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彼氏に「男らしさ」を期待しないでおこう、と思った話

恋人

普段、ジェンダー関連の記事を書くことも多い私ですが、実はまだまだ、「 男とはこうあるべき 」「 女とはこうあるべき 」という呪縛からは自由になってはいません。


恥ずかしながら、「 デートで奢ってほしい 」「 ドアを開けてほしい 」「 収入は自分より上であってほしい 」という思いは今でもゼロではありません。でも、「 男だからこうしてほしいという気持ちを無自覚に抱くのをやめよう 」という志はあります。


なぜなら、彼氏や夫に、「 男らしさ 」を期待することは、「 自分も相手も苦しめることになる 」と思うからです。


「 男らしさ」とは? 男らしさの3つの特徴

男らしさとは

ところで、「 男らしさ 」とはなんでしょうか? 重い荷物を持ってくれること? 決断力があること? リーダーシップがあること? 涙を見せず無口で有言実行? 人によって、「 男らしさ 」に対するイメージは異なるでしょう。


日本の社会学者で、男性学(※1)の第一人者として知られている伊藤公雄は、男らしさとは、「 優越志向 」「 権力志向 」「 所有志向 」のことである、と定義しています。


「 男らしさ 」とは①:優越志向

優越志向とは、他の人より自分の方が優れていたい! という欲求のことです。競争が好きで、組織の中で勝ち上がっていくような男性は「 男らしい 」と称賛され、競争を好まず、出世欲がない男性のことを「 男らしくない 」と言われることからも、優越志向が「男らしさ」の一部であることは同意できるでしょう。


また、優越志向を持つ「 男らしい 」男は、男女関係においても女性より優れていることを好みます。そのため、身長・学歴・収入などの面で、自分が上に立てる人を選ぶ傾向にあります。


「 男らしさ 」とは②:権力志向

権力志向とは、権力を手に入れたいという欲求や、誰かの上に立ち他人に自分の言う通りに動いてほしいと思う欲求のことです。リーダーシップを発揮している男性が「 男らしい 」と言われるのは、権力志向=男らしさ、だと認識されているからでしょう。


「 男らしさ 」とは③:所有志向

所有志向とは、多くのモノを自分のものにしたいという欲求です。車や家を手に入れ妻子を養える経済力を手に入れることによって、「 一人前の男 」とみなされる風潮は、所有志向=男らしさ、と考えている人が多いことの現れでしょう。


「 男らしさ 」に苦しめられる男性たち

苦しむ男性

上記で「 男らしさ 」の定義をみてきました。こういった「 男らしい 」を追求することで、男女が幸せになれるのなら何も言うことはありません。ですが、実際には「 男らしさ 」に苦しめられている男性も少なくないのです。


「 男らしさ 」に苦しめられる男性たち①:女性の2.3倍もの自殺数

たとえば自殺率の男女比からも、男性が受けているプレッシャーの度合いを伺い知ることができます。厚生労働省が公表している平成29年度の自殺数は、ここ7年、男女ともに減少傾向にあります。ですが、男性の自殺率は依然として高く、女性の2.3倍もの人数が自殺をしています。(※2)


自殺の原因は、1位は健康上の理由、2位が経済的理由です。自殺に関しては、様々な原因が複合的に絡まりあっていると予想されるので、なぜ男性の方が女性より2倍以上も自殺してしまうのか、について正確な答えを導き出すことは困難です。


ですが、経済的理由のみを考えてみるならば、女性より男性の方が収入は多いことが統計(※3)からも明らかなのですから、男性の自殺数の方が多いのは不可解です。このことから、中高年男性の自殺数が多いという理由には、「男だから家計を支えなければならない」「男は弱みを見せてはならない」というプレッシャーが関わっているのではないか、と推測できます。


「男らしさ」に苦しめられる男性たち②:アルコールに逃げるエリート男性

また、ストレスを溜め込み、アルコールに逃げ込み、「隠れアルコール依存症」のようになってしまっているエリート男性も多い、と心療内科医の海原純子は指摘(※4)しています。


「男だから人に弱みを話してはいけない、グチを言ってはいけない、ダメな自分の姿を他人に見せることはみっともない、など、男性だからということで自分を縛っている場合で、特に自分の心の中を話してはいけないという概念が強いとアルコールに逃避しやすい」というのです。


男性らしさを期待するのではなく「その人らしさ」を期待しよう

幸せなカップル

女性が、「女性らしさ」を求められてストレスを感じるのと同じように、男性には「男性らしさ」を求められるストレスがあります。


男性に「優越志向」「権力志向」「所有志向」を期待することは、男性を苦しめると同時に、女性に対する差別行動(女性を見下す・DVやモラハラ発言など)につながる恐れもあります。


「男らしさ」や「女らしさ」を期待するのではなく、「その人らしさ」を期待した方が、お互いより自由に、ストレスなく生きていきていけるのではないか、と思います。


※1男性学とは、従来の男らしさに関する思い込みを解体する学問のこと。


※2厚生労働省 自殺の統計


※3厚生労働省 平成28年 賃金構造基本統計調査の概要


※4海原純子著『男はなぜこんなに苦しいのか』(朝日新聞出版)



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  • 今来 今 (フリーライター)

    神戸出身。編集者を経て現在フリーライター。複数メディアにて、映画評・書評・ルポなどを連載中。

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