フェミニスト

アメリカで「フェミニスト」がクールになりつつある時代。日本は?

  • 更新日:2019/06/06

突然ですが、あなたはフェミニストですか?


「フェミニストではない」

「フェミニストってそもそも何なのかよく分かっていない」

という方も多いと思います。


「フェミニストってなんだかイメージがよくないし、自分がそうだとは名乗りたくない」という人もいるかもしれません。たしかに日本では、まだまだフェミニストに対するイメージはいいとは言えません。


フェミニストとは、「男女に平等の権利があると信じ、「男だから」「女だから」という理由で行われる差別を無くしたいと考える人」を指しますが、「フェミニスト=男嫌い」と勘違いされることも珍しくありませんし、フェミニストに対して「理屈っぽい」「ダサイ」「攻撃的」「モテなさそう」というイメージを抱いている人も少なくないように感じます。


一方、アメリカでは、フェミニストであることはクールなこと、というイメージに徐々に変わりつつあるようです。


フェミニストを自称する、クールな女性たちの登場

ハリウッドセレブ

アメリカでフェミニストに対するイメージが変わりつつある大きな要因のひとつに、若者の憧れの存在であるセレブたちが次々とフェミニストを自称し始めた、ということが挙げられます。


フェミニスト・セレブ1:エマ・ワトソン

フェミニストのセレブとして、もっとも有名な女性は、ハリーポッターで一躍有名になった女優のエマ・ワトソンでしょう。


エマ・ワトソンは、UN Womanの親善大使に任命され、2014年に国連でジェンダーの平等を呼びかける「He For She」キャンペーンのためのスピーチを行いました。(※1)


「女性の権利のために声をあげることが、男性敵視とみなされる風潮は終わりにすべき」「男女共に、自由に繊細な感性を持ち、男女共に、自由に強くあっていい。今や性別は、2つの対立する理想ではなく、1つの連続体として見るべきです。お互いこうあるべきだと決めつけることをやめ、ありのままの姿を見つめられれば、みんなもっと自由になれるのです。これがHeForSheの意義です。HeForSheは、自由についての運動なのです。」と語ったスピーチは、名スピーチとして高い評価を得ています。


フェミニスト・セレブ2:ビヨンセ

ビヨンセは、その発言や歌詞の内容からフェミニスト・セレブとして認識されているひとりです。


ビヨンセがフェミニストとしての存在感を強めたのは、2016年のMTVでのパフォーマンスでした。(※2)このとき彼女は、自身の歌「Flawless」を歌う際、大きく「FEMINIST」と書かれた看板の前でパフォーマンスを行いました。


というのも、「Flawless」は、フェミニストであるチママンダ・ンゴズィ・アディーチェのTED talk(各界の第一人者が自身の考えをプレゼンするイベント・フォーラム)のプレゼンにインスピレーションを受けて作られたものだからです。


ビヨンセは、「みんながフェミニストっていう言葉について理解しているかは分からない。でも実はフェミニストってとてもシンプルなものだと思う。フェミニストっていうのは、男女に平等な権利がある、と信じている人のこと」(意訳)(I’m not really sure people know or understand what a feminist is, but it’s very simple. It’s someone who believes in equal rights for men and women.)と、フェミニストの定義を明快に語っています。

スピーチ

フェミニスト・セレブ3:ジェシカ・チャスティン

数々の映画で主演を務めるハリウッド女優のジェシカ・チャスティンは、インスタグラムなどのSNSを通じて、度々フェミニズムに関する投稿を行なっています。(※4)


インスタグラムのフォロワー200万人という影響力を持つ彼女は、「女性の権利を守ることは人権を守ること」などの発言を積極的に行っています。


フェミニスト・セレブ4:ジェニファー・ローレンス

日本では男女の賃金格差が大きいことが知られていますが、性別によって賃金に格差が生じているのはアメリカも同じです。


男性の俳優との賃金格差を指摘し、自身の賃金向上のために声を挙げたのは、ジェニファー・ローレンスが若干25歳のときでした。(※5)ジェニファーの告発により、これまであまり語られることのなかったハリウッドに蔓延するセクシズム(性別差別)が白日の下に晒されるきっかけとなりました。


日本で「フェミニストであることが当たり前」の時代はくる?

しいたけの中華麺

アメリカでは、美しく才能のある女性たちがフェミニストを自称しています。そのことが後押しになり、「フェミニストであることはクールなこと」だと認識されつつあるようです。


また、フェミニストであることを公言しているのは、女性だけではありません。オバマ元大統領や、カナダのトルドー首相も自身がフェミニストであることを公言しています。


ビヨンセの言うように、「フェミニストとは、男女に平等な権利があると信じている人のこと」だとするならば、自分がフェミニストだと名乗ることは、差別主義者ではないと表明することと同義なはずです。


フェミニストであること(男女に平等の権利があると信じること)が特別なことではなく、当たり前のことだと皆が考える国に、日本がなることはあるのでしょうか?


日本の有名タレントや政治家にフェミニストを公言する人がほとんどいないことからも、その日は遠いように感じてしまいますし、日本に根付くセクシズムは根深く、個人のできることはとても限られているようにも思います。


無力感を感じ、不平等を当然のものとして受け入れそうになってしまったら、エマ・ワトソンのスピーチを思い出してみましょう。


「男女の平等を信じるなら、あなたも無自覚なフェミニストのひとりかもしれません。そして、そんなあなたに拍手を送ります。(略)あなたも前に進み出て、自分に問いかけてください。私でなければ誰が?今でなければいつ?」


個々人が、男女間の平等を求め続けることでしか、男女間のさまざまな不平等や、性別に基づく生き辛さを解消することはできません。


少しずつでも現状を改善していくために、私自身はフェミニストを公言するひとりでありたいと思います。



※1 UN WOMEN エマ・ワトソン スピーチ動画


※2 INDEPENDENT Beyonce explains why she performed in front of the word ‘feminist’


※3 YouTube チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ TEDtalk


チママンダのプレゼン「We Should All Be Feminist」(私たちはみんなフェミニストであるべき)は、日本では全訳が書籍として発売されています。

・男も女もみんなフェミニストでなきゃ


※4ジェシカ・チャスティンのインスタグラム


※5 BBC Jennifer Lawrence pens essay on Hollywood sexism



▼バックナンバーはこちら

・「彼って草食系男子かも」と思ったことがある人、集合!

・最新版!ディズニープリンセスが示す「女の幸せ」とは?

・「レディースデーって男性差別じゃない?」って聞かれたらどう答える?

・なんで「女男」じゃなく「男女」が普通なの?と問うてくれた先生の話

・「逃げ恥」みくりが無償の家事を「好きの搾取」と言ったわけ

▼著者:今来さんの他連載はこちら

・妊活・お金・介護・美容…40歳までに知っておきたいことリスト
・【連載】なんで子供が欲しいの?
  • 今来 今 (フリーライター)

    神戸出身。編集者を経て現在フリーライター。複数メディアにて、映画評・書評・ルポなどを連載中。

この記事がいいと思ったら
いいね!しよう

Related関連記事

Pick Up編集部ピックアップ

Rankingランキング

#tag