絵本

男女平等の先進国スウェーデンの絵本は、大人が読んでも刺激的!

  • 更新日:2019/04/03

北欧には、労働環境の整備や男女平等が進んだ、暮らしやすい国が集中しています。


フィンランドは、国連による「世界幸福度ランキング2018年」で、幸福度第一位を記録した国です。デンマークは労働時間が法律で週37時間までと決められており、労働生産性が高くプライベートを充実させやすい環境が整っています。そして、スウェーデンは、2014年に世界で初めて「フェミニスト政府」を自称し、現在国会議員の40%以上、閣僚の約半数を女性が占めている、政治分野でも男女平等を達成した国です。


一方日本では、2018年度のジェンダー・ギャップ指数(世界各国の男女間の格差を示す指標)は110位とG7で最下位であり、(改善の兆しが見られるとはいえ)長時間労働ややりがい搾取、男女間の賃金格差といったブラックな労働環境が依然として改善されていないという状況があります。


北欧は昔から男女平等意識の強かった国というイメージがあるかもしれませんが、現在はフェミニスト政府を自称しているスウェーデンであっても、女性が選挙権を得るまでに実に35年もの戦いがありました。


かつては、女性の権利を得るために、多大な努力と年月を必要とした北欧が、近年なぜ飛躍的に男女平等を進めることができたのでしょうか? 労働力の不足などから女性の社会進出を後押しせざるを得なかった、など様々な理由が考えられますが、理由のひとつに、男女平等意識を高める教育が進んだから、ということが挙げられるでしょう。

北欧

北欧では、男女平等意識を醸成(じょうせい)するための子供が親しめる教材・絵本などが充実しています。スウェーデンで発売された絵本『北欧に学ぶ小さなフェミニストの本』(原題Kucuk Feministin Kitabi)も、その中のひとつであり、完全に子供向けの本でありながら、大人が読んでもハッとさせられるところの少なくない本です。


『北欧に学ぶ小さなフェミニストの本』ってどんな本?

主人公は、10歳の女の子・エッバ。ある朝、ご飯を食べながら新聞の4コマ漫画を読もうとしていたところ、一枚の写真に目が止まります。『世界の権力者』という注釈がつけられたその写真は、G8のジェノバ・サミットの写真。日本の小泉首相、イギリスのトニー・ブレア首相・アメリカのジョージ・W・ブッシュ首相などが、スーツ姿で並んでいるという、新聞でよく見る写真だったのですが、エッバはこの写真に疑問を感じます。


「似たようなスーツ姿のおじさんが8人! 一体、どうして? どうして女の人がひとりもいないのよ? 女の人はえらくなれないの?」。エッバがショックを受けたのも無理はありません。なぜなら、エッバの夢は、「EU(欧州連合)の議長になること」だったのです。(10歳の女の子の夢がEUの議長というところに、スウェーデンの進み具合を感じますね…。)


エッバは、世界の大切なことを決める人がすべて年配の男性であることの不平等に憤りを覚え、いとこのヨリンダに相談します。「ずっとこのままなんておかしい! 私は何をすればいい? 何からはじめよう?」と言うエッバに、ヨリンダは、「あなたはとっくに足をふみ出しているじゃない! 新聞の写真を見て、怒ったでしょ? 不平等に気づくのは、立派な第一歩よ。次のステップは、どうやって変えたらいいか、考えること」と、不平等を見て見ぬふりをしないことの重要さを説きます。


エッバは、どうやって変えたらいいか、を考えるために、男子2名を含む友達5人と、正義を求めるためのクラブ『フェミ・クラブ』を結成します。5人は、不平等について語り合うために集まり、クラブのルールを決めます。


絶対に破ってはいけないルールを決めました。まわりの期待に応えることばかり、考えちゃいけない。他人からどう思われるのかばかり、気にしない。ありのままでいよう。弱かろうと、強かろうと、図太かろうと、おく病であろうと、うるさかろうと、怒りっぽくあろうと、別に構わない。自分の気持ちに正直になろうよ。そして、したい格好をしよう。それにほかの人にも、自由にさせてあげるんだ。(P.21)


5人は、「男性は常にたくましくいなければならない。リードしなくちゃならない」「女性は広告に出てくるような非現実的な体型のモデルを理想だと思わされている」といった抑圧に気がつき、性別による不平等な役割から自由になろうと決意します。そして、『フェミ・クラブ』のモットーを「わたしは、わたし。そのままの自分でいさせて! ぼくはぼく。そのままのぼくでいさせて!」に決めるのでした。


さいごに。不平等は、教育・知識を武器に変えていける

教育

本書は、権力の構造やフェミニズムの歴史などが平易な言葉で綴られた、大人でも楽しんで学べる本です。「自分に何ができるのか」「自分の子供にどういった教育を受けさせるべきか」について考えるきっかけを与えてくれます。


一度でも男女の不平等を感じたことがある方、自分の子供には「女性だから」「男性だから」という理由で不利益を被ってほしくないと考える方は、一読してみてはいかがでしょうか。



今回ご紹介した本

『北欧に学ぶ小さなフェミニストの本』

著者:サッサ・ブーレグレーン

翻訳:枇谷 玲子

出版社:岩崎書店




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  • 今来 今 (フリーライター)

    神戸出身。編集者を経て現在フリーライター。複数メディアにて、映画評・書評・ルポなどを連載中。

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