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パワハラ被害を訴えたい!弁護士ができること・依頼する時のポイントは?

  • 更新日:2019/03/26
弁護士に聞いてみた

前回は、「パワハラを受けているかも…」と感じたときに相談すべき窓口についてお話しました。

では、実際にパワハラ被害を受けていて、社内の窓口に相談しても社外の窓口に相談しても解決できない場合や、受けた損害が大きい場合には、どうしたらよいでしょうか?


そのような場合には、弁護士に依頼することになるかと思いますが、今回は、弁護士に依頼してできることと、その際のポイントなどについてお話します。


弁護士に依頼したら何をやってくれるの?

まず、弁護士に依頼した場合、弁護士はどのようなことをやってくれるのでしょうか?

以下では、実際に弁護士ができるアクションとポイントについてご説明します。


①代理人として請求・交渉をしてくれる

弁護士交渉

パワハラは、事案によってはパワハラに当たるのかどうか判断が難しいケースもあり、パワハラを立証するだけの客観的な証拠が乏しいこともあります。

そのような場合、時間と費用をかけて裁判などの法的手続を行うよりも、交渉によって解決したほうが時間的にも経済的にも望ましいでしょう。


弁護士は依頼者の代理人として、パワハラ加害者や会社に対し、通知書等の書面を作成・提出して、法的な主張に基づき、パワハラを止めること、就業環境を改善・整備すること、慰謝料等の損害賠償を求めること等の請求や交渉を行うことができます。

また、被害者本人が上司や社内窓口等に相談しても取り合ってくれないような場合でも、法律の専門家である弁護士が代理人として交渉することによって、加害者や会社も真剣に取り組んでくれることが期待できます。

というのは、加害者や会社も、社内の立場や社会的な影響を気にして、解決金を支払うなどして事件を早期に解決しようと考えることがあるからです。


弁護士に通知書等の書面を出してもらう場合には、受け取った相手から「届いていない」「内容なんて知らない」と言わせないために、内容証明郵便で出してもらうようにしましょう。

加害者本人の自宅に送る場合には、家族に事件が知られることで、かえって紛糾して早期の解決が妨げられる場合がありますので、封筒に法律事務所名や弁護士という肩書を書かなかったり、第三者が封を開けてしまわないように「親展」と書いたりするなどの工夫も必要です。


また、加害者本人だけではなく会社とも交渉して、事件を一挙に解決することが望ましいですが、会社と対立するよりも協力を求めた方が良い場合もあります。

事案によりけりですが、会社がパワハラについて理解がないとか協力してくれないという場合に、会社に対する責任追及を検討するというスタンスでも良いでしょう。


②代理人として法的手続を強力にバックアップしてくれる

弁護士

弁護士が交渉したとしても、加害者や会社がパワハラ被害の存在を認めなかったり、解決金の額が折り合わなかったりして、解決に至らない場合ももちろんあります。

そのような場合には、法的手続として労働審判の申立てや損害賠償請求訴訟の提起などが考えられますが、弁護士に依頼すれば、代理人として申立書や訴状を作成・提出してくれて、依頼者の心強い味方になってくれます。


労働審判や訴訟などの法的手続を行う場合には、誰を相手に訴えるのか(パワハラ加害者のほか会社も訴えるのか) 、法的手続によって何を求めるのか(復職を求めるのか、慰謝料等の損害賠償を求めるのか) などについて、依頼する弁護士とよく話し合いましょう。


また、法的手続を行う場合には、客観的な証拠がどれだけ揃っていることが非常に重要です。

前々回のコラムパワハラに遭ったらどうすればいい?パワハラの対処方法(証拠の集め方)でお話したように、パワハラ被害者がパワハラの事実を立証するためには、相手との会話ややり取りなどの録音データ、メールやLINEなどのSNS上の履歴、診断書や写真といった客観的な証拠が必要です。

この証拠集めの段階から、弁護士のアドバイスをもらいながら対処したほうが賢明でしょう。


③悪質な場合の刑事告訴を手助けしてくれる

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パワハラ被害が悪質な場合には、侮辱罪(刑法231条)や暴行罪(刑法208条)、傷害罪(刑法204条)などの刑事責任を追及することも考えられます。

この場合、パワハラ被害者としては、警察署に被害届を提出したり、告訴状を提出することにより、パワハラ加害者の刑事責任を追及することになります。

なお、被害届は、被害事実を申告するものにとどまりますが、告訴は、被害事実の申告だけではなくパワハラ加害者に対する処罰を求める意思を表示するものです。


もっとも、様々な事件を取り扱っている警察署が簡単に被害届を受け取ったり告訴を受理したりしてくれるとは限りません。パワハラ加害者の刑事責任を追及する場合にも、どのように警察署に相談に行って被害届を提出するのか、どのような証拠を揃えて告訴すべきかなどについて、依頼する弁護士とよく話し合って方針を決める必要があります。


警察署が事件として処理してくれるということになったら、パワハラ加害者は、起訴されて刑事裁判になるのを避けたいと思いますから、示談に応じることも考えられます。

一方で、パワハラ被害者は、警察による取調べの過程で、事件について細かいことまで何度も事情聴取されることになり、辛い思いが蒸し返されてしまうこともありますので、刑事責任まで追及する場合には、それなりの覚悟も必要かと思われます。

考える女性

このように、弁護士に依頼すれば法的にも強力なアクションを取ることができますし、パワハラ被害者にとって心強い最大の味方になってくれます。


ただ、弁護士に依頼すると、パワハラ加害者や会社に対する請求額や、どのようなアクションを取るのかにもよりますが、数十万円単位の弁護士費用がかかることも少なくありません。

また、パワハラ被害で慰謝料等を請求しても、よっぽど悪質で労災の認定も取れるようなケースでない限り、現実的に裁判所で認めてくれる損害額は、実はそれほど大きなものにはなりません(場合によっては数十万円程度になってしまいます) 。

そのため、弁護士に依頼する場合には、パワハラ被害を何とかしたいという気持ちだけではなく、事件の見通しや回収可能性などについて、弁護士からよく説明を聞いた上で、費用のこともよく考えてから決めることが重要です。


パワハラ問題などの労働問題に強い弁護士であれば、経験上いろいろなことをお伝えできますし親身になって聞いてくれますから、まずはそのような弁護士に相談することから始めるのが良いでしょうね。



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  • 田中雅大 (弁護士/第二東京弁護士会所属)

    1975年生まれ。埼玉県出身。証券会社に勤務した後、2010年に弁護士登録。中小企業の法務や不動産案件を中心に扱いつつ離婚や不倫などに関する数々の男女トラブルを解決。趣味はサーフィン、草野球。

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