に扱いつつ離婚や不倫などに関する数々の男女トラブルを解決。趣味はサーフィン、草野球。

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