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「子供のいない夫婦はかわいそう」と「LGBTに偏見がある」は似ている

LGBT

本連載では、ここ数回、LGBTを含むセクシュアル・マイノリティ関連の話題を取り上げてきました。


「女子カレLOVABLE」は生理日予測のアプリと連動しているということもあり、妊活中の方や、体調管理を心がけている方がメインの読者層です。そのため、セクシュアル・マイノリティ関連の話題はあまり興味を持たれないかも、と懸念していたのですが、先日、友人(結婚3年目・証券会社勤務・30歳・妊活中)から、「結婚したら子供を持つのが当たり前っていう圧力って、恋愛やセックスは男女ですべきという圧力と根本的には同じ発想なのでは?」と言われてハッとしました。


「正しいセクシュアリティ」「正しい恋愛・夫婦関係」はどのように決められた?

夫婦

昔ながらの恋愛・夫婦関係は、男女が愛情を持って結びつき、結婚し、同居して子供を産み育てるというものです。

こういった異性間の恋愛・家族形成のみが、理想的だと定義してしまえば、それ以外の関係は、正しくないもの、とみなされてしまいます。


なぜ一対一の異性愛のみがメインストリームで、そのほかの性愛の形は差別されることになってしまったのでしょうか。


フランスの哲学者であるミシェル・フーコーは、著作『性の歴史』のなかで、「19世紀後半に、労働の供給と次世代の労働力の再生産をスムーズに進めるために、婚姻関係を結んで生殖に励むこと、男女の性別役割分業に従って家族をつくることが望ましいとされた。一方で、それ以外の性である、同性愛、婚姻前や婚姻外の生殖、生殖を目的としない性欲、は不適切・不道徳だとされた」と述べています。


つまり、現在の異性間のみを肯定する恋愛・家族の形は、経済的合理性を目的として作り上げられた価値観にすぎないというのです。


恋愛・性・生殖・家族について「こうあるべき」と考える弊害

家族

フーコーが『性の歴史』(1961年)を出版してから、約60年が経ちました(本稿執筆時2019年)が、「男女が結婚してふたりで子供を育てるのが正しいあり方だ」という価値観を持ち続けている人は、まだまだ少なくないように感じられます。


「異性愛でかつ、結婚して子供を育てるのが正しいあり方だ」という価値観に沿って、恋愛や結婚・出産を経て、幸せに暮らしていけるなら、問題はないかもしれません。

ですが、「身体と性自認が一致するセクシュアリティ」「こうあるべき、と世間的に考えられている家族の形」を実現できない人も多数います。それは、LGBTだけではありません。


「恋愛やセックスに対する興味が薄いことが、嘆かわしいことかのように非難される」「結婚したとたん子供のことを聞かれて、子供がいない夫婦は不幸だと思われる」「生殖を目的としたセックスは神聖で、それ以外は不道徳だとみなされる」といったことも、「セクシュアリティの多様性を認めない・家族像はコレでそれ以外はダメ」という価値観の延長線上に行われる発言でしょう。


恋愛・性・生殖・家族について「こうあるべき」を追求することは、自分が性的マイノリティと呼ばれる人ではなかったとしても、自分自身や周囲の大切な人を苦しめる一因になり得るのです。


さいごに。自分の理想の「恋愛・結婚・家族」は何の影響を受けている?

恋愛

私たちは、しばしば、恋愛やセックス、家族をつくることは、純粋に人としての本能的な欲求だと考えてしまいがちです。


ですが、実際にどのように恋愛するのか、どうやってデートするのか、セックス をするタミング、なにを基準に結婚相手を選ぶのか、家庭内での役割はどのように分けられるのか、などについては、政治的意図や商品やサービスを購入してもらおうと画策する企業の広告戦略などによって大きな影響を受けていますし、時代や文化によって変化していくものです。


「普通の人は恋愛やセックス に興味があるものだ」「ある程度の年齢になったら、恋愛して異性と結婚するのが普通」「子供がふたりいるのが幸せな夫婦の形」というのは、「人としての本能」で「当たり前のこと」でしょうか?


自分が当たり前とか、理想だと考えている性や家族のあり方、または「変」「理解できない」と考えている性や家族のあり方について、「なぜそう思うようになったのか」を考えてみると、外部からの意外な影響に気づかされることがあります。その気づきは、あなた自身がもっと自由に生きるきっかけとなるかもしれません。



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  • 今来 今 (フリーライター)

    神戸出身。編集者を経て現在フリーライター。複数メディアにて、映画評・書評・ルポなどを連載中。

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